今月、金融庁がNISAの利用状況を公開しましたので、過去のデータを集計して分析してみました。

参考にしたデータは以下のリンクから閲覧することができます。


NISAの利用状況

まずは2014年以降の口座数推移を見ていきましょう。

NISA口座の推移(2022年3月末まで)


まず、一般NISAが2022年以降減少している理由を説明させて頂きます。

【一般NISAの口座数が減少している理由】
    2022年以降、これまでに開設された総口座数から金融機関変更に伴う変更前口座・廃止口座の数を差し引いて計上されています。マイナンバー導入前に開設された口座で、非課税保有期間が終了したものを2022 年1月1日をもってみなし廃止したため、2021年12月末時点に比べて口座数が減少していると金融庁の資料に記載あり。

つみたてNISAは以前として人気状態が続いており、2021年で約216万件増加、2022年3月末時点では68万件も増加しています。

テレビやYouTubeなどの企画でも「つみたてNISA」は当たり前のキーワードとして出てくるようになりましたし、書店を見てもインデックス投資などの関連書籍が多く、若い世代を中心に「投資の文化」が根付いてきたように思えます。

とても良い傾向ですね。


ジュニアNISA急増の理由

先ほど紹介した口座推移のグラフではジュニアNISAの件数が小さく見えますが、2021年は26万件増加、2022年3月時点でも7.9万件も増加し、つみたてNISAに劣らない程度の上昇率を記録しております。

加えて、年間の買付金額を口座数で割った「1口座あたりの平均買付金額」を見ると、ジュニアNISAの買い付け額はつみたてNISAよりも多く、ジュニアNISAを開設した子育て世代の本気度が伺えます。

1口座当たりの買付金額


ジュニアNISAの年間投資枠はつみたてNISAの2倍となる80万円なので、買い付け額が多くなるのは自然かもしれません。

上昇率が高くなった理由としては2024年にジュニアNISA撤廃が決まったことにより、途中解約ができるという点と高配当株の運用が魅力的に見えるようになったからという点があると思います。

ジュニアNISAで高配当株を保有し続ければ、子供が18歳になるまで最大18年間に受け取れる配当金が非課税となります。

配当金が非課税になれば、約20%の課税が免除される分だけ家計のキャッシュフローがすぐによくなる点と配当金の再投資効率が大幅に改善される点でメリットになります。

さらに2020年以降、グロース銘柄が急激に優勢になったことで2021年以降はバリュー株にとって有利な相場環境となっている点もジュニアNISAで高配当株投資が増える要因にもなったと考えられます。


年代別の利用状況

2021年の年代別の買い付け金額を見ると、最も買い付け額が多いのは60代でした。

年代別の平均買付金額(2021年)


20代、30代を中心につみたてNISAを始める人は増えていますが、大きなお金を出せるのは高齢者で、若い世代には社会構造的に稼ぎにくい、節約しにくい環境が影響しているように思えます。

2014年以降の平均買付金額推移を見ても、口座数が増えている20代では1口座あたりの買付金額は減少傾向なのに対して、60代の買い付け金額は右肩上がりで推移してます。

20代と60代の平均買付金額(累積)