日本人にとって投資・資産運用に馴染みがある人は少なく、大半は銀行預金を保有している状況ですが、ここ数年間で株式投資や投資信託を始める人が急激に増えています。
投資人口が増えた要因として考えられる投資環境の変化(なぜ投資を始めなければいけないんか)を今回は振り返ります。
投資・資産運用を始める理由1
1つ目は銀行預金の利率が低い状況が数十年続いているためと考えられます。
関連記事:銀行預金だけは危険!銀行にお金を預けるデメリット1990年代以前は普通預金でさえ1%以上の金利がついた時代がありますが、今は銀行に預けていてもお金が増えることがありません。
低金利時代が長期化する中では、銀行に預けていてもお金は増えません。
であれば、せっかくの預金を置いたまま腐らせるよりも少しでも利率の高い株や債券で資産を保有する方が効率的だと思う人が増えたことが投資のキッカケになっている人は少なくないはず。
投資・資産運用を始める理由2
銀行にお金を預けることが難しくなった理由は金利以外にもあります。
それはインフレ(物価高)です。
円安や世界的なインフレの影響により海外から輸入される製品や電気代が軒並み高くなっていますが、同時に円の価値が目減しているのが現状です。
出所:独立行政法人労働政策研究・研修機構上記のグラフの通り約75年間で物価は10倍以上へと上昇。
75年前の100万円は今の10万円分の価値もありません。
そして今後もインフレは続く見通しが高く、直近のインフレ率は前年比で2〜3%で推移しており、仮に毎年3%づつ物価が上がり続けると10年後の100万円の価値は74万円(26%減)となる計算です。
10年でお金の価値が4分の1減ってしまう世界線は恐ろしく、貯金だけしていると確実にお金が減り続ける状況の中では銀行預金以外へ資産を配分するしかない状況となります。
投資・資産運用を始める理由3
日本国民が投資を始める大きなキッカケ作りとなったのが、2019年に話題となった「老後2,000万円問題・年金問題」です。
老後2,000万円問題とは、(あくまでも当時の試算ですが)65歳から95歳までの約30年間の老後生活において、65歳から受け取れる夫婦の年金額が約18万円に対して1ヶ月の生活費24万円を想定すると、約2,160万円( = 6万円 × 360ヶ月)足りなくなるため、足りない分を年金以外で用意しなければいけない問題があるというものです。
当時のニュースでは「もう年金には頼れなくなった」「政府に対する信頼がなくなった」というような声が多く、2000万円という大きなどのようにして用意すれば良いのか迷う人が多かったようにも思えます。
この年金・2000万円問題を解決する方法として長期の分散投資が注目され始め、若い世代を中心に老後資金を早いうちから用意しておく意識が芽生えたことが投資を始めるキッカケとなっている状況です。
投資・資産運用を始める理由4
低金利の長期化や物価高、老後・年金問題など最悪の事態が襲ってくる中で、私たち日本国民は「いかに経済的な困窮を避けるか」ということが注目されていくわけですが、SNSやインターネットの普及により金融教育を手軽に学べる環境が急速に増えてきたことも投資を始めるキッカケとして考えらえます。
今でこそYouTubeで投資や節約などの資産形成ノウハウを発信したり、書店には多くの投資本が並ぶようになっていますが、この流れの火付け役となったのは両学長のYouTubeチャンネルがだったように思えます。
当時も投資に関する書籍やウェブサイトは沢山ありましたが、両学長が注目された大きな特徴は投資だけでなく家計管理や保険・税金などトータルで必要な金融知識を発信し続けてくれたこと、さらにはマインドマップツールなどを使ってわかりやすくお金の知識を解説してくれたことだと私は分析しています。
現在では大手メディアや有名インフルエンサーがYouTubeで投資関連の動画を発信することが当たり前となり、手軽に知識をインストールできる環境があるからこそ、投資を始めやすくなったと言えます。
投資・資産運用を始める理由5
老後問題やSNSでの投資情報をキッカケとして投資を始める人が増えてくるにつれて、日本の投資制度が変化してきたことも投資人口を増やす要因となっています。
過去を辿ると現行NISA発足前にも投資が非課税だった時代がありますが、イギリスのISA(アイサ)にならって日本が非課税制度NISAを導入したのが2014年でした。
そこから2年後となる2016年に「つみたてNISA」が開始され、今年2024年には投資期間が恒久化された新NISA制度が開始となったことにより、オルカンの資産流入額は昨年と比べて倍以上となり、投資人口および投資額が急激に増えた結果となります。
出所:wealthadvisor投資に税金がかからない制度が拡充されたことによって外国投信へ資産が大きく流入するも投資を始める人の数も量も増えたことは将来の資産形成において大正解だったと私は思います。
投資・資産運用を始める理由6
日本の非課税制度が税制改正によって改善されるにつれて、証券会社および資産運用会社の金融商品も進化してきました。
具体的には購入手数料や解約手数料がかからず信託報酬が安い金融商品だったり、タコ足ではない高配当銘柄を集めた投資信託が増えたことで投資家に有利な投資商品が拡充されたことで投資を始めやすくなったとも言えます。
個人的に好きな金融商品はeMAXIS SlimシリーズのオルカンとS&P500です。
これらを運用する三菱アセットマネジメントに努める社員さんも購入している人気商品となります。
投資・資産運用を始める理由7
金融商品が充実するとともにファンドラップや自動AI・ロボアドバイザー投資なる市場も急成長しています。
スマホ1つで手軽に投資を始められるということでロボアド投資の最大手はウェルスナビですが、私があまり好きではない理由は以下の記事にまとめています。
PCを持たない世代がスマホ1つで簡単に始められるという点において、最近流行りの傾向とも言えます。
ここまで7つの変化をまとめてきましたが、これらの影響によって日本では「投資をしなければいけない状況」になったとも言えます。
それぐらい昔と今では環境が激変しており、今後は銀行預金だけで暮らす人は今より貧しくなり、資産運用で少しづつ貧しくならないための工夫を強いられる社会になりそうです。
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