日本人はもう年金だけでは暮らせない理由

今の日本を見れば「年金だけでは暮らせなくなる」と確実に言い切れます。「将来は年金があるから何とかなるだろう」と考えている人がいれば「絶対に何ともなりません」と強く主張したいですし、年金を頼りにして困るのは自分自身ですから、早期に考え方を改めてほしいと思います。

今回は日本人が年金ではどうにもならなくなる理由をデータととにも紹介しますので、勉強のためにも最後まで読んで頂けると嬉しいです。


年金受給額の減少

年金額は毎年改定されており、2022年4月も年金が減額されたことはご存じでしょうか。

年金額改定率の推移
出典:朝日新聞デジタル

年金が減る要因にはいくつかありますが、主に考えられることは以下の通りです。

【年金が減少する要因】
  • 税金を納める労働者の減少
  • 年金をもらう高齢者の増加
  • 長生きによる医療費負担の増加
  • 一人当たりの労働生産性が上がらない
  • 平均賃金が上昇しない

細かく見れば他ににも理由はありますが、大まかに見ると「年金を必要とする人や金額に対して、供給側の労働者や労働生産性が追いつかず、必要な分だけ年金を支払うことが苦しくなっている」というのが現状です。

であれば、国債を大量に発行したり、減税政策で国民の負担を減らせば良いと考える人もいると思いますが、現政権ではそのような政策を取らないため、自民党が政権を握り続ける限りは増税および国民の貧困生活は続くと考えるのが妥当です。

年金がこれからどの程度の割合で減らされるかは、厚生労働省から5年間隔で発表される「将来の公的年金の財政見通し(財政検証)」の資料を閲覧すると見えてきます。


前回(2019年8月)で発表された内容では、今後28年間で年金の所得代替率が61.7%から51.9%以下になると予測されています。

財政検証
出典:厚生労働省

単純計算で見れば、現状の平均受給額である14万円が12万円以下に減る計算となります。

ここで抑えてほしいのは今後受け取れる年金が今よりも増える可能性はほとんどゼロに近く、想定より年金をもらえない可能性が高いということです。平均受給額が14万円ということは、それ以下しかもらえない人も多数存在しますし、1ヶ月14万円で介護や医療を必要としながら老後生活を全うすることは非常に厳しいと思われます。

年金があるから老後資産の心配は必要ないと考えてはいけません。年金は老後生活をカバーする生活費には程遠いぐらいの金額です。


物価の上昇

今年以降急激な値上げラッシュが続いていますが、物価が上昇し続ければ生活費も上がりますし、過去と同等の生活水準を維持するためには今よりも大きな収入が必要となります。

本日発表された東京の9月の消費者物価指数は前年比+2.8%も上昇しており、生鮮魚介や食用油の値上げが深刻な状態となっています。



平均賃金が横ばい

急激に物価が上がる中でも、日本の平均賃金は過去30年間ずっと横ばいのままで収入が増える兆しがありません。

平均賃金の推移
出典:朝日新聞デジタル

現在物価が上昇している要因が主に海外のエネルギー価格高騰と円安による影響が強く、日本の経済成長が世界に比べて遅れるほど物価は上昇し続けますし、平均賃金が上がらないままであれば、生活は確実に苦しくなっていきます。

年金が減らされるだけでなく、お金の価値も海外の影響によって同時に減ることになりますので、手持ちのお金はどんどん減らされていく可能性が非常に高くなっています。


加えて、企業にかかる法人税は減少傾向となっていますが、企業が保有する現預金は上昇傾向にあり、設備投資や人材への投資に回っていないことも懸念されています。



年齢が高いほど対処がない

残酷な話ではありますが、年金が減らされたり、物価が上昇して賃金が上がらない状態に陥って困るのは、低所得者や金融資産を持っていない世帯となります。高収入であれば年金が減らされても物価が上昇しても生活に困るリスクは少なく、保有資産が多ければインフレリスクに強い株式や不動産などの資産所得を保つこともできるので、ある程度の危機に対応する力があるからです。

そのようなリスク管理の準備をしてない場合は年齢を重ねるほど対処方法が少なくなります。

現状の見通しから言えば、確実に年金が減り、物価が高くなる時代が来るので、今できることから対策してくことが必要です。

そのためには、まずは家計管理から徹底し、その後余裕ができたら投資や資産形成を早期で始めることをお勧めします。以下の記事が参考になると思いますので、是非ご覧ください。