若者が計算すると絶望する「年金」

20代の年金がいくらもらえるかという記事でも書いた通り、年金は強制加入しなくてならない日本の制度で抜け道がほとんどありません。


そんな中、日本の政府(厚生労働省)は5年に1度の財政検証にて「将来の財政見通し」を発表しました。その内容がとても悲惨なもので日本の経済成長率によっては年金受給年齢を75歳まで引き上げるオプションを検討しているというのです。

日本の平均寿命(男性)は81歳なので、実質年金がたった6年間しかもらえない計算となり、40年前なら平均寿命が75歳なかったのでほとんどの人が死んでいるレベルです。

この記事でわかることは以下の通りです。

この記事でわかること
  • 年金受給年齢を引き上げる理由がわかる
  • 年金受給年齢引き上げ後を想像できるようになる
  • 年金受給年齢引き上げ後の対処法がわかる




年金受給年齢を引き上げる理由

日本政府が年金受給年齢を引き上げる理由は大きく分けて以下の3つとなります。

  • 社会保障費が足りない
  • 日本経済が衰退している
  • 年金を運用してもまだ足りない

社会保障費が足りない

社会保障費とは65歳以上に支払われる年金、国民健康保険で支払われる医療費や介護費用のことです(社会保障費の9割は年金と医療費という構成)。

少子高齢化が進む日本では社会保険料を支払う労働人口が減少し、社会保障(年金や医療)を受ける老人が多くなってきているため、既存の労働人口および労働生産性で社会保障費を賄うことが不可能となっているのです。

労働人口推移

厚生労働省が発表している資料によれば、65歳以上の人口は2042年まで上昇。その間、労働人口は急激に減少し6,000万人以上いた労働人口が5,600万人から5,100万人まで減少すると発表しています。

労働人口と65歳以上の人口推移の二つの線が離れれば離れるほど、一人当たりの負担が減り楽になるのですが、どちらの線も減少しながら二つの線はどんどん近くなっていき、日本人の負担は増えるばかりです。


ここでわかることは現状のままで日本人が65歳以上を支えることは不可能という事実です。だからこそ、年金受給年齢を引き上げて1人でも多く年金を減らすのが政府の意向となります。


日本経済は衰退中

日本の労働人口が減っても、一人当たりの稼ぎが爆発的に増えれば少子化が進んでも社会保障費を賄うことが可能ですが、それもまた夢物語です。

国の生産性を表す指標であるGDP(国内総生産)は先進国ではかなり低い水準となっています。さらに労働生産性は50年間ずっとほぼ最下位。平均賃金はOECD加盟35カ国中18位、相対的貧困率は38カ国中27位、教育に対する公的支出のGDP比は43カ国中40位、年金の所得代替率は50カ国中41位、障害者への公的支出のGDP費は37カ国中32位、失業に対する公的支出のGDP比は34カ国中31位など、これでもかというくらいひどい有様です。

日本人の労働生産性を上げ日本経済が復活するという未来は相当難易度が高いため、年金受給年齢を引き上げて年金を受けさせないことが日本政府の施策ということになります。


年金を資産運用してもまだ足りない

私たちが支払っている年金は年金積立金管理運用独立行政法人「GPIF」によって資産運用されていることをご存知でしょうか。

GPIF運用実績

2001年以降の累積収益は66兆円も増やすことに成功し、年率3%の実績を誇っています。この実績はかなり優秀です。この状況はYoutubeでも公開されているので以下の動画を参考ください。

ただし、66兆円ものお金を増やしたとしても将来の年金受給額水準を維持することはできません。これだけの資産運用成果を出したとしてもうまく回らない年金制度は無理ゲーなことがわかります。

つまり、2019年に一時的に年金受給額が上がると言われているのは、まだ氷山の一角でこれから先はもっと状況が悪くなることが予想されます。


年金受給年齢を引き上げると、どうなる?

年金受給年額が引き上げられる理由を理解できましたら、次は年金受給年齢引き上げ後、どうなるかを予想していきます。


65歳以上でも働かないといけない

まず簡単に予想できるのは、65歳になっても年金を受け取ることができないので生活費が足りなくなるという事実です。生活費を得るためには収入を増やすしかありません。

そうなれば65歳になっても労働するという選択肢が生まれます。労働以外の収益がある方であれば、それらを増やす努力をすればいいかもしれません。

ただし、ほとんどの日本人や労働収入以外の収益がないのが現実のため、まずは老後も働くということになります。本当に最悪ですね。


年金額はどんどん下がる

年金を受給できない65歳が増えるので生活保護やギリギリの生活を強いられる老人がたくさん増えていきます。貧困は犯罪率を上げるので、窃盗や殺人などの事件により日本の治安は悪くなるかもしれません。

年金受給年齢を引き上げても、すべての年金受給者を賄えるわけではなく人口減少によってその負担は増えていくばかりです。年金受給年齢を引き上げは抜本的な解決方法ではなく、本来は人口増加や労働生産性の向上をしていかなければ年金問題を解決することは不可能な状況です。

この状況が続けば、所得代替率はどんどん下がっていきます。


年金受給年齢を引き上げ後の対処法

施策

ここまでの説明を読んでいただけると、「年金なんて払いたくない」「社会保険料をできるだけ安くしたい」と考える人のいるはずです。


年金は税金です。

正直払わなくてもいいなら、払いたくないと思うのが人の心理です。

最後に、老後資金に困らない方法と社会保険料をできるだけ回避する施策をお伝えします。


つみたてNISAで投資を始める

老後資金を国が用意できないのであれば、自分で用意するしかありません。

といっても、今の給料をすぐに2倍、3倍にできるかというとそれも難しい話です。


現実的に老後資金を増やすためには3つのポイントが必要になります。

老後資金を作るポイント
  • 時間とお金を出来るだけかけずに、収入を発生させる
  • ローリスク・ローリターンな投資を長期間続ける
  • 優遇税制を利用して、出来る限りの税金を支払わない

これらの条件を満たす方法が、「つみたてNISAによる投資」です。

今の労働収入を出来るだけ阻害せず、できるだけ安定的に老後資産を形成するためにはつみたてNISAが最適です。ただし、つみたてNISAの投資対象となる投資信託はかなり罠が多く、たくさんの金融知識を必要とします。

当ブログでは以下のようなつみたてNISAに関する記事や知識を公開しているので、是非あなたの勉強の参考にしていただけると幸いです。


会社員と副業で収益を上げる

これは会社員の場合ですが、社会保険料を抑えるためには副業を始めることがおすすめです。

社会保険料は所得金額に応じて課税される仕組みなので、給料が上がれば上がるほど社会保険料(保険料だや厚生年金額)も上がっていきます。

ただし、会社員の副業収入に関しては社会保険料がかからないため、いくら稼いでも社会保険料の負担は増えません。つまり、会社員の給料は最低水準に合わせて、副業で大きく稼ぐことによって社会保険料の支払いを抑えることができるようになります。

自分で稼ぐ力をつけて収入源を複数持つことによって収入を増やすだけでなく、税金も抑えることができるのでおすすめです。