商社とは
商社とは、主に「トレーディング」と「事業投資」で利益を出している企業となります。
トレーディングとは
トレーディングとは、企業が欲しい部品や材料、加工手段、輸送手段を国内外から用意することで取引の一部を手数料として受け取る事業のことを意味します。

商社はこれまでに培ったビジネスノウハウや多様な取引関係を活かして、売り手と買い手のニーズをマッチングさせていきます。
取引商品は金属や機械、食品、医薬品など様々ですが、特定の分野だけを専門に取引している商社のことを「専門商社」と呼び、取扱品目が多い商社は「総合商社」と呼ばれます。
ですが、インターネット普及などにより商社を通さなくても売り手と買い手が直接繋がるケースも少なくありません。中間マージンが取られない分だけ、取引価格が有利になると考える企業が増えています。
事業投資とは
商社はこれまでのビジネスノウハウを活かして、企業へ投資にも積極的です。
投資した会社で必要な物資があれば、自社のネットワークを活かしてトレーディング事業を収益化させるなどのシナジー効果が生まれますし、投資した企業の価値(時価総額)が上がれば、配当や売却益で儲けることも可能で、事業投資はトレーディングとの相性が抜群です。
大手総合商社一覧
日本で最も大きな総合商社は、財閥系と言われる三菱商事、三井物産、住友商事の3社に、伊藤忠商事と丸紅の2社を加えた5社が大手5大総合商社と言われています(豊田通商と双日を加えて7大商社と言われることもあります)。
今回は企業の特徴や事業規模を比較することで違いを見ていきましょう。
日本の商社ランキング(売上高)
売上高の規模が最も大きいのは、三菱商事です。

2022年第一四半期の売上高は5.4兆円、営業利益率も14.23%と他の商社と比べて、圧倒的な差となっています。今期は金属資源事業の中に含まれる石炭事業が好調となり、純利益を伸ばしています。
三菱商事に続くのが三井物産、伊藤忠商事、丸紅の順で売上高が高くなっており、住友商事は利益率が高いものの、四半期の売上高は1.6兆円と三菱商事の3分の1以下となっています。
日本の商社ランキング(事業投資)
次は投資の規模を見ていきます。

売上高は三菱商事がダントツ1位でしたが、事業への投資となると三井物産の規模が最も大きくなり、5.8兆円規模に達します。
投資額に対しての損益割合(投資の利回り)をみると、投資効率が良かったのは丸紅で3.5%、悪かったのは住友商事で-2.5%となっています。
その他キャッシュフローや総資産なども比較しましたので、興味のある方は以下の表をご覧ください。

事業のセグメントにも要注意
総合商社に関しては、同じ商社でも事業のポートフォリオが多岐に分かれているため、「資源に強い商社」「農業に強い商社」など、それぞれの業績見通しが大きく変わります。
同業他社が好調だからといって一概に同じ業績になるとは限りませんので、商社に投資をする際には事業セグメント別の売上や利益、投資額を十分に把握することが大切となります。