累進配当を宣言する稲畑産業の強み3選

今回は高配当銘柄として人気の「稲畑産業」について、投資家目線での良い部分を3つ紹介していきます。

事前知識がない方でもわかりやすく説明していきますので、これからFIREを目指す人や配当金で生活をリッチにしたい方は是非最後までみて頂けると嬉しいです。


ポートフォリオの分散性を高めるのに最適

稲畑産業は合成樹脂事業に強みを持つ専門商社です。


合成樹脂とは、自動車や家電、OA機器などに使う部品だったり、食品を包むフィルム、スポーツ資材に使う素材となります。

それらに使う素材を現地工場で調達後、顔料や添加剤を混ぜて機能を付与した製品に変えてからメーカーに出荷する樹脂コンパウンドビジネスを稲畑産業は確立しています。

樹脂コンパウンドビジネス
出典:稲畑産業

2023年1Qでのセグメント別の売上を見ると、全体の38.7%が合成樹脂事業の売上となっており、日本とアジアでの取引が主軸です。

稲畑産業の事業別売上
出典:稲畑産業



一般的に高配当株となると、セクター(業種)は金融やヘルスケア、生活必需品などが多くなります。

参考までに楽天VYMのセクター比率は以下の通りです。

楽天VYMのセクター比率
出典:楽天証券

人気ETFや時価総額の高い高配当銘柄でポートフォリオを固めることも悪くはありませんが、何かしらの危機が起きた時に同じセクターの銘柄だけを保有していると、株価暴落では逃げきれなくなり、資産が一気に減ってしまうリスクがあがります。

稲畑産業は合成樹脂に強みがあり、さらには電子部品や化学品事業も保有する商社のため、ポートフォリオの分散性を高める手段としては1つありな銘柄だと思われます。


累進配当を宣言

稲畑産業2つめの強みは、今までの配当実績と今後の配当方針です。

これまでの配当実績としては4期連続増配を達成しており、今期においても増配予想となっています。

稲畑産業-配当金
出典:稲畑産業

稲畑産業は2023年までの期間中は累進配当を実施することを宣言しており、総還元性向は50%程度を維持すると明言しています(おそらく2024年以降も累進配当を宣言し続ける可能せは高いのではないでしょうか)。

稲畑産業の配当方針
出典:稲畑産業

総還元性向とは、税引き後の利益である当期純利益のうち、どれだけ配当金の支払いに向けたかという割合(配当性向)に加えて、自社株買いの取得金額も合わせた割合となります。

捉え方にもよりますが、「上記の総還元性向の目安には必ずしもとらわれずに、株主還元を実施する」と明記されるということは、仮に株価が下がれば大量のキャッシュを自社株買いに充て、株価が上がれば配当金に利用するという強い株主還元方針の表れだと私は考えます。


稲畑産業の業績

配当を支えるための業績見通しについてですが、22/3期までは原材料価格の高騰と円安効果により売上・利益ともに過去最高を更新しています。

稲畑産業の営業利益
出典:稲畑産業

前期に比べて今期は営業利益は下がるものの進捗率は25%を超えており、不安視するほどではないかもしれません。

加えて、8月25日には来期となる2023年の業績見通しを以下のように上方修正しており、ビジネス基盤の底堅さも伺えます。

稲畑産業の上方修正
出典:稲畑産業

このような実績を出し続けてくれれば、配当金についても信頼たる数字が出る可能性は高いと思われます。


PERが割安

稲畑産業のPER(株価収益率)は2022年8月26日終値時点でPER6.9倍と割安となっています。

稲畑産業の類似企業
出典:バフェットコード

類似企業と比較しても高くない水準です。商社は万年割安株と言われることもありますが、業績が伸びればPERが一定でも売却益や配当益は増えるわけですし、2020年9月にウォーレンバフェット氏が商社株を購入したと発表されて以降からは「万年割安株」のレッテルも少しずつ剥がれているような気もします。

以下は伊藤忠商事と稲畑産業のPER推移です。

伊藤忠商事のPER
稲畑産業PER
出典:IRbank



直近の株価を見ると、5月10日、6月20日、8月5日に大きく売り込まれていますが、その度に株価は拾われて最高値を記録しています。

稲畑産業の株価チャート
出典:kabutan

憶測ですが、大きく下がった際に配当金狙いで拾い続けている高配当株投資家が沢山いるような気がします。。。妄想ですが。笑

ボリジャーバンドとMACDを当ててみると、高値圏を推移しているので、買い注目をするには躊躇してしまいます(高配当株の高値掴みは命取りですからね)。

稲畑産業-ボリバンとMACD
出典:kabutan

テクニカルで見るのか、ファンダメンタルズで見るのかは投資家次第かもしれませんが、投資の判断は慎重にお願いします。


まとめ

今回ご紹介した稲畑産業の強みは以下の通りです。

【稲畑産業の強み】
  • 合成樹脂事業では独自の製造・加工技術を持っている
  • 他の高配当銘柄とセクターがバッティングしにくい
  • 4期連続増配を達成している
  • 今後の連続増配も期待できる
  • 自社株買いにも積極的
  • PERが6.9倍
  • 株価が売り込まれても買われている

言い忘れましたが、稲畑産業の創業は1890年で約130年の歴史ある老舗企業です。今回の内容が皆様のお役に立てれば幸いです。