仮想通貨市場においてビットコインに次ぐ時価総額を誇る「イーサリアム」は19歳の大学生によって誕生しました。ICO(仮想通貨による資金調達)では16億円分のビットコインを回収し、通貨1枚の価格が1ドルしかなかったイーサリアムが3年後には1枚13,00ドル(約1,300倍)を超える価格にまで成長していきます。

本記事ではイーサリアムの全容とアップデート契約や今後の将来背について解説してきます。

もくじ(コンテンツ)









イーサリアムとは

イーサリアムは通貨以外の取引が可能

イーサリムがまだ存在していない仮想通貨市場では、仮想通貨の取引対象は文字通り「通貨」のみでした。しかし、イーサリアムの登場により通貨以外にも「契約書」「権利書」などを取引するという新しい概念が誕生します。

イーサリアムとは、世界中の電子データを取引すること(= ワールドコンピュータ)を目指した仮想通貨です。

イーサリアムとビットコインの違い
項目 イーサリアム ビットコイン
シンボルETHBTC
起案者Vitalik ButerinSatoshi Nakamoto
公開日2015年7月30日2009年
初期発行量7,200万ETH2,100万BTC
発行上限未定2,100万BTC
時価総額4兆5895億円12兆6347億円
システムProof of WorkProof of Work
言語Solidity言語スクリプト言語
送金時間およそ15秒~17秒およそ10分
取引手数料単位GasBTC
国内決済可能店舗80店舗52,190店舗
DApps無数に存在数えられる程度存在
国内取引量5348億円10兆4975億円
※国内決済店舗数は2018年3月の値、国内取引量は2017年度の値をを参考にしています。

イーサリアムはあらゆる電子データを取引することを想定して開発されているため、イーサリアムを使った通貨以外の電子データを取引するアプリケーション(Dapps)がイーサリアムとは別に次々と開発されています。

特に取引所(DEX)、ゲーム、ID管理の分野が注目されており、このようなプロジェクトは現在も増え続けています。プロジェクトの数や詳細を知りたい方は以下のサイトを参考にしてみてください。


スマートコントラクト

スマートコントラクト

イーサリアムといえば、「スマートコントラクト」という単語が必ず入ってきます。ただ、仮想通貨に馴染みのない人に「スマートコントラクトは自動化された契約システムだ!」と言っても何のことか全く理解できないはずです。

例えるならインターネットがまだない時代に「スマートフォン」を説明する作業と同じくらい難しい技術だからです。ネットがない時代に電話の画面が大きくなって、そこでアプリが動くなどと説明しても当時の人が理解するのは至難の技。

ちょっとだけに説明するならば、スマートコントラクトとはブロックチェーン技術を使った契約システムです。スマートコントラクトを使うことによって不動産契約など連帯保証人ありの契約を連帯保証人なしで契約することが可能になったりします。イーサリアムのスマートコントラクトについては以下の記事でしっかり説明していますので、参考にしてみてください。


イーサリアムクラシック

仮想通貨市場にはイーサリアムと名のつく仮想通貨が実は複数存在します。その中でも特に有名なのが「イーサリアム・クラシック」です。

イーサリアムクラシック(ETC)はイーサリアムとは別の通貨です。誕生した経緯を説明すると以下の通りになります。

2016年6月17日、「DAO(ダオ)」というイーサリアムのブロックチェーンを使った仮想通貨プロジェクトにて総額3,600万ETH(65億円相当)が不正送金される事件が発生しました。

DAO上のスプリット(オリジナルのDAOを親と例えると、子供のDAOを作れる)機能により27日経過しないと盗まれた3,600万ETHが使えない仕組みだったため、約1ヶ月近い時間の中で盗まれた通貨の対応策が検討され、その結果としてイーサリアムをハードフォークによって、不正が行われる前の状態に戻すという方法で解決に至りました。

この中央集権的な対応に不満な集団がイーサリアムから分裂し、イーサリアムクラシック(Ethereum Classic、ETC)という新しい仮想通貨が誕生しました。


イーサリアムクラシック(ETC)は、悪質な事案でさえ、中央の判断によって通貨の仕様を変えたり、取引を編集したりすることに判断する集団が起こした仮想通貨です。それだけ仮想通貨にとって法定通貨のように銀行や国のような権利を持った機関が存在しない「非中央集権」というテーマが重要視されていることになります。


イーサリアムの関連リンク

イーサリアム関連サイト
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イーサリアムのアップデート計画

現在のイーサリアムはまだまだ完成形ではなく、大きなアップデート計画を実行している途中です。アップデート計画は大きく分けると以下の4つに分類されています。

イーサリアムアップデートスケジュール
    1:フロンティア(未開拓)
    2:ホームステッド(開墾)
    3:メトリポリス(都市) ⇦ 現在ここ!
    4:セレニティ(安定)

フロンティアとホームステッドでは、テスト版からサービスリリースまで進むことで、イーサリアム上でのアプリケーション開発ができる環境となりました。メトロポリスでは、プライバシー保護やセキュリティの強化、マイニング方式の変更などが予定されており、トークンの発行上限についても議論がなされております。

2019年時点ではメトリポリスとなり、その中でいくつかのアップデート(ビサンチウム、コンスタンティノーブルなど)を繰り返している最中です。最終段階のセレニティでは、シャーディングやオフチェーン技術などの導入により、スケーラビリティを向上させるのがイーサリアムのアップデート計画となります。


コンスタンティノープル

コンスタンティノープルは2019年1月に発表され3月完了したハードフォークを伴うアップデート。ブロック生成間隔の調整やマイニング報酬を減額したり、ガスの計算方法を変更するなどの調整が盛り込まれています。中でも注目されたのがマイニングの難易度を引き上げるプログラム「ディフィカルティボム」イーサリアムが今後PoWからPoSへ移行するための重要な要素です。


フェーズ・ゼロ

フェーズ・ゼロはイーサリアムをPoWかPoSに移行するための第一段階目となるアップデートです。研究者の一人であるジャスティン・ドレイク氏が2019年5月に2019年2Qまでにフェーズ・ゼロをリリースすると発表したことで、6月30日までのリリースが期待されることとなりました。


イスタンブール

年間6.5億ドルの報酬を生みだすイーサリアムのマイニングはASICがGPUのパフォーマンスを上回るという懸念が生じており、それらの問題を解消するためにASICマイニングの効率を下げ、GPUに優位性を与えるという提案が次期の大型アップデードイスタンブールの焦点となっています。アップデート時期は2019年10月の予定


2018年イーサリアム関連ニュース

Casperアルファ版をリリース

2018年1月、イーサリアムのアルゴリズムであるProof of WorkをProof of Stakeへ移行するためのプロジェクトである「Casper(キャスパー)」のテストネットがリリースされました。

ビットコインにも採用されている「Proof of Work」というシステムは年間1,000億円以上のエネルギーコストが発生し、一部の限られた組織だけがマイニングによる報酬を受けることができるというデメリットを抱えています。これらの問題を解決するために実装されるのが「Proof of Stake」というシステムです。


トークン規格「ERC1155」

2018年6月、Witek Radomski氏により「ERC1155」という新しいイーサリアムトークン規格が発表されました。

ERC1155の特徴
  • 複数のデータを一括で交換可能
  • 複数のユーザに一斉送信できる

従来人気となっているイーサリアムのトークン規格「ERC20」や「ERC223」では基本的に1つの契約につき実行できる取引は1つというルールでしたが、ERC1155では1つのコントラクトで複数の取引を実行することが可能となります。ERC1155の登場により、ゲーム系のDApps(分散型アプリ)では複数アイテムで錬成される上位アイテムへの活用やプラットフォームがユーザへアイテムを配布するときの取引に活用できると期待されています。


EOSがイーサリアムを売却

ICO(仮想通貨による資金調達)の経由通貨として使われ続けているイーサリアム。Coin Schedule(資金調達ランキング)を参照すればEOSが最も資金調達額が大きいことがわかります。

資金調達ランキング(2019年6月時点)
銘柄 調達額
EOS$4,197,956,136
Telegram$1,700,000,000
BITFINEXS$1,000,000,000
Petro$735,000,000
TaTaTu$575,000,000
Dragon$420,000,000
Hdac$258,000,000
Filecoin$257,000,000
Tezos$232,000,000
HetaChain$190,051,316

歴代の仮想通貨プロジェクトの中で最も資金調達額の大きい4,400億円相当の資金を調達したEOSが50万ETHをわずか2週間で売却したことによって相場は大きく下落しました(2018年6月)。EOSはBitfinex(取引所)へ250万ETHを送金したこともイーサリアムのブロックチェーン記録をたどることで証明されています。


2019年イーサリアム関連ニュース

イーサリアムのアップデート

2019年3月にイーサリアムのハードフォークを伴ったアップデート「Constantinople(コンスタンティノープル)」「St.Petersburg(サンクトペテルブルク)」の実装が完了しました。ブロック承認の報酬引き下げ、生成時間の調整などの内容が盛り込まれたアップデートとなっています。


イーサリアム取引件数が100万件へ

イーサリアム取引件数

2019年6月6日時点のイーサリアムの取引件数/日を見ると、もう少しで100万件に到達しようとしている。2018年1月の仮想通貨バブル期と比べて遜色ないまでに取引量が復活していることが今後仮想通貨市場を大きく牽引する要因にもなる可能性があります。


イーサリアム価格予想、将来性

イーサリアム価格の下落

イーサリアムチャート

イーサリアムは2018年1月に最高値(1,385ドル)をつけたあと、2018年12月までに約94%の下落幅を記録しました。その後、83ドルを底値として2019年6月までは上昇トレンドを描いています。ビットコインなど仮想通貨は大きばバブルの影響を受けたことにより、2019年1月時点で本来の価値を取り戻したように考えることもできます。その後は技術革新のスピード次第になりますが、上がっていく未来を想像しやすくなりました。


イーサリアムのドミナンス

ドミナンス

仮想通貨市場のドミナンス(時価総額占有率)を見てみると、2017年以降イーサリアムのドミナンスが大きくなっています。2018年においては仮想通貨市場全体が落ち込んだこともあり、ビットコインの占有率が拡大していくこととなりましたが、仮想通貨の市場拡大によってイーサリアムや他のアルトコインの占有率が高くなりやすいことは明らかです。


DAppsの成長性

イーサリアムは今後kLoom Networkkyber Networkなど人気のDAppsが登場することにより、より必要性が増していくこととなります。ブロックチェーン技術を使ったゲームや保険、ID認証など様々なサービスを支える技術がイーサリアムです。


イーサリアムの購入方法

イーサリアムを買うなら金融庁から認可されている仮想通貨取引所で購入することをおすすめします。それ以外の仮想通貨セミナーや友人の紹介で購入してしまうと仮想通貨詐欺にあう可能性が高くなってしまうので、くれぐれも仮想通貨取引所で直接購入する以外の方法は絶対に避けましょう。


イーサリアムならGMOコイン


GMOコインは出入金にかかる手数料が無料で使いすいスマホアプリを提供しており、GMOコインの評判はかなり良い仮想通貨取引所です。現物のイーサリアムの取り扱いはもちろんのこと、レバレッジ取引も可能です。

ハッキングリスクなどを懸念する方はGMOコインでイーサリアムを購入後、ハードウォレットで保存しておくと安全性が高まります。