Tracers MSCI オール・カントリー・インデックス 全世界株式(以下、Tracers)という投資信託が以下のツイートで注目されていました。
正解は❹。『Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)』を調べてください。信託報酬は年率0.05775%。大人気銘柄オルカン(eMAXIS Slim全世界株式)のほぼ半額。SBI証券だけで購入できます。 pic.twitter.com/zv4B7C4ntC
— しんぱぱ (@shinpapa8888) May 27, 2023
ツイート内容によると「信託報酬は年率0.05775%。大人気銘柄オルカン(eMAXIS Slim全世界株式)のほぼ半額」とのこと。
信託報酬とは、投資信託を保有期間中にかけられる運用手数料のことです。
Tracersの信託報酬は年率0.05775%と訴求されており、オルカンの信託報酬(年率0.11330%)と比較すると確かに安い水準として見ることができます。
出典:nikkoamこれは本当に割安なのでしょうか?
私の見解は以下のツイートで書いた通りです。
>Tracersオールカントリーは指数の標章使用料が信託報酬に含まれず、また年率0.1%を上限とした額をその他手数料から徴収できると有価証券届出書に記載している
— Gaz(ガズ)@週末はブログを読もう (@gazooblog) April 11, 2023
やっぱり実質コスト次第なので、最初に飛びつくのはリスクありそうですね。https://t.co/07mzPZoWNy
実質コストの懸念
投資信託の交付目論見書に記載される信託報酬とは、あくまでも「このぐらい経費がかかりそうです」という目論見(もくろみ、想定)であり、実際の評価資産から引かれるコストとは異なります。
実際に引かれたコストのことを実質コストと言いますが、売買委託手数料や有価証券取引税、保管費用、監査費用などを含めた実質コストは運用後になってみないと分からない仕組みです。
その点で考えるとTracersは2023年4月26日に設定されてから日が浅く、まだ正確な実質コストが計算できる段階ではありません。
有価証券届出書の懸念
2つ目の懸念としては、有価証券届出書に記載がある以下の2点です。
- 信託報酬には指数の標章使用料が含まれていない
- 年率0.1%を上限にその他手数料として徴収できる
オルカンの信託報酬には指数の標章使用料が含まれた金額で表記されていますが、Tracersの信託報酬にはそれが含まれておらず、さらにはそれを補完するかのように、その分のコストを含めたその他手数料として年率0.1%を上限に請求できるとしているので、Tracersの実質コストは年率0.05775%より最大0.1%も高くなる可能性が高いということです。
三菱UFJ国際投信が追随しない懸念
3つ目の懸念は最安値を目指す三菱UFJ国際投信(eMAXIS Slimシリーズ)が現時点では追随しない方針を示している点です。
過去SBI証券が最安値を更新した際など、他社が低価格の投資信託をリリースする度、何度も最安値を更新してきた三菱UFJ国際投信ですが、今回は追随しない方針を示している状況を考えると、Tracersの信託報酬はeMAXIS Slimシリーズより割安になる可能性が低いのではないかとも考えられます。
以上、3つの懸念により、Tracersに早々に飛びついてしまうと、後から信託報酬が高かったという事実に後悔する可能性も検討していかなければいけません。
投資先の銘柄選定には慎重になっていきましょう。
応援クリックお願いいたします
当ブログ記事をお読み頂き、誠にありがとうございます。
ページを飛ぶ前にブログ村のバナーをクリックお願いしたいです。
にほんブログ村
1日1回押して頂くとブログ村のランキングが上昇するので、モチベーションにつながります。
お手数ですが何卒よろしくお願い申し上げます。