2022年8月12日、経産省が「電子商取引に関する市場調査」を発表しましたので、内容をまとめていきます。


EC市場とは

EC(Electronic Commerce、Eコマース)とは、インターネット上に設けられた店舗での売り買いを意味します。日本語で言えば「電子商取引」と言われ、Amazonや楽天、Yahoo!ショッピングなどの取引がまさにECと言えます。

EC市場には「BtoB」「BtoC」「CtoC」という3つの市場分野が存在します。

BはBusiness(ビジネス)の略称で「企業」を意味し、CはConsumer(コンシューマー)の略称で消費者を意味します。

それぞれの意味合いは以下のようになります。

【EC市場の分野】
  • BtoB:
    BtoB(ビートゥービー)とは、Business to Businessの略称で企業間での取引を意味します。例えば、アスクルやモノタロウなど、企業が企業に対して必要なオフィス用品や部品、工具などをインターネット上で販売する形態がBtoBの取引です。
  • BtoC:
    BtoC(ビートゥーシー)とは、Business to Consumerの略称で企業と一般消費者での取引を意味します。企業のオリジナルECサイトで商品を購入することも含まれますし、楽天やAmazonなどショッピングモールに出典する企業のページから一般消費者が商品を購入することもBtoC市場の一部となります。
  • CtoC:
    CtoC(シートゥーシー)とは、Consumer to Consumerの略称で個人間での取引を意味します。日本で最もメジャーな個人間取引はメルカリ、ヤフーオークション(一部企業間取引もあり)、ジモティーだと思います。他にも個人同士での商取引ができるECプラットフォームはBASEやmineなど多々あります。


日本のEC市場規模の推移

経済産業省の発表によれば、2021年のBtoCのEC市場規模は、20兆6,950 億円となり、8年で+85%も成長しています。

EC市場規模の推移(BtoC)
出典:経産省

CtoCのEC市場規模は2兆2,121億円(前年比+12.9%)、BtoBのEC市場規模は372兆7,073億円(前年比+11.3%)となりました。

EC市場規模(BtoB)
出典:経産省

それぞれの市場規模と合わせて、EC化率という指標があります。

EC化率とは、商業取引に占めるEC取引の割合です。リアル店舗とネット店舗の売上の割合と考えても差し支えないと思います。

2021年時点でのEC化率はBtoC-ECで8.78%(前年比0.7ポイント増)、BtoB-ECで35.6%(前年比2.1ポイント増)と増加傾向となり、BtoCでのネット取引にはまだまだ伸び代があるようにも思えます。


スマホ経由のEC市場規模

スマホ経由のEC市場規模
出典:経産省

BtoC市場の中でも物販系に限ったことで言えば、スマートフォン経由の売上が2020年には50%を超えています。これは各社スマホアプリで便利な購入体験を演出したり、スマホアプリ決済の場合はポイントをつけるなどしてユーザーがスマホで商品を購入する習慣を作ってきた背景も考えられます。

実際にデータとしては、PCよりもスマホ経由の方が客単価や購入頻度、CPA(広告宣伝費用に対しての購入率)などが良い傾向にあるからと推測されます。

簡単に言えば、PCよりもスマホを使って購入する顧客の方が良いお客さんである可能性が高いということです。


分野別では物販系が好調

BtoC市場規模のうち、半分以上は物販系の売上が占めるのですが、物販系での売上上位カテゴリは「食品、飲料、酒類」が1位、「家電、オーディオ、PC周辺機器」が2位、3位は「衣類、服装雑貨」となっています。

物販系ECの市場規模
出典:経産省

EC化率で見れば、書籍や家電、家具が進んでおり、コロナ発生以降、住環境に目を向ける消費者が多くなっていると思われます。


世界のEC市場と比較

海外でのBtoCのEC市場規模は2021年で4.92兆ドル(EC化率19.6%)と予測されており、日本の約30倍以上の市場規模があります。

中でも市場シェアの半分以上を占めるのが中国です。

世界のEC市場シェア
出典:経産省

eMarketer によれば、中国のEC市場規模の成長率は2018年で28.6%、2021年で15%、2025年で8%と年々の成長率は鈍化傾向となりますが、2025年には3兆6,159億ドルになると予想されています。