安全な仮想通貨取引所の条件
世界最大の仮想通貨取引所であるバイナンスはFTXの事件を踏まえて、CEO自ら安全な取引所の条件を公式ブログで提示しました。
上記ブログに記載のある条件と内容は箇条書きで記載されています。
1. 顧客資産のリスク回避
- 顧客資産を取引してはいけないし、投資もしてはいけない
- 取引所は投資リスクを積極的に説明しなければいけない
日本の仮想通貨取引所は世界と比較すると、顧客資産管理対策が進んでいます。先日、日本の大手であるビットフライヤーもFTXの事件を受けて、顧客資産が安全である旨を発表していました。
既存金融である証券業界も含めて、取引所が投資家に対してリスクを十分に説明できている所は少ないようにも思えます。今後は取引所だけではなく、投資家に対しても規制が必要かもしれません。
2.ネイティブトークンを担保にしない
- ネイティブトークンとは、取引所を運営する企業によって作られた取引所トークンのこと
- ネイティブトークンはブロックチェーンの強固な基盤を保証し、成功の活力源となる
- BNBは分散されたコミュニティかつ検閲に強いブロックチェーン。総供給量を100,000,000BNBまで減らし続け、高い透明性と予測可能性を提供し、ゲーム、SNSなどの分野でdApps開発が可能
取引所が発行するトークンで成功しているのはBNBだけです(個人的意見)。CEXなどの配当型トークンや国内外で様々な取引所トークンが話題となりましたが、発行当初は価格が急騰するものの、その後、取引所の収益力とともに価格が暴落する傾向が強くあります。BNBの価格が今日まで上がり続けているのは、バイナンスの収益力がここまで安定して伸びてきたことが背景として大きいです。
FTXは仮想通貨取引所であると同時にearning(仮想通貨レンディング)機能も提供していました。仮想通貨投資のリスクに合わせて、レンディングのリスクも掛け合わせることにより今回のような騒動が起きたと考えれば、FTXへ投資をしたユーザのリスク管理がかなり甘かったことも原因の1つとして考えられます。
3. 資産証明を共有する
- バイナンスは主要ホットウォレットとコールドウォレットのアドレスの詳細を共有することを開始
- 今後数週間のうちにマークルツリーの作成に取り組む
顧客資産が担保されているかをブロックチェーンを使って証明することは、顧客の安心に直結します。資産を悪意のあるハッカーから盗まれないよう秘密鍵のセキュリティにも十分に取り組んでほしいし、その点に関しては公開しすぎないように注意してほしいです。
4. 強力な準備金を維持する
- バイナンスは現在約10億ドルのSAFU基金を保有
- 他の企業も同様のことを約束する必要がある
仮想通貨取引所を運営する以上、ハッキングリスクは避けられません。万が一、何かあった時の準備金が大きく担保されていれば、投資家は取引所に資産を預けることに対しての安心が増します。
5. 過度なレバレッジを回避
- 借金で投資することは賢明ではない
- 暗号資産はボラティリティが高すぎる
- バイナンスは無借金経営
- 業界パートナーにも保守的であることを求める
個人投資家においては、レバレッジが推奨される場面はほとんどありません。ましてや仮想通貨投資のようなハイリスク資産では尚更です。
6. セキュリティの強化
- 業界全体でのセキュリティ基準に合意する必要がある
- 盗まれた資金の調査や回収サポートするために法執行機関との強力なパートナーシップが必要
- 新しいプロジェクトには適切なセキュリティ対策、インキュベーションプログラムが必要
- 既存モデルの弱点を修正するためオンチェーン分析への投資を準備する必要がある
- すべての取引所は厳格なKYCおよびAML対策を実施すべき
同意しかありません。不正に盗まれた仮想通貨資産はおおむね裁判所によって現金化され、国庫に収められるなど、投資家の手元には還元されないケースが多々あります。マウントゴックス事件のように犯人が見つかった場合でも被害者の手元に資産が返ってくるまで(まだ返ってきてない)8年以上かかるなど、司法局との連携される国や機関を作るのは急務です。