スマートコントラクトとは
スマートコントラクトの意味
スマートコントラクトは直訳すると「Smart = 賢い」「Contract = 契約」という意味になりますが、実際には自動化された契約システム表す概念となります。
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iphoneやGalaxyのような携帯電話がスマートフォン(賢い電話)と呼ばれるように、スマートコントラクトとはブロックチェーンや新しい暗号技術を使った契約システムを意味する言葉として使われています。
スマートコントラクトのたとえ
缶コーヒーやペットボトル飲料が購入出来る自動販売機(自販機)を想像してください。自動販売機は販売員がいなくても自動で契約が成立するシステム「スマートコントラクト」が導入されたサービスで、ユーザの操作方法によって様々なプログラムが実行されています。
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自動販売機はあくまでも単純なスマートコントラクトのたとえですが、ブロックチェーンや暗号技術が使われたスマートコントラクトでは、ユーザの行動に伴って様々な契約を自動で進めることが可能となります。
スマートコントラクトのメリット
連帯保証人なしで契約
連帯保証人を必要とする不動産などの契約にスマートコントラクトを導入することによって、連帯保証人なしで契約を成立させることが可能となります。たとえばスマートコントラクトを使うと、借主が家賃を滞納した場合即座に借主の資産を差し押さえ、および換金し賃料として回収することができるため、連帯保証人をつけることができない人でも不動産を借りたりすることが可能となります。
エスクロー取引
エスクローとは不動産契約に用いられる取引のことを意味します。不動産取引では住宅に欠陥があった場合リフォーム代をどちらが負担するのか、キャンセルできる条件はどのような場合かなど、細かい条件がいくつもあり、それによって実行しなければいけない支払いや請求が多々あります。これらを第三者が事態を公平に判断し契約者同士納得のいく取引に取りまとめるのがエスクローというサービスになります。
スマートコントラクトを使うことによって、エスクロー取引を自動化することが可能です。借主と貸主、エスクロー業者のうち、二人以上によって欠陥や未払いなどの状態を確認することができる場合、本人の同意なしに契約を実行することが可能です。
たとえば住宅に欠陥があるにもかかわらず貸主が一向にそれを認めない場合でもエスクロー業者と借主の二人の同意があれば、貸主から自動的にリフォームにかかる代金を回収することができるのがスマートコントラクトの仕組みです。
エスクローについは「エスクロー決済サービスとは?ブロックチェーンの可能性」の記事で詳しく触れていますので、よろしければこちらをご覧ください。
スマートコントラクトのデメリット
導入コストが高すぎる
スマートコントラクトを銀行業界や不動産業界が導入することによって手数料を9割ほど下げられると予測されていますが、2019年時点で銀行システムにブロックチェーンを導入している企業はほとんどありません。
企業がブロックチェーンやスマートコントラクトを導入できない理由は、既存のシステムにスマートコントラクトを導入する技術と人員がいないという点にあります。企業が独自にブロックチェーンを導入するには高すぎる技術が必要で、かつブロックチェーンの脆弱性を克服できる運用をすることができない点にあります。
技術革新が進んでいけばその点も解消され、より簡易的にスマートコントラクトを導入することができるはずですが、現時点ではそのハードルが高すぎる状態となっています。
セキュリティが不十分
過去日本の仮想通貨取引所2社(コインチェックとZaif)がハッキング被害にあったように仮想通貨やブロックチェーン上のデータを管理することは難しく、ハッキングリスクをゼロにすることはできません。万が一、不動産の契約書や保有中の株式資産が悪意のある第三者に渡ってしまう事態を考えると証券業界や不動産業界は安易にスマートコントラクトを導入することができません。
スマートコントラクトが実装された仮想通貨
Ethereum
スマートコントラクトを実装した仮想通貨銘柄で最も有名なのは「Ethereum(イーサリアム)」通貨以外のデータを初めてブロックチェーン上に乗せて取引するという概念を生んだ技術です。
Dock
dockは個人の職歴やパーソナルスキルなどの情報(パーソナルデータ)を管理するプラットフォームです。詳しくは「仮想通貨dockとは?今後の将来性」の記事にまとめていますが、簡単に例えるなら海外で使われているビジネスSNS「linkedIn」とブロックチェーン技術を統合させたブラットフォームとなっており、就活に必要な個人情報をプラットフォームに提供するとスマートコントラクトによって報酬を得ることが可能となります。
Hydrogen
Hydrogen(HYDRO)は様々な金融サービスを提供する仮想通貨ブロジェクトです。Hydrogenが開発するブロックチェーンはイーサリアムのブロックチェーンをベースにしてスマートコントラクトを利用し、様々な契約や金融サービスに応用されることを目的としており、銀行口座管理やDappsのKCYをFaceIDだけで完了させる事が可能となります。
スマートコントラクトを知るための本
スマートコントラクト本格入門
本書は、FinTechの最新アウトラインから入り、スマートコントラクトの基礎、事例、可能性、コーディングと、順を追って掘り下げていきます。コーディング以外は、金融業界の方などエンジニアでない方も図解とクリアな説明によって無理なくお読みいただける内容です。スマートコントラクトの知見を深めたい方は是非手に取ってみてください。
試して学ぶ スマートコントラクト開発
スマートコントラクトを開発するためのプログラミング言語Solidityを中心に取り上げたエンジニア向けの書籍。DApps開発のためのサービスや標準規格、デザインパターンが紹介されている数少ないスマートコントラクトの実用書です。レイアウトが固定となっているためタブレットなど大きなディスプレイの用意が必要です。スマホでは読めません。