国民年金支払い総額

年金は1階、2階、3階と、第一号、第二号、第三号被保険者の6つの部分に大きく分けて考えることができますが、中でも最も年金の土台となる部分が1階部分の国民年金(老齢基礎年金)です。

公的年金
出典:rakuten-life

専業主婦(夫)の場合は配偶者が代わりに保険料を支払いますが、日本国民なら国民年金は必ず支払わなければいけないものです。

その国民年金の支払額が年々増えていたことはご存じでしょうか。

日本年金機構が発表する「国民年金保険料の変遷」を参考にして、生まれた年に合わせた国民年金の総支払額(20歳から60歳までに支払わなければいけない保険料の総額)を計算すると、以下のようになります。

国民年金の総支払額


1941年生まれの方は1961年から2000年までの40年間で244万円の国民保険料を支払ったこととなりますが、2002年に生まれて今年から国民年金保険料を40年間支払う人は生涯で816万円も支払うこととなります(現在の保険料16,590円/月に変動がないと想定した場合です)。

1941年生まれと2002年生まれの国民年金保険料を比較すると、2002年生まれの方は3.35倍(= 816万円 ÷ 244万円)も高い金額を国民保険料として支払うこととなります。

物価の違いや稼ぎやすさなど様々な時代の違いがありますが、それでも支払い総額が3倍以上となっているのは衝撃です。


国民年金受給額シミュレーション

では支払い総額の次は生涯で受け取れる金額はどの程度なのかを見ていきます。年金受給額は65歳から90歳までの25年間で受け取れる金額を想定しています。

なお、毎年受け取れる年金総額はこれまでの減少幅を考慮し、毎年0.02%ずつ減少させています(日本経済が想定よりも失速すれば減少幅はもっと大きくなります)。

先ほどの生まれた年ごとの保険料支払総額と比較すると、総受取金額の推移は以下のようになります。

国民年金の総支払額と総受給額


1941年生まれの方は国民年金の総支払額が244万円なのに対して、90歳までに受け取れる国民年金の総額は1,939万円と想定されます。

2022年に生まれた方は国民年金の総支払額が816万円に対して、受け取れる国民年金の総額は1,649万円。40年間の投資リターンとして計算すると、+102%という運用成績です(40年間で投資利益が元本と同じぐらいの額、資産は2倍になったという感じです)。


では最後に40年間の投資リターンとして+102%の数字は他の金融商品と比較した時に高いリターンなのか、低いリターンなのかを検証していきます。


積立投資で利回りを算出

新生銀行の積立シミュレーションを使って、国民年金の平均利回りを計算すると、年間の平均利回りは3.5%ということがわかります。

積立シミュレーション
出典:新生銀行

2018年から2022年9月までのつみたてNISA(S&P500)の平均利回りは8%程度となっており、過去100年程度の平均利回りを見ると6%程度に収まっています。それが将来保証されるかは別の話ですが、それを踏まえると3.5%の利回りは魅力的ではないのかもしれません。

つみたてNISA銘柄


個別株投資がうまい人であれば年利3.5%は全然魅力的ではないと思いますが、国民年金の利点は源泉が税金となっているため、利益がゼロになるリスクが小さいことも考慮しておくべきです。


リスクの違い

国民年金と一般的なインデックス投資のリスクを比較するのであれば、以下の様になると思います。

    <国民年金のリスク>
  • 経済成長次第で受け取れる金額が減る
  • 経済成長次第で支払う保険料が増える
  • 円安によって円の価値が下落する

    <インデックス投資のリスク>
  • 株価暴落によって利益が半減したり、元本割れのリスクがある

どちらにもリスクがありますが、国民年金の場合は「支払わない」という選択ができません。悲しいですが、日本人として遅く生まれてきた世代ほど不利な制度です。

今回はそんな現状をシェアできればと思いました。