FTX破綻の集団訴訟

以下の記事によれば、FTX破綻で被害を受けた米国の投資家は集団訴訟にて総額1.5兆円の損害賠償を求めている。


ここまでの経緯は各メディアで語られ尽くしているので割愛しますが、集団訴訟に参加している投資家はリスク許容度を超える投資を行ったため、予想を超える損失を受け入れることができず、怒りの矛先を取引所や関連のある個人を訴えることで少しでも多くの資金を取り戻す手段を探していると思われます。

彼らに「投資は自己責任」という言葉は聞こえません。


大谷翔平や大坂なおみも対象へ

投資家の怒りの矛先がFTXだけでなく、アンバサダー(広告塔)として活用された有名スポーツ選手にも向いていると報道され、その中にはテニスプレイヤーの大坂なおみ選手やメジャーリーガーの大谷翔平選手も含まれているとのことです。

今回の論点としては、広告塔に活用された有名人に賠償責任があるのかという点ですが、個人的にはFTXにでさえ損害賠償を認めさせることが難しいと思います。ましてや広告塔となる大谷選手や大坂選手が投資家の損失を補填するような義務はほとんどないと考えてしまいます。

FTXの経営を詐欺だと主張するメディアもありますが、大手の仮想通貨取引所が法律に触れるような仕組みに気づかなかったとは考えにくいですし、顧客の資産を扱ったり、レンディングに利用するための必要な契約事項は既に対策されていて当然です。FTXに欠陥があるとすれば、契約内容よりSBF氏の説明不足によるところが大きいのではないかと思われます。


コインチェック事件での出川哲朗氏

2018年に仮想通貨が暴落する原因となったコインチェック事件が起きた際、CMに起用された出川哲朗氏にも賠償責任はあるのかということが話題になりました。



コインチェック事件は盗まれた資産が全額返済されたため集団訴訟には発展しませんでしたが、仮に返済されなかった場合でも出川氏へ賠償責任を求めるのはかなり難しいはずです。

そもそも大谷選手も出川氏も仮想通貨投資に詳しいわけではありませんし、FTXやコインチェックのセキュリティ体制やシステムが万全である(ハッキングリスクが起きないなど)を主張していたわけでもありません。彼らのCM活動は企業を認知させる上では役立ちますが、投資家の投資判断を促したり、投資家の損失につながる理由と考えるのは理不尽です。

日本の裁判でも過去に有名人をCMに起用した詐欺事件が起きましたが、責任を否定されるケースが確認されています。