付加年金とは
付加年金とは、毎月支払う国民年金保険料に400円を上乗せして支払うと、上乗せで支払った月数に応じて将来受け取れる年金額が増え、支払った保険料は全額所得控除の対象となる年金制度のことです。
付加年金の計算式は後述しますが、20歳から60歳までのうち何歳から支払いを開始したとしても、支払った金額は2年で元を取ることができますので、年金を3年以上受け取る予定がある人にとって付加年金はお得な制度になります。
加えて、付加年金も老齢基礎年金と同様に恒久的に支払われます。生きている限り毎年受け取れるお金が増額され続けますので、老後資金に不安があるけど、毎月の支払額はそれほど増やせない人にとってお得な制度設計になっているわけです。
さらには定額のため、物価スライド(増額、減額)がないことも通常の年金と比べると大きなメリットになります。
付加年金でいくら得する?計算方法を紹介
例えば、30歳から60歳までの30年間、付加年金(月額400円)を支払い続けると、65歳から受給できる年金額が年間7.2万円上乗せされることになります。
【付加年金の計算方法】
支払い金額:
= 月額400円 × 納付月数360ヶ月(30年間)
= 144,000円
受け取れる年金額:
= 200円 × 納付月数360ヶ月
= 72,000円(年間)
30年間の支払い総額は14.4万円に対して、1年間で受け取れる年金額は支払い総額の半分となる7.2万円を受け取ることができます。つまり、65歳以降で2年間付加年金を受給すれば、60歳まで支払った付加年金保険料は全て回収できる計算です。
加えて3年目以降も7.2万円の年金額が毎年給付されますので、月で換算すると6,000円分の年金が自動で入ってくる仕組みとなり、非常にお得な制度となっています。
さかのぼって払える?追納期限は?
付加年金の申し込みは、住まいのある最寄りの年金事務所となります。
納付は申し込んだ月からになり、納付期限は翌月末日(休日・祝日の場合は翌営業日)です。
しかし、納付期限を過ぎた場合でも期限から2年間は遡って付加年金を納めることが可能です。
付加年金のデメリット
付加年金で気をつけなければいけないのは、他の年金と同様に年金を受け取る前、もしくは受け取り開始してから2年以内に死亡してしまうことです。その場合は支払った年金額が手元に返ってこないため、払った分だけ損をすることになります。
ただし、長寿大国日本では67歳以上生き続ける可能性が極めて高く、ほとんどの人にとって資産がプラスになる制度と言えます。
加えて、付加年金も「年金の繰上げ受給」を選択した場合、減額される対象なりますのでご注意ください。
その他、付加年金で気をつけなければいけないのは、以下の項目となります。
【付加年金の注意すべき点】
- 利用対象は「国民年金第1号被保険者」「任意加入被保険者」のみ
- 国民年金基金との併用が出来ない
- 納付をやめる場合は「付加保険料納付辞退申出書」を提出する
サラリーマンは付加年金に加入できるか
付加年金を納めることができるのは、国民年金第1号被保険者と任意加入被保険者(65歳以上の方を除く)のみです。
国民年金第1号被保険者とは、20歳以上60歳未満の自営業者・農業者とその家族、学生、無職の人など、第2号被保険者、第3号被保険者でない人を意味します。そして任意加入被保険者とは、60歳までの老齢基礎年金の受給資格期間を満たせない方です。
つまり、会社員や公務員となる第2号被保険者と専業主婦(主夫)となる第3号被保険者が付加年金を利用することは出来ません。
国民年金基金との併用が出来ない
国民年金基金に加入されている方は、付加保険料を納めることができません。
というのも国民年金基金では、基金の1口目の給付に国民年金の付加年金相当が含まれているため、基金に加入している方が付加保険料を納めることが出来ないという理解です。
最寄りの年金事務所で要確認
付加年金に加入できる資格のある方は、おそらく国民年金基金への参加も可能なはずです。
その際、疑問に思うことが以下の通りです。
【今回疑問に思ったこと】
- 付加年金と国民年金基金、どちらの方が投資効率が高いのか
- 付加年金を途中でやめた後、再加入は可能か
- 付加年金を途中でやめた後、国民年金基金を申し込むことは可能か
上記の内容は日本年金機構の公式HPに記載はありませんでした。
一部自治体のHPを確認すると、付加年金の再加入が可能という記載がありましたので、付加年金を開始したりやめたりすることの自由度は高いかもしれません。
これらの詳細は年金事務所へ問い合わせ、回答が分かり次第、ブログで更新していこうと思います。
まとめ
ここまで調べた内容を箇条書きでまとめていきます。
【付加年金のメリット】
- 2年間年金を受給すれば元は取れる
- 保険料は全額所得控除の対象となる
- 付加年金は死ぬまで一定額を受け取れる
- 物価スライド(増額、減額)がない
- 途中でやめることもできる
【付加年金のデメリット】
- 67歳前に死んだら損になる
- 繰り上げ受給すれば減額される
- 自営業者や農業者、学生、無職の人だけが対象
- 国民年金基金との併用は不可能
フリーランスや自営業者にとって付加年金の保険料は年間4,800円とそれほど高くない保険料にも関わらず、65歳以降のリターンは年間で総支払額の半分が返ってくるので、とても効率的な投資対象のように思えます。
気になる方は是非活用を検討してみてはいかがでしょうか。