投資信託やつみたてNISAでも人気の銘柄であるひふみ投信ですが、ネット上の記事では「ひふみ投信は不調だ」「初心者には向いていない」という声も多く、賛否両論が飛び交っています。

この記事ではひふみ投信を買うべきだ!買わないべきだ!という議論ではなく、ひふみ投信の現状と不調と指摘されている理由を説明していきます。最終的な判断は投資家である皆様に任せるとして、それらの判断材料となるものをまとめていきますので、ぜひ参考にしてみてください。

ひふみ投信

もくじ(コンテンツ)









ひふみ投信とは

ひふみ投信とは、レオス・キャピタルワークス株式会社が運営する投資信託です。2017年2月にテレビ東京の「カンブリア宮殿」に出演したことによって、爆発的な人気を獲得し続けることになりました。

テレビ番組の内容はひふみ投信の代表である藤野氏が自らの足で情報と実績を稼いでいる姿やひふみ投信を利用することで人生が豊かになった顧客の声などが収録されています。テレビ出演前のひふみ投信の純資産総額は400億円程度でしたが、出演後わずか半年で純資産総額が1,460億円に達していきます。

Youtubeでもカンブリア宮殿と同じようなひふみ投信の実情を伝えているので、テレビ番組を見れないという方は以下の動画を参考にしてみてください。



ひふみプラスとひふみ年金の違い

ひふみ投信には3つの商品があります。3つの商品はすべて同じマザーファンドで運営されており、商品ごとの値動きに違いはありません。

ただ、購入方法によって商品の呼び方が異なるだけです。

ひふみ投信の商品名
商品名 購入先 利用用途
ひふみ投信レオス・キャピタルワークスつみたてNISA
ひふみプラス証券会社、銀行
ひふみ年金証券会社、銀行、レオス・キャピタルワークスiDeCo
(個人型確定拠出年金)

情報公開に積極的なひふみ投信

ひふみ投信はTwitter、Youtube、Noteなどの様々なメディアを使って、運用実績やマーケットの情報を公開している企業です。Youtubeでは定例の運用報告を「ひふみアカデミー」というタイトルで毎月公開しています。以下の2019年8月分の動画です。


また、株式市場の大きな値動きに伴い、2018年11月からは同社経済調査室長の三宅氏による「経済見通し」を隔週で公開するようになりました。


他にも全国にて顧客とのセミナーや投資企業への社会科見学を実施するなど、投資信託の中では情報公開の更新頻度が高い企業となっています。



ひふみ投信の状況(2019年8月時点)

次はひふみ投信の実績、状況(2019年8月18日時点)具体的に説明していきます。


つみたてNISAで実績No1

つみたてNISA全銘柄164種類のうち、153種類を取り扱っているSBI証券では「ひふみ投信(ひふみプラス)が純資産額は2位のニッセイ日経225(1,425億円)を大きく引き離して、1位(5,550億円)となっています。(出典:【SBI証券】投資信託パワーサーチ

スクリーンショット 2019-08-18 9.35.27

純資産額が多いと言うことは、それだけひふみ投信に資産を預けている投資家が多い(正確には投資家が預けている金額が多い)ということになります。それだけの投資家から信頼されているひふみ投信の実績を次に紹介してきます。


高い実績を出し続けたひふみ投信

Yahoo!ファイナンスで過去10年間のひふみ投信(青い線)と日経平均チャート(赤い線)を比較すると、ひふみ投信の株価が大きく成長していることがわかります。

ひふみ投信TOPIX比較

2018年以前からひふみ投信を活用している投資家にとっては、2018年以降の下落率が大きくとも元々日経平均よりも大きくアウトパフォームしているので、直近の大きな下落も気にならない程度で資産が純増しています。

ただし、2018年以降の推移だけに着目すれば下落率は日経平均よりもひふみ投信の方が高くなっているので、2018年以降にひふみ投信に加入した投資家は損失額が大きくなっていることがわかります。


直近3年間の利益率は12%

SBI証券のパワーサーチでつみたてNISA過去3年間の利益率ランキングを比較すると、1位は「eMAXIS NYダウインデックス」が16.88%という高い利益率を記録しています。

SBI証券パワーサーチ

過去高い実績を出し続けてきてきたひふみ投信ですが、2018年以降の下落率が大きすぎて1位の投資信託に4,88ポイントも差をつけられた結果、3年間の利益率は12.00%に縮小しています。


ひふみ投信が不調と騒がれる理由

ひふみ投信は過去の実績が良かったものの、直近の実績は下落率が高いことが理解できたと思います。

投資の世界では大きな下落があるほど、基本的には「買い」と判断する投資家が多くなります。過去の株価大暴落の歴史を見れば明らかですがリーマンショックには多くの投資家が買い注文を出して莫大な利益を得ています。

なのに、ひふみ投信が不調だと言われる理由について細かく説明していきます。


ひふみ投信は海外株で失敗

ひふみ投信保有銘柄
出典:【ひふみ投信】月次報告書(2018年12月度)

ひふみ投信が大きく下落した理由の1つが海外株を保有したことにあります。

ひふみ投信は運用開始以来ずっと国内銘柄(日本株)に投資をしてきたが、2017年6月に外国株である「Amazon(アマゾン)」と「Microsoft(マイクロソフト)」への投資したことを発表しました。


2017年カンブリア宮殿に出演後、純資産総額を急激に伸ばしたひふみ投信は1,000億円近い巨額の保有資産を効率的に運用する手段として海外株に目をつけたと推測できます。

しかし、この戦略が裏目に出てしまいます。2018年8月以降、米中貿易戦争によりアメリカのナスダック市場が大きく下落。Apple、FacebookやAmazonは過去最高益を更新しつつも、市場予測が下回る結果も重なり大手IT企業は揃って株価が暴落する結果となりました。

Amazon株価(5年)

Microsoft株価(過去5年)

国内株だけに絞っていればこれほどの下落率を記録することはありませんでしたが、海外株に手をだしてしまったことにより、ひふみ投信は大失敗を経験しました。


ひふみ投信の不調はどこまで続くか

海外株より大きく失敗をしたひふみ投信ですが、これからも負け続けるリスクが高いのか、それとも負けを挽回するだけの将来性があるのかを説明していきます。


TOPIXに負けたのは18年だけ

ひふみ投信収益率

ひふみ投信は発足以来TOPIXの成長に負けたのは2018年のたった1年間だけ。それ以外の年はすべて勝ってるため、勝敗をつけるのであれば12戦11勝(勝率91.66%)ということになります。この結果だけ見れば、今後も勝つ確率は高いと推測することができます。


海外株比率が減少

海外株の大きな下落相場を受けて、ひふみ投資は海外銘柄の保有率を大きく下げています。

ひふみ組入銘柄(海外株)

2019年7月度の運用レポートを見れば、2018年で組入比率が2%を超えていたAmazonやVISAの保有割合は1%台に落としており、日本株保有率を上げています。


5G時代に投資するひふみ投信

ひふみ投信業種別比率

ひふみ投信の保有銘柄は「情報通信業」「電気機器」が多く、これからおこる5Gの通信規格によって成長するであろう企業に大きくかけていることがわかります。2020年以降は通信会社が5Gサービスを開始する予定となっており、それらに伴った新しい需要が拡大していく可能性は非常に高いとされています。


消費増税やオリンピックをどう見るか

2019年10月以降、日本は消費税を8%から10%に引き上げる計画を発表しています。それに伴い軽減税率制度など企業には負担となる税務処理業務も多く、消費増税後の景気は減退していくと予測している評論家も多くいることは確かです。

ひふみ投信は日本企業を中心に投資している投資信託なので、少なくともこの影響受ける可能性は高いかもしれません。もしくは消費増税はかなり前から決まっていた事実なので、それを織り込み済みで株価は上がっていく可能性も否定できません。


ひふみ投信を買うなら、注意するべきこと

ひふみ投信

これまで説明した内容を元にひふみ投信を買おうと決断するなら、これだけは注意してほしいことをまとめてみました。できる限りリスクを減らして、賢く投資するための情報として活かしていただければ幸いです。


投資信託に短期売買は向かない

ひふみ投信の過去の実績や海外銘柄を扱う投資信託の価格推移を見れば、投資信託は10年から15年程度の投資を続けることができればほぼ100%の確率で資産が増えるということがわかってます。ただし、あくまでもこれは過去の結果で将来そうなるかというと、それはわかりません。

この事実から個人的に導き出せる答えは「投資信託は短期売買に向いていない」ということです。

ひふみ投信過去の下落

長い年月をかけて少しづつ成長していくのが投資信託の特徴です。ひふみ投信の過去実績を見れば、なんども下落局面はありましたが、そこで投資を辞めてしまうと確実に死んでしまします。2018年以降にひふみ投信を始めた投資家は今まさに含み損を抱えている状態ですが、これが5年後10年後に含み損をかかえたままの状態になっているかは、過去の結果を見れば可能性が少なくなります。

またこれからひふみ投信を始めようとする方によっては、基準価格がさがっている状態で始められるのでチャンスと捉えることもできるはずです。


「ひふみプラス」がおすすめ

ひふみ投資を始める場合「ひふみ投信」と「ひふみプラス」どっちにするか悩む方が多いです。結果的には「ひふみプラス」を選択している投資家が多いのが現状です。

純資産総額の比較(2019年8月時点)
商品名 純資産総額
ひふみ投信1,228億円
ひふみプラス5,550億円

ひふみプラスのメリットは大きく分けて3つあります。

ひふみプラスのメリット
  • 複数の投資信託を購入することができる
  • 買付設定の自由度が高く100円から投資可能
  • ポイントやトレーディングツールなど証券会社独自サービスを受けることができる

ひふみ投信を直接レオス・キャピタルワークスのHPから申し込んでしまうと他の金融商品を購入することはできません。対して証券会社では、ひふみプラス(ひふみ投信)以外の投資信託も購入することができるため、分散投資でリスクヘッジをかけることができます。

ひふみ投信では買付設定が月1回、1万円からと決まっていますが、証券会社の場合は買付は毎日、毎週、毎月を選択可能な上に、1回の買付金額は100円から設定することができ、個人予算にあった買付を実行することができます。


1つだけひふみプラスのデメリットを挙げるとするのであれば、「資産形成応援団」という運用手数料が下がるサービスを受けることができないということです。継続年数に応じて信託報酬率が下がる制度で5年以上ひふみ投信を継続した顧客が受けられるサービスになっています。


ひふみ投信を始めるなら「つみたてNISA」がおすすめ

ひふみ投信を利用する際、運用益が非課税となるNISA口座を証券会社で申し込むのがおすすめです。どの証券会社を使っていいかわからないという方はSBI証券で始めてみてはいかがでしょうか。

SBI証券[旧イー・トレード証券]

以下の記事も参考にしていただけると幸いです。

関連記事:つみたてNISA、おすすめの証券口座【2019年版】