トラベルルールとは?

仮想通貨取引所で行われるトラベルルールとは、仮想通貨を送金する際に送付依頼人と受取人に関する情報の一部を、送付先となる取引所へ通知しなければいけないルールです。

なぜこのように取引情報と個人情報を結びつけておくかというと、それはマネーロンダリング対策です。悪意のあるハッカーが不正に暗号資産を盗んだ場合、個人情報の登録を必要としない(もしくは嘘の個人情報を登録してもバレない)取引所を利用してドルやユーロなどの現金を手に入れます。

この際、世界中にある全ての取引所がトラベルルールおよび本人確認を徹底していれば、悪意のあるハッカーは暗号資産を取引所へ送付した時点で個人情報が特定され、犯人を逮捕することが可能です。仮想通貨は取引履歴を後から改ざんすることができないため、個人情報がわかれば犯人逮捕はしやすくなります。


やるべきことは?

基本的に仮想通貨投資家(暗号資産取引所の利用者)が何かすることはありません。

ただし、取引業者は以下の情報を取得する義務が発生します。

【送付依頼人から取得するべき情報】
  • 送付依頼人の氏名、住所もしくは顧客識別番号
  • 受取人の氏名、送付先アドレス、住所に関する情報
  • 受け取り側が暗号資産交換業者であるかの確認(取引所の場合は名称も追記)
  • 取引目的に関する情報

加えて、受け取り先が以下の条件を満たす取引所の場合、取得した個人情報の一部を通知する義務が発生します(取引業者側の作業で個人の利用者への負担はありません)。

【通知義務が発生する取引所の条件】
  • 受取側が国内の暗号資産取引業者
  • 受取人と送付依頼人が同一人物
  • 送付する暗号資産がBTCまたはETH
  • 送付する暗号資産の邦貨換算額が10万円を超える額

上記の条件で2022年10月より運用が開始されており、そのイメージがこちらです。

トラベルルール
出典:日本暗号資産取引業協会

繰り返しになりますが、利用者が何かをすることはありません!

万が一、トラベルルールに関することで個人情報やパスワードを求められた場合はフィッシング詐欺などを疑いましょう。資産が奪われないよう知識をつけておくことが重要です。


気をつけるべきこと

過去に日本の取引所でもマウントゴックスやコインチェックから大量の仮想通貨が盗まれましたが、今後も同じような事件が発生する可能性は極めて高くなっています。


そんな事件が起きてしまった時の対策として仮想通貨のアドレスと個人情報を紐づけておくことは個人の資産を守る上でも大切になります。


また個人情報を入力しなくて良いような無料のWEBウォレットや分散型の暗号資産取引所(DEX)の利用は極力避けるべきだと思います。そういった場所で仮想通貨が盗まれれば、犯人の個人情報を特定することが難しくなるため、盗まれた暗号資産が戻ってこない可能性が高いです。

仮想通貨を扱う際はアドレスと個人情報が結びついているかを気にしておくべきです。