三菱商事の株価が高騰
昨日、三菱商事が史上最高値である5,000円を更新することでTwitterのトレンド入りを果たしました。

直近の株価成長は年初来+19.36%とグロース株かと見紛うほどです。
株価が上昇している大きな要因はいくつかあります。
【価格高騰要因】
- 資源価格高騰による追い風を受けている
- 今まで万年割安株と放置されていたがバフェットが投資をしたことで流れが変わった
- 累進配当や自社株買いなど株主還元に積極的な企業である
資源価格高騰の影響
2月13日に公開された2022年第3四半期の決算資料によると、10ヶ月前に更新された通期見通しは8,500億円でしたが、先月の上方修正で11,500億円と当初の見通しよりも3,000億円も高い数字となっています。

それだけ資源価格の高騰が業績に与える影響が大きくなっていますが、上記資料にもある通り、価格要因を除いた利益の見通しは7,300億円となり、価格要因で稼ぐ利益の割合は次第に大きくなっています。
資源価格が高騰する相場がいつまでも続くわけではありませんので、いつかは利益が圧縮されるリスクが発生します。そのリスクが発生した際、株主として気になるのは減配はあるのかということです。
減配リスク
2023年2月3日に行われた決算説明会では以下の質疑が出ています。
Q. 価格要因を除いた利益見通しを11月発表時の6,600億円から7,300億円に引き上げた理由は実力値が上がったと考えて良いのか。また、価格要因を除いた利益が上がらなければ、増配はないという理解か。
(以下、解答)
- 価格要因を除いた利益は、資源価格や為替の影響を補正した後の利益であり、必ずしも実力値とは考えていない。
- 価格要因を除いた利益は収益力を測る上で重要だが、資源価格や為替による変動を除くだけで一過性なども含まれており、あくまで一つの指標に過ぎない。市況の振れ幅が大きい状況において、価格要因を除いた利益を着実に成長させていくことが中経2024最終年度に向けた定量目標の一つであり、同利益の成長が累進配当継続の上での重要な要素になっているもの。
- 6,500億円から7,300億円への引き上げについては、全般的な市況の追い風を受けて好調となっている面もあるが、循環型成長モデルの実践を加え、一部のトレーディングにおいても商機を捉えて収益力の向上に繋げられたことが背景にある。
- 累進配当を維持する為には利益の持続性が重要と考えており、価格要因を除いた利益を一つの判断材料としつつ、収益力の持続性を慎重に判断している。
この解答を見て分かる通り、株主の答え、要望には答えてないことは明らかです。想像の範囲を超えませんが、おそらく価格要因を除いた利益が上がらなければ増配はなさそうな気がしますし、価格要因の利益が下がったとしても減配するリスクは小さいと期待したいです。
権利確定月の高値づかみ
もう一つ忘れてはいけなのが、三菱商事の配当金支払いの権利確定日は期末配当が3月31日に控えているということです。
去年の株価を見ると、3月28日時点で4,749円まで上昇した後、権利確定後から4月8日までに4,132円まで下がり、その後株価は上下を繰り返しながら、5月11日には3,973円をつけました。

三菱商事では配当金狙いの株主が多く、権利確定日が過ぎると、飽きられて他の銘柄に乗り換える可能性があります。
加えて、記事の冒頭でグロース株と見紛うと言いましたが、資源価格の高騰相場が終われば三菱商事の成長余地は小さくなります。実質的なグロース要因が消えれば投資家も去り、株価を支え続けるのは長期のバリュー株投資家のみです。
そのことを踏まえると、権利確定前の株価は高くなりやすく、高値を掴んでしまう可能性もあるため、十分に注意が必要です。