為替介入(外国為替市場介入)とは?

為替介入(外国為替市場介入)とは、各国の中央銀行が為替相場を操作するために通貨の売買を行う外国為替平衡操作です。

円安になり過ぎると輸入品やエネルギーコストが高くなり、円高になれば日本製品が売れなくなるなど、行き過ぎた為替変動は何かしらの不利益を生むため、為替の変動幅を穏やかにするための対策として為替介入が実行されます。

日本では財務大臣が為替介入の権限を持っているため、2022年9月時点においては1ドル = 143円と円安が続く中で為替介入の可能性があるかが気にされているわけです(為替介入の準備として行われるレートチェックを日銀が実施したことも関連あり)。



為替介入のデメリット

為替介入を実施するためにはドルや円などの資金が必要になり、その資金は財務省が運用する外貨準備金から捻出されます。2022年8月末時点においては1,292,072百万ドル(約184兆円)と潤沢な残高が用意されているわけですが、為替介入は長期的に実施されるわけではなく効果は限定的です。

ドル高円安の方が都合の良い米国が為替介入に参加するメリットはなく、2022年時点では日本単独の為替介入の可能性が高いため限定的な効果となり、一時的に円安を止められたとしても根本的な原因が解決されなければ、為替相場は実施前の状態に戻ってしまう可能性もあるわけです。

国家予算を使っても効果が限定的であるなら、外貨準備金を無駄に減らすより国内への投資で経済を活性化させる方向へ予算を使う方が長期的に見ても効果が期待できそうです。


日本の為替介入事例

過去の為替介入事例を見ると、1995年から1998年まで続いた円安相場にて1度に1〜3兆円近い円買いドル売りの為替介入をしていることがわかります。

為替市場介入額の推移
出典:参議院

3兆円近いドル売りを実施したのは1998年6月でドル円相場は2ヶ月後に147円で底打ちした後、約1年2ヶ月の間は円高相場へと変化しましが、2002年、2007年とまた円安相場が戻ってきており、その後も2015年、2022年と5年起きぐらいに円安相場は訪れています。


2022年に為替介入はあるか?

為替介入をせずとも米国のインフレが収まった後、米国は政策金利を下げます。その時点で円安は収まり円高になる可能性が高くなります。それまで日本が物価上昇や貿易赤字に耐えることが出来ると見込めるなら為替介入で外貨資産を減らす意味はありません。

ただし、米国のインフレが長引き過ぎて日本経済がさらにどん底に落ちると判断される場合は為替介入で一時的にでも対処する可能性が高くなります。どのように判断するかは岸田政権次第ですが、為替介入に数兆円使うのであれば、国民に数兆円渡して国内の消費を活性化させる方が良いのではないかなと個人的には思ったりします。あくまで個人的な意見ですが。