経団連会長の発言に引き続き、国内初の売上30兆円を達成したトヨタ自動車の社長が「終身雇用を守っていくのが難しい局面に入ってきた」と発言し、大きな話題となっています。
過去の日本はなぜ終身雇用を続けてきたのか、そして売上利益ともに日本のトップ企業であるトヨタ自動車でさえも終身雇用が難しくなってきた理由をこの記事で説明し、最後には今度どうしていくかも共有していきます。
この記事でわかること |
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終身雇用を続けてきた理由
企業が新卒(22歳)で採用後、定年になる65歳まで雇用しつづける終身雇用を続けてきたのはそれなりに企業へのメリットが大きかったからという背景があります。
終身雇用崩壊理由の前に、なぜ過去から企業が終身雇用を続けてきたかという理由を説明していきます。
終身雇用で求められる人物像
終身雇用制度が定着したのは1950年代の行動経済成長が背景となっています。
当時のビジネスモデルのほとんどが労働集約型(仕事量に応じて売上が増えるというビジネス構造)で、ものは作れば売れるという時代でした。
現在では当たり前のような営業戦略やマーケティングのような概念はないため、労働集約型企業は自然に以下のような人材を採用することになります。
労働集約型に求められる人物像 |
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安い給料で長く働いてもらえる人材を採用することで、人材コストが浮いた分すべて企業の利益に変わります。
終身雇用制度とは戦後の企業にとってメリットが大きかった採用方法
なのです。不正に人件費を削減できる
終身雇用をエサとして採用された社会人は当時「企業戦士」「モーレツ社員」と言われるなど、自分の身や家族も顧みず、ただひたすらに上司の命令のままに働くことを目的として採用されています。
残業代未払い、パワハラが起きても他社経験にない新卒採用の社員はほとんど逆らわないため、簡単に不正を隠蔽し続けるために考えられた終身雇用制度でもあります。
企業にとって終身雇用を掲げる最大のメリットは「人件費の削減 = 企業利益率の増加」です。
終身雇用が崩壊する理由
終身雇用が崩壊する理由は経済のあり方が大きく変わったからです。ダイヤモンドオンラインで発表された平成元年と30年後の世界時価総額ランキングを見ると、その様子が明確にわかります。

世界ランキング上位50社中32社も日本企業がランクインしていた平成元年ですが、約30年後はトヨタ自動車しかランクインしておらず、世界の時価総額企業のほとんどはアメリカに占領される結果となりました。
世界のトップ企業を見れば明らかな通り携帯端末やネット検索など30年前には存在しなかった産業が活況となっており、産業構造も労働集約型から知識集約型に完全にシフトしています。
知識集約型事業が成功しやすい時代
自動車や食品など作れば売れる労働集約型時代が終わり、企業が利益を出し続けるための戦略が大きく変わっています。
今の時代では以下のような人材が求められています。
知識集約型に求められる人物像 |
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つまり、企業が利益を出し続けるためには限られた時間の中で高い成果を出すことができる人材を雇う必要があります。
言われたことをそのままやるような仕事はロボットやAIの方が維持コストが安くため、価値がなくなっていくことは間違えありません。
また、どんなに優秀な人材でも得意不得意が必ずあります。
企業の課題は時間とともに変化していくものなので、企業は課題に合わせて必要な能力の高い人材を中途採用した方が同じ人を雇い続けるよりも明らかに効率がよくなります。
終身雇用はブラック労働の温床
終身雇用と聞くとホワイト企業のイメージを持つ方も多いが、実は終身雇用はブラック企業化しやすい傾向にあります。
終身雇用が約束されている場合、結局実績を出しても出さなくても毎月の給料が保証されることになります。すると、ほとんどの社員は頑張っても頑張らなくても同じ給料なら頑張らない方を選択するからです。
給料や終身雇用を保証し年功序列で組織編成をするということは、頑張らない社員を増やすこととイコールということになります。一生懸命に努力する社員は全体の2割もいません。
また無能な社員にキャパ以上の仕事を渡さなければいけない際は過重労働による残業代未払いやパワハラなどのリスクも増していきます。
最近では上司との会話を録音されたり、セクハラなどで訴えられる管理者も多くなってきているため、企業の方針として終身雇用制度を採用することはリスクの方が大きくなっている状況です。
今後の稼ぎ方のトレンドを紹介
終身雇用制度がなくなると発表され、世の中的には不安が広がっていますが、これから社会人になる方や、上のクラスを目指している方にとってはプラスとはるはずです。
その理由を説明していきます。
終身雇用崩壊後は転職しやすい
終身雇用制度が崩壊すると企業は能力の高い人材へコストをかけるようになり、中途社員や派遣社員を高い給料で受け入れる流れが加速していきます。
実際にリクルート社が提供する中途採用調査では採用する年齢層が年々高まっており、20代よりも30代を積極採用している大企業(従業員数1,000名以上)が多くなってきています。
実力主義社会に変わる
今後の社会では自分の成長に合わせて転職や職場環境を変えていく事が求められます。
たとえば将来経営者になりたいという目標があれば、そのために必要な環境を自分でプランニングすることが大切です。
ポジション | 身に付けたいスキル |
1段階目 実務経験 | ・業界の専門知識 ・テクニカルスキル |
2段階目 マネジメント | ・営業、コミュニケーションスキル ・集団を導く力、ヒューマンスキル |
3段階目 経営戦略 | ・本質を見抜く力 ・抽象的な物事を分析し、新しい価値を創造する力 |
上記のようなブランニングを立てた場合、身に着けたい能力の熟練度に応じて職場を変えるか、同じ職場でもポジションアップしていくことが重要です。
終身雇用に左右されない投資家
終身雇用崩壊後も長期的に高収入を実現していくためには自分の成長に合わせて転職を繰り返したり、収入の柱を1つにしないためにも副業(複業)することが重要になっていきます。
そしてもう一つ収入の柱を増やす方法として、「投資」という選択肢があるということをお伝えしていきます。
働きながらできる投資
投資は労働集約型とは真逆の稼ぎ方なので、それほど若くなかったり転職や副業に自信のない方でもおすすめできます。
ただし、投資にはリスクがあるため、必ず十分に勉強してから始めましょう。
もし今まで投資をしたことが一切ないという方であれば、「NISA(ニーサ)」という金融庁が監督をする非課税少額投資制度から調べてみてください。
本来投資では、投資で得た利益の一部に税金がかけられますが、NISAを使うことによって納税義務が免除される仕組みです。
当ブログでもNISAについてはいくつか記事を書いていますので、参考にしていただけると幸いです。