銀行員が勧める投資信託は危険
販売手数料2%は異常
地方銀行の投資信託販売件数ランキングを見てみると、ランキング上位の金融商品では申込手数料として1%から3%と記載されており、ぼったくりと思えるほどの手数料が設定されています。
申込手数料とは投資信託を購入する際に毎回発生する手数料のこと。購入金額に対して発生するため、申込手数料3%の投資商品を毎月3万円ずつ10年間続けた場合には購入金額360万円に対して数10.8万円もの手数料を支払うことになります。
申込手数料は投資信託の値動きにかかわらず、ただ購入しただけで10.8万円も手数料が発生します。つまり、購入した瞬間に投資家は損をするという仕組みになっています。
信託報酬の高い投資信託を勧める
信託報酬とは投資信託の運用手数料のこと。投資信託に資産をあづけている間は毎日発生する手数料のことです。相場としては預かり資産に対して年利0.1%から2%の金額が設定されています。
信託報酬のほとんどは販売会社と運用会社で利益が分けられる仕組みになっています。たとえば信託報酬1%の投資信託があった場合、0.5%は販売会社へ分配し、残りの0.5%分は運用会社の利益になるという仕組みです。信託報酬が2%であればそのぶん販売会社となる銀行が得られる利益額も大きくなるため、基本的に銀行員は信託報酬が高めに設定されている投資信託を勧めてくる傾向があります。
銀行員の給料を投資家が払う
銀行は融資や国債などの資産運用によって銀行員の給料を補填することがほとんどですが、個人への投資信託への販売についても銀行の収益となっています。本来、資産運用で貯金額を増やしたい顧客を利用し、顧客の運用実績に関係なく手数料を取るというあまりほめられるビジネスモデルではありません。
そして銀行窓口を利用する投資家は販売手数料によって銀行員を養ってしまっているという感覚が必要です。本来自分の資産を増やしたいのに、自分の利益を使って他人に利益を与えてしまっている行為は決して推奨されるようなものではありません。
可能な限り販売手数料がかからない投資信託を扱うネット証券や投資信託会社への移行を強くおすすめします。
銀行窓口で扱える投資信託は少ない
超低利回り商品が多い
銀行で扱う投資信託の売れ筋は国債や不動産ファンドなどを組み合わせた超低金利投資信託であることがほとんどです。超金利投資信託の販売件数が伸びる理由「損失リスクが低く、銀行員が勧めやすい」からです。
銀行預金を続ける顧客のほとんどが貯金を減らしたくない、不要なリスクを取りたくないという感情を持っています。積極的に投資をして利益を増やしたいという積極的投資マインドを持っている人は稀です。だからこそそんな顧客心理に漬け込んだ銀行員が販売できる投資信託は超低金利商品に偏るという結果がでています。
どの地方銀行でも「○○銀行 投資信託 ランキング」と検索すれば販売件数ランキングはネット上で確認できるため、最寄りの銀行の販売件数ランキング上位商品を確認してみてください。きっと申込手数料や信託報酬が高いものが上位にランクインしているはずです。
超低金利商品は利益がほとんどない
損失リスクが低い低金利商品の何が悪いの?と考える投資家もいるかもしれませんが、申込手数料が高すぎる銀行で超低金利商品を購入するのは効率的ではありません。ほとんどの場合、申込手数料分の利益を回収するために5年10年かかってしまう、もしくはずっとマイナスから抜け出せないままというのが現実です。
超低金利商品はリスクが少ない代わりに、得られるリターンもほとんどありません。つまり申込手数料を受け取った銀行員だけが得をし、投資家だけが損をするという構造になりやすいのが実態となります。
国債やREITもリスクはある
超低金利商品には国債やREITなどの低リスク商品が組み込まれていることがほとんどです。国債やREITは元本割れのリスクが低いからですが、元本割れしないことが100%保証されているわけではありません。国政が崩れれば国債も元本割れが起こる可能性はあり、不動産ファンドも企業が倒産すれば元本が割れることは十分に考えられます。
絶対に損をしないという投資はこの世にはないということは頭の中に入れておくべきです。
銀行員は銀行の利益優先
銀行員は投資プロではない
申込手数料の仕組みが理解できれば銀行員は顧客の利益よりも銀行の利益を優先する仕組みであることがわかります。顧客の利益よりも銀行を通していかに新しい金融商品を買ってもらうか、これだけに注力しているのが銀行窓口業務の本質です。
ここで注意したいことは銀行員はファイナンシャルプランナーでもなければ、ファンドマネージャーでもありません。もちろんそういった資格や経験を持った銀行員もいますが、その知識を顧客だけのために活用することは多くはありません。なぜなら銀行窓口は営業のプロだからです。投資信託や金融商品の販売実績で評価される銀行の従業員なのです。
狙われやすい退職金
銀行員は顧客の預額の高い預金者に対して営業をかけてきます。地方銀行に数千万単位で預金を預けている方のほとんどは毎年定期的に手紙や銀行の担当者から電話がかかってくるはずです。簡単なパンフレットを送りつけてきたり、ときには自宅まで訪問する営業マンもいるかもしれません。
特に気をつけてほしいのが、退職金など急に大金が銀行預金に入った場合です。彼らはそういった事実を見逃すことはありません。必ず執拗に営業をかけてきます。銀行で投資信託を買うという以前の問題ですが、そもそも退職金を投資に回すことは私は絶対におすすめしません。
60歳を超えてもらう退職金でその後の労働収入があまり見込めない状況で、退職金を一括で投資に回すなど自殺行為とほぼイコールです。退職金目当てに迫ってくる銀行職員とはかかわらないことが健全です。
巧みな話術に騙されてはいけない
この記事では投資信託を購入を検討する際に地方銀行窓口で相談と危険がたくさんあるということです。銀行員は言葉たくみに投資信託の購入を迫ってきますが、冷静にネット証券や他の投資商品をしっかり比較してから判断しましょう。
ほとんどの場合、銀行から勧めてくる金融商品がいかに高いかがわかるはずです。