米国株を代表するS&P500は「つみたてNISA」「iDeCo」をキッカケに始まったインデックス投資ブームのど真ん中の金融商品です。
出典:Google Finance過去の株価を見ると40年間で26倍も成長しており、長期的な資産形成をする投資先として魅力的だったことはたしかな銘柄です。
このような株価推移を見た際「この銘柄にレバレッジをかければ、もっと儲かるのでは?」と考える投資家もいるかもしれません。
本来レバレッジは長期投資向きではありませんし、金融庁も警告しています。
ですが、実際はどうなのかを今回は検証してみたいと思います。
S&P500レバレッジ投資信託
今回比較する投資信託は以下の2つの商品です。
比較項目 | eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | iFreeレバレッジS&P500 |
設定日 | 2018/7/3 | 2018/8/31 |
購入手数料 | なし | 2.2% |
信託報酬 | 0.0968% | 0.99% |
為替ヘッジ | なし | あり |
純資産総額 | 14,226億円 | 161億円 |
分配金 | なし | なし |
レバレッジ倍率 | なし | 2倍 |
非課税制度 | 対象 | 対象外 |
大きな違いはレバレッジ投資信託が購入手数料で2.2%(税込)もかかることと、つみたてNISAには対応していない点です。投資した瞬間から年率2.2%のリターンを証券会社に取られるわけですから、それを上回るだけのパフォーマンスが期待できなければ、選ぶ意味がありません。
月1万円の積立投資(レバレッジ2倍)
2018年8月末から2022年10月末までの4年2ヶ月間、毎月1万円ずつ両者に投資をした場合の資産推移を見ると、以下の通りになります。
レバレッジ2倍となるiFreeレバレッジS&P500は2021年12月に最高値となる819,291円まで資産が膨れ上がりますが、2022年以降の下落相場の影響を受けると、急激に資産が減少し、2022年4月末の段階で資産が逆転します。
2022年10月末時点では、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の方が資産を増やせた結果となりました。
レバレッジは上昇局面では強いものの、2020年3月で起こったコロナショックや2022年の下落相場では過去の含み益がほとんど解消されてしまい、元本割れスレスレという状態です。
やはり長期投資を考える上ではレバレッジは不利に働いてしまいます。
S&P500レバレッジ3倍ETF
次は米国ETFにあるレバレッジ3倍ETFで約14年間投資を継続したパターンを見てきます。
比較するの銘柄は以下のETFです。
比較項目 | SPY | SPXL |
設定日 | 1993/1/22 | 2008/11/5 |
約定手数料 | 0.495% | 0.495% |
経費率 | 0.09% | 1.01% |
為替手数料 | 25銭/ドル | 25銭/ドル |
純資産総額 | $349,405M | $2,540M |
配当利回り | 1.22% | 0.12% |
レバレッジ倍率 | なし | 3倍 |
2008年12月から2022年11月まで約14年間、毎月1万円ずつ投資をすると、以下のような資産推移を辿ることになります。
月1万円の積立投資(レバレッジ3倍)
先ほどとは真逆の結果で、2022年11月1日時点でSPXLへ投資した資産はSPYの約2.6倍の規模となる1,604万円という結果になりました。
ただし、2021年12月時点で3,000万円超あった資産がわずか1年で半分程度まで減っています。たった11ヶ月間で1,400万円程度の資産が消えていく過程では、どこかで損切りしてしまいそうです。
コロナショック時でも2019年時点で1,294万円あった資産が2020年3月時点では510万円にまで減らされるので、かなりメンタルがやられる銘柄であることは間違えありません。