暴落時に買い増しするETF
2022年10月末時点で株式市場はS&P500が-19.28%、ダウ平均は10.53%も下落し、債券市場も15%近い下落率となり、私たち投資家は稀に見る下落相場に遭遇しています。
そんな下落相場となる2022年1月から10月末までの間に最も買われているETFはVOOとIVVでした。
出典:etf.comNet Flowsとは、資産が流出入した金額となり、プラスであればその額が買われており、マイナスであれば資産は売却されていることになります。
手数料が安いETFは強い
今年最も資産流入が激しかったのは、Vanguard S&P500 Index Fund ETF(通称:VOO)です。後に資産流出額の多いETFも紹介しますが、手数料の高いSPYからは資産が流出しており、手数料の安いVOOに大きく軍配が上がる結果となりました。
下落相場で資産を売却する際は将来性のない銘柄からポートフォリオを離れていくわけですから、手数料の高い銘柄(特にインデックスファンド)は投資期間を短くしてしまうため、選ばない方が賢明です。
バリューETFが相対的に魅力
VOOやVTIなどのインデックスファンドに続いて資産流入額が多いのはバリュー株ETFのVTVです。下落相場では株価が下がることで高配当株の配当利回りがより魅力的な数値となります。加えて低PER銘柄は大きな影響を受けにくい傾向もあり、暴落相場ではグロース株からバリュー株への動きが加速しやすくなったと考えられます。
加えてVTVも経費率が0.04%と安く設定されており、他のバリュー株と比べても暴落時に手放しずらい銘柄と言えます。
債券ETFも買い増し
今年はTLTやBNDなどの債券ETFも資産流入が進んでいます。
出典:etf.comインフレ抑制による金利の急激な引き上げ&債券価格が暴落したことにより、安値で債券を仕入れたい長期投資家が増えていると考えられます。
人気レバレッジETFも活況
日本でもレバナス投資が人気ですが、米国でもNASDAQ100指数に3倍レバレッジをかけたETF「TQQQ」への投資が根強い傾向にあります。
出典:Google Finance株価が大きく下がったとしても、その後の上昇を期待している投資家が多いのかもしれません。ですが、当ブログでも何度も取り上げていますがレバレッジETFは長期投資には不利となるため、投資判断には要注意です。
ここまでが2022年の暴落相場で買い増されていたETFとなります。
下落相場で手放すETF
次は2022年の下落相場で売られていたETFのランキングです。
出典:etf.com先ほども書きましたが、VOOより手数料が3倍もするSPYは今年最も売られているETFとなってしまいました。
物価連動債ETFが売られる
物価連動債券ETFであるTIPとSCHPも2022年に売られた銘柄となりました。一般的に物価連動債はインフレに強い資産と言われますが、今回のような急激なインフレ局面においてはクーポン利率が固定される仕組みが満期の長い債券ほどヘッジにならないと判断されていると思われます。
出典:Google Finance過去のチャートを見ても物価連動債が上昇するのは、実質金利を下げていたリーマンショック時や2019年以降です。
現在の相場でTIPを保有するより金利の引き下げが始まったタイミングで投資をしたいと考える人が多いのかもしれません。
特定の地域や業界へ投資するETF
その他の投資家たちが手放した銘柄を見ると世界株や米国株のようにバランス良く分散されたETFが少なく、金融セクターやバリュー株、ハイイールド債、欧州株など、特定の地域や業界へ投資するETFが多い傾向にあると思われます。
現在売られている銘柄もトンレドが発生している時は大きく上昇しますが、時期が悪くなると一気に株価が下がり、握力がなくなってしまう可能性があることを改め気づかせてくれます。