仮想通貨を保有しているだけで新しい仮想通貨が手に入る「配当型仮想通貨」

仮想通貨に関する税制はまだ完璧と言える状態ではなく、税制が変化するスピードは他の金融商品と違ってとても早いサイクルで変化しています。

今回は配当型仮想通貨が税金の対象となるのかどうかを解説していきます。


この記事でわかること
  • 配当型仮想通貨が何か知ることができる
  • 配当型仮想通貨に関する税金の仕組みがわかる
  • 配当型仮想通貨でも課税されない条件がある




配当型仮想通貨に税金はかかる?

配当

配当型仮想通貨とは

配当型仮想通貨(もしくは、配当型トークン)とは、保有しているだけで新しい仮想通貨を手に入れることができる仮想通貨です。


配当型仮想通貨の発行主体は仮想通貨取引所であることが一般的です。

仮想通貨取引所の手数料収入の一部を仮想通貨ホルダーに還元し、仮想通貨自体の価値(時価総額)を上げるというのが大まかな事業モデルとなります。


配当型仮想通貨の実例

配当型仮想通貨を発行する仮想通貨取引所は以下の通りです。

  • CoinEx
  • CoinPark
  • FCoin
  • CoinBene
  • TenX

仮想通貨取引所である「CoinEx」では、CoinEx Token(CET)という仮想通貨を発行し、取引所ユーザから得られる手数料収益の8割をCET保有者に還元へ仮想通貨で還元する仕組みとなっています。

CoinExの手数料収入が増え、より多くのCETを保有すれば値動きに関係なく資産が増えていくため、まるで株式優待のような仕組みを仮想通貨でも得ることが可能となります。


また、シンガポールを拠点とするCoinBeneの配当型仮想通貨「CONI」も有名です。


仮想通貨に関する税制

配当型仮想通貨に税金がかかるのかを知る前に、一般的な仮想通貨税制について振り返りましょう。


仮想通貨による収入は「雑所得」に分類されます。

会社員であれば20万以下の雑所得に関しては免税されますが、一般的には収益が発生した時点で税金の支払い義務が発生します。 仮想通貨収益にかかる税率は最大55%で、収益が上がるごとに税率も上がっていく仕組みです。


さらに仮想通貨は総合課税といって、仮想通貨による収入は過去の収益や雑所得以外の収益と利益額を相殺することができません。1年間で得た利益総額に対して必ず税金を支払う義務が発生します。

ただし、年間の仮想通貨収益がマイナスの場合には税金を支払う必要はりません。

より詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてみて下さい。


配当型仮想通貨に税金はかかる理由

無駄遣い

仮想通貨で収益を得たら税金はかかります。

それは「配当型仮想通貨に関しても同様」です。


結論から言えば、配当型仮想通貨に関しても税金はかかります。

これからその理由について説明していきます。


国税庁の見解

配当型仮想通貨に関する税制は国税庁から発表されている資料を読み解くことで理解することができます。

その資料が「仮想通貨に関する税法上の取扱いについて(FAQ) 」です。


この資料には以下の2つのことが書かれています。

  • 仮想通貨をマイニングにより取得した場合、その所得は所得税又は法人税の課税対象となります。
  • マイニング等により取得した仮想通貨の取得価額は、仮想通貨をマイニング等により取得した時点での時価となります。

これらの文章から読み取れることは、市場価格のある仮想通貨を得た場合は取得時の金額に応じて税金を支払う義務があるということです。

たとえば、仮想通貨取引所で日本円にも交換可能な配当型仮想通貨を年間100万円分得た場合には、その取得金額に応じて税金を支払う必要があるということになります。


法人と個人で税率は違う

配当型仮想通貨で利益を得たら税金を支払わなければいけません。


ただし、支払う税率は法人と個人では全くことなります。

個人の場合は「雑所得」に分類され、取得総額に応じて最大税率55%まで支払うことになります。


対して、法人の場合は19%から23%程度に税率を抑えることができる上に配当型仮想通貨を得るために利用した経費を利益額から差し引いて税率が計算されることとなるため、同じ金額を稼いだとしても最終的に手元に残る金額に大きな差がでてきます。


これらの事案について詳しく知りたい場合は以下の記事がおすすめです。


配当型仮想通貨の税金が不要になるパターン

自由

これまで配当型仮想通貨は課税対象となると説明してきましたが、特定の条件を満たすことによって課税されないこともあります。

ただし、これらの内容は特定の事例を保証するものではありません。各事案においては最寄りの税務署に確認するべきです。


市場価格が存在しない配当型仮想通貨は例外

配当型仮想通貨の中には、取得した配当型仮想通貨が日本円やドルなどの法定通貨に変えることができない、もしくは市場価格が付いていない場合は「取得単価ゼロ」と判断することができます。

取得単価ゼロとなると利益がゼロと判断することができるため、税金の支払い義務は発生しないと読み取ることができます。


分岐した仮想通貨も例外

国税庁の発表でも「仮想通貨の分裂(分岐)により新たに誕生した仮想通貨を取得した場合、課税対象となる所得は生じません。」と記載されており、取得時点において価値がなかった仮想通貨においてはその時点で課税義務は発生しないこととなります。


分岐とはビットコインとビットコインキャッシュのような関係を言います。ビットコインを持っていただけで、ある地点から勝手にビットコインキャッシュが付与される状態を言います。この場合、取得した時点では課税義務が発生しないということになります。

ただし、ビットコインキャッシュのように市場価格が存在する仮想通貨においては、売却時には売却益に応じて課税義務が発生するので注意が必要です。


雑所得が20万円以下の場合、ただし条件あり

配当型仮想通貨の収益を個人の副業によって稼ぎ出した場合のみ、年間利益20万円以下の場合は確定申告が免除されます。

そのため、合法的に税金を支払わなくても良くなります。


あくまで会社員であり、かつ年間の雑所得合計が20万円を超えない場合に限ります。

個人事業主だったり、配当型仮想通貨以外の財津所得収益を合わせて年間20万円の利益を超える場合は確定申告を免れることはできません。