株の長期投資が難しい理由
日本証券業協会の調査によれば、投資家の平均保有期間は60ヶ月(5年)と発表されました。
出典:日本証券業協会10年以上保有している投資家は全体で25.8%。最年長である70代以上の分布を見ても10年以上保有している割合は31.8%に止まっています。
言い換えれば、株式投資家は何かしらの理由で全体の7割程度は株式資産をすべて売却してしまいます。考えられる理由はいくつかあります。
儲からなくて怖い
長期投資を続けられない理由の1つは、単純に「握力が弱かった」という点です。
長期投資ですから、リーマンショックやITバブル級の暴落相場に必ず遭遇するわけです。株価暴落時に損失拡大を防ごうと途中で資産を売却してしまうのは人間心理として当然の行為のようにも思えます。
ましてやITバブル以前は今のようにSNSやインターネットの情報にさえアクセスできなかったわけですし、インデックス投資のような長期投資は今ほど有力視されていませんでした。相場環境から見ても短期トレードが主流の時代で長期投資を続けるのは至難の業です。
加えて、長期投資を続けているとコロナショック時のZoom Video Communicationsのようなトレンド銘柄が時代とともに何度も出てきます。当時はたった1年間で8倍近くまで株価が成長しますが、トレンドが下向きになると株価が叩き売られます。
出典:Google Finance長期投資を続けていると、隣の芝生が青く見えてしまいます。指数や上手に分散されたポートフォリオでは年間平均利回り10%を超えることはほとんど難しいですが、個別株やトレンド銘柄であれば、リスクと同じぐらいそのハードルは超えやすくなります。
ですから長期投資は少ない利回りで資産を運用し続けることに疲れやすく、それが途中で断念してしまう理由となるのです。
万が一のリスク
ライフイベントや病気、リストラなどで急にお金が必要になる時期が来た時は投資をやめざる得なくなります。長生きするほどリスクは高く、長期投資は難しくなります。
出典:基礎から学べる金融ガイド(金融庁)株式投資の目的の1つとして、上記のようなリスクに対応するための資産形成ということもあります。老後の生活費や人生において必ず達成したい目的のために資産を使うのは悪いことではありません。リスクは起きないことに越したことはありませんが、投資をしていなけばリスクにも対応できなくなってしまう場合もあり、それはそれで大変です。
生活水準を下げられない
最後3つ目に長期投資を継続できなくなる理由は、生活水準を下げられないことだと思います。
生活水準が高い投資家ほど現金を含めた資産を多く保有していないと安心できませんし、投資判断ではメンタル影響が大きく出ます。狼狽売りしやすい投資家ほど生活水準が高く、投資リスクを許容しずらい傾向にあるはずです。
生活水準が低ければ投資に失敗してもお金に困る危険が少ないため、暴落相場でも何とか耐えることが出来ます。必要な生活防衛費を確保していれば、株価が暴落しても普段の生活には影響がでませんし、生活水準が低い人ほど生活防衛費も少なくて済みます。
長期投資を続けたい人はご自身の生活レベルを苦労のない範囲で落としておくこと(低いレベルになれておくこと)も準備として大切だと思います。