ロシア・ウクライナ侵攻や中東および中国と台湾などの地政学的リスクが世界的に高まり続く中で日本政府は防衛費の予算増加を進めており、株式市場でも防衛関連銘柄の株価に人気が高まっています。

令和6年度の防衛費(要求概算)は前年より約8,000億円高い9.7兆円規模となっています(牛丼何杯食べられるのか…めちゃくちゃ高いですね)。

防衛省
防衛省
出所:防衛省

主な内訳は上記の通りですが、規模が大きいものでは装備品の整備や維持管理費で1.9兆円、車両・艦船・航空機等の発注に1.3兆円、ミサイル防衛に1.2兆円の予算が利用される計画となっています。


防衛関連株が人気となる理由には、他にも軍事産業で使われる技術が商用利用によって経済成長を加速させる可能性も期待されているからです。

単純に考えれば、戦闘機やミサイルなどの兵装品を自前で作ることで製品を海外に輸出して巨大な利益を上げる事が可能です。

兵装品以外でもサイバーセキュリティシステムや大容量のレーダー通信技術、ミサイル防衛システムなどを商用利用することでイーロンマスク氏が率いるスターリンクのように宇宙空間にインターネット通信網を配備することで衛生ビジネスに転用されること等も期待されてます。

防衛・宇宙産業が期待される理由をまとめると、以下の通りです。

    <防衛関連銘柄が期待される理由まとめ>
  • 世界の地政学的リスクから防衛費が増加
  • 防衛産業で日本はいくつかのコア技術を持っている
  • 軍事品を自前で生産すれば海外に売ることで巨大なビシネスになる
  • 軍事に使われる新技術は商用利用の可能性が十分ある

次は防衛産業で活躍するであろう日本企業を紹介していきます(投資判断は自己責任でお願いします)。


三菱重工業(7011)

三菱重工の事業は以下4つの事業で編成されますが、うち航空・防衛・宇宙事業の受注高は全体の29%、事業利益で見ると全体の22%を占めています。

三菱重工業
出所:三菱重工

三菱重工の防衛事業では戦車、潜水艦、戦闘機などを製造していますが、2022年12月のGIGO設立条約にて米国を除いた日本・英国・イタリアの3カ国で次期戦闘機の共同開発をすることが決定されており、今年7月10日には日本航空宇宙工業会(東京・港)と共同出資で設立した新会社、日本航空機産業振興(東京・新宿)が事業を開始したと発表されています。

三菱重工は次期戦闘機の機体部分を担当しますが、米国を抜きにして戦闘機を作れるとなれば、日本は米国から戦闘機を買う機会は減りそうです。

冒頭で説明し通り日本政府は射程圏外から対処できるスタンドオフ防衛および統合防空ミサイル防衛能力に注力していますが、三菱重工ではミサイル関連事業の開発・生産能力を増強中と中期計画でも発表しています。


三菱重工は宇宙産業の1つで2007年よりH-ⅡAロケットの製造・打ち上げをJAXAと共同で行っており、今年10月には49号機の打ち上げが予定されています。

ロケットと一緒に打ち上げられるのは情報収集衛星レーダ8号機であり、レーダ衛星が整備されることによって宇宙から地球の表面を昼夜問わず解析できるようになります。

レーダ衛生
出所:内閣官房

川崎重工業(7012)

川崎重工は以下6つの事業で構成されますが、防衛関連となる航空宇宙システム事業の受注高は全体の32%、事業損益で見ると全体の34%を占めています。

川崎重工業
川崎重工業
川崎重工業
出所:川崎重工業

防衛関連の事業別売上構成比で最も大きいのは特定の地域で敵の索敵や観察などに使われる哨戒機(しょうかいき)や輸送機・ヘリコプターですが、ミサイル(島嶼防衛用新対艦誘導弾)と潜水艦に強みを持っています。

川崎重工業
出所:川崎重工

島嶼防衛用新対艦誘導弾とは、国内唯一のターボファンエンジンが搭載されることで射程が長く、ステルス技術や赤外線による誘導などが採用されたミサイルです。

川崎重工業


潜水艦に関しては最新の「たいげい」型に続く新しい機体を開発しており、高いステルス性能、高い探知技術、機動性向上などを実現する予定とのこと。

川崎重工業


NEC(6701)

防衛関連株と聞くと、戦闘機やミサイル、ロケットのイメージが強い方が多いかもしれませんが、レーダー・通信システム、サイバーセキュリティなどの防衛用電子機器やシステムもまた国防には大切な技術となってきます。

NECでは防衛費増強の影響により防衛関連事業の売上高を2026年3月までに3,500億円、営業利益420億円まで伸長させる計画です。

NEC
出所:NEC

事業成長を実現するために同資料では200億円を投じて2025年3月までに防衛装備品の生産能力を増やす新工場を設立、2026年3月までには人員も1,000人規模で増やす方針を発表しています。

NECの防衛事業「ANS(エアロスペース・ナショナルセキュリティ・ビジネスユニット)」では統制システムやレーダ通信などを開発しています。

NEC


中でも注目されるのは、2018年に開始した日本の測位システムである準天頂衛星システム「みちびき」です。

「みちびき」では、数センチや1メートル程度の測位精度を提供するサービス、防災、減災に利用できるメッセージサービスを提供しており、NECは地上システムの整備・運用に携わっています。

NEC
NEC
NEC
出所:NEC

「みちびき」が提供するサービスは自動車やバスの自動運転や運転アシスト、IT農業、ドローン配達、除雪制御などの運転制御・支援での利用が期待され、かつ他国の衛星測位システムでも検討される流れとなっています。


ブログ村をポチッと押して、明日の記事も見に来てね(。・ω・。)ノ

にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村