ROEが8%を超えると投資家からの評価が変わり、株価が上昇するというデータがあります。
それが今後もワークするのであれば、その事実を知っておいて損はありません。
ROE8%を今後超えていきそうな企業へ投資をしたり、今後ROEが下がりそうな企業に対して見切りをつけることが出来るからです。
今回はROEと株価の関係について解説していきます。
ROEの計算式
ROEとは、自己資本利益率のことを意味します。
自己資本利益率(ROE)とは、企業が持ってる自己資本(総資産から負債を引いた資産)に対して、企業がどのぐらい利益を積み上げているかを測る指標です。
計算式に直すと、以下のようになります。
ROE = 当期純利益 / 自己資本
たとえば、自己資本が1,000万円ある企業の年間利益が100万円だった場合、ROEは10%( = 100万円 / 1,000万円)と計算することができます。
次はROEと株価がなぜ関係するのかですが、これも計算式に直すと理解が早いかもしれません。
ROEは以下の計算式でも成り立ちます。
PBR = ROE × PER
PBR(株価純資産倍率)とは、企業が保有する資産額に対して、株価がどれぐらい買われているのかを表す指標です。
PER(株価収益率)とは、企業が生み出す利益額に対して、株価がどのぐらい評価されているかを表す指標となります。
計算式を見ればROEの数値が高くなるほど、PBRの値も高くなるということがわかるはずです。
ただし、PERが低くなる場合など必ずしもROEが高ければ株価が高くなるというわけではないことにも注意が必要です。
あくまでも株価を上げる要素の1つとして、ROEが関係してくるという事実をご理解下さい。
ROE8%を超えると株価は上がる
ここからが本題となりますが、「ROE8%を超えると株価は上がる」という事実は日経新聞でも報じられてます。
出典:日経新聞またニッセイアセットマネジメントでも同様の検証が行われていました。
出典:ニッセイアセットマネジメントさらに言えば、株式指数となる日経平均でも同様の傾向があります。
出典:ニッセイアセットマネジメントROEが高くなるほど企業の株価が評価される傾向にあると考えるには十分なデータだと思います。
ただし、未来の株価を保証するものではありませんので、ご注意ください。
現時点での効果
現時点での企業評価について時価総額1兆円以上、2兆円未満の企業の平均PBRを調べてみました。
ROE8%以上の企業数は43社あり平均PBRは2.9倍、ROE8%未満の企業数は22社あり平均PBRは0.9倍だったことを考えると、高配当株が注目されている現時点においても、ROE8%以上の企業は評価されやすい事実があるようです。
ちなみにROE8%未満の企業22社は以下のとおりです。
- 関西電力
- マキタ
- 中部電力
- アイシン
- 野村HD
- 東急
- 日本航空
- 東レ
- SOMPOHD
- ENEOSHD
- 阪急阪神HD
- 住友電気工業
- 三菱ケミカルG
- りそなHD
- 電通G
- 三井住友トラスト・HD
- 協和キリン
- 日本電気
- 三菱重工業
- 三菱HCキャピタル
- JFEHD
- 大日本印刷
三菱HCキャピタルについては、高配当株で大注目されていますので、今後8%を超えたタイミングで評価が変わる可能性を考えると、楽しみな部分もあります。
過去の三菱HCキャピタルのROE推移は以下のとおりです。
出典:IRBankROEを高める企業の行動とは
最後に企業がROEを上げるためにできる取り組みを確認してきましょう。
そういう取り組みに注目をすることで、今後の株価が予想しやすくなるはずです。
まずROEを高める方法は大きく分けて、以下の2通りに集約されます。
- 当期純利益を上げる
- 自己資本を下げる
先ほどのROEの計算式を想像頂ければ、理解は早いと思います。
利益を上げる方法
当期純利益を上げる方法として最もシンプルなのは、コスト削減です。
売上規模を長期的に上げていくことは大前提ですが、無駄なコストを徹底的に排除することにより、企業の利益は大きくなりますので、ROEを高める方法としては有効な手段となります。
コスト削減以外にも利益を上げる方法としては、すでに高い利益率を誇る企業を買収することです。
買収後、企業の決算を合算すれば買収費用で自己資本を減らせる他、買収した企業の利益がそのまま決算に乗せられるので、ROEを一気に高めることができます。
自己資本を下げる方法
続いて、自己資本を下げることでROEを高める方法としては、買収や設備投資などの先行投資によって利益余剰金を削っていくことです。ただし、投資対効果が低ければ、それが次の決算での利益拡大や売上維持につながらなくなってしまうと、経営は難しくなります。
見た目上では高いROEを保っていても経営が苦しい場合もありますので、そこの見極めは重要です。
最後にROEを上げる方法として最近最も流行しているのが、増配や自社株買いなどの株主還元政策となります。
利益余剰金を利用して、株主に自己資本の一部を返金する行為ですので、ROEを高める施策としては、株価上昇&企業のブランド価値向上にもつながり、効率的な打ち手と言えるはず。
これらの取り組みをバランスよく行える企業こそ、投資妙味があると言えます。
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