バフェットの投資スタイル
天才投資家ウォーレン・バフェット率いるバークシャーハザウェイのポートフォリオを振り返ると、投資スタイルは「集中投資型」であることがわかります。
2006年12月末の銘柄構成比を見ると、たった3銘柄で全体半分を占めていました。

上位5銘柄の構成比率を合算すると、約7割(67.9%)にもなります。
さらに直近(2022年9月末時点)でのポートフォリオを見ると、そのスタイルはさらに研ぎ澄まされており、たった2銘柄で全体の半分以上を占めています。

2006年4Qから比較すれば時価総額は約5.6倍にもなっていますが、分散比率は小さくなり、特にApple社への集中投資は見事です。
暴落時の投資を振り返る
2006年4Q時点での上位銘柄について、リーマンショック時(2007年9月から2013年3月末まで)の銘柄構成比率を追ってみると、バークシャーは上位構成銘柄を売るどころか、ホールドしつつ、銘柄によっては買い増す傾向がありました。

KOとAXPについては一度も売らず、リーマンショックの間もずっとホールド。
WFCは株価が暴落中に何度も買い増しをしていました。
PGとMCOだけは株価が底をついた後に9〜10%程度ずつ手放したりしています。
当時の株価を見ると、WFCは2007年初の株価より7割近い安値となり、かなりの割安感を出していましたが、その後は急回復していますので、バフェットは見事にバリュー投資を実行できていると言えます。
出典:Yahoo!Financeちなみに2006年4Qの上位銘柄(KO,AXP,WFC,PG,MCO)を売買せず、そのまま今日までホールドし続けると、年率7.71%の利益を得ることができています。

売買してもしなくても利益を得られるのですから、バフェットの銘柄選定力は流石と言えるでしょう。
含み益率ランキング
2022年3Q時点での上位保有銘柄50社のうち、最もリターンの高い銘柄20社を抽出してみました。

最も利益額が取れているのはAAPL社ですが、平均購入単価から見た現在の株価が高いのはMAということになります。Vも3位にランクインしているため、クレジット決済システム会社とバフェットの相性は良いのかもしれません。
2番目にリターンが高いMCOは2006年の上位銘柄でもあり、途中で一部売却していたことが残念です。バフェットに忍耐力があればとも考えられますが、その銘柄を手放した資金がMAやApple社への投資に利用されていることを願うばかりです。
天才投資家と言われるバフェットでさえも株価を長く保有することがとても難しいんだと想像できて、とても楽しいデータになりました。
バフェットの投資から学ぶ
2005年に行われたネブラスカ大学の講演にて「最悪の投資は何ですか?」と聞かれたバフェット氏は「今まで大きな投資チャンス(およそ100億ドル)を逃したが、Microsoftを買わなかった理由はそれとは違います。知識がなかったので判断ができなかったのだ」と答えています。
2022年3Q時点までのポートフォリオを見てもバークシャーは世界2位の時価総額まで成長しているマイクロソフトに投資をしていません。
ただし、AppleとAmazonには投資をしています。
ここまでの経緯を見ると、バフェットは自分達の知識の中で最大限のパフォーマンスを目指す投資スタイルが見事に成功しているように思えます。
仮にバフェットがマイクロソフトやテスラなど今輝かしい実績を誇る銘柄に投資していても、同じように利益を上げ続けられたかはわかりませんし、もしかすると損をしていたのかもしれません。
これから投資を検討する人は、バフェットのように自分の得意分野で戦うスタイルを参考にしてみてはいかがでしょうか。