昨日ご協力頂いたアンケートでは、投資で資産を増やすためには「入金額が大切」と考える投資家が多いことがわかりました。



投資で利益を出すためにはどこに力を注ぐべきか?本当に入金力が最も効果的なのでしょうか?ちょいと気になりますので、一緒に見ていきましょう。


まず、投資の利益は以下の計算式で成り立つと考えられます。

【投資の利益を出す方程式】
    利益 = 利回り × 運用期間 × 入金額

利回りは投資先やポートフォリオの分散比率で決まります。そして利回りがプラスであれば運用期間が長いほど資産が成長します。さらに入金額が大きいほど成長幅も大きくなります。

皆さんが知りたいのは、どこに注力すれば最も効率的に資産を増やせるかだと思います。

本当は全部注力するのが一番なんですけどね。

これらを過去のデータを用いて、検証していきたいと思います。


つみたてNISAの銘柄選びは重要?

銘柄選びについてですが、本ブログでも沢山紹介している人気上位のつみたてNISAおすすめ銘柄のパーフォーマンスを比較していきます。

おすすめする銘柄の理由や詳細を知りたい方は以下の記事をご覧ください。


では上記にも記載のあるつみたてNISAおすすめ5銘柄のパフォーマンスを比較していきます。

比較条件はつみたてNISA制度が開始された2018年から毎月一定額の積立投資をした場合を想定し、2022年7月末時点でのパフォーマンスを比較しました。

結果はこちらです。

つみたてNISAおすすめ銘柄(2022年7月末)


最もパフォーマスが良かった「emaxis slim 米国株式(s&p500) 」と最もパフォーマンスが悪かった「ひふみ投信」を比べると、パフォーマンスには10倍以上の開きがあることがわかります。

つみたてNISAですので、2022年7月までの積立金額183万円を考えれば、利益額としては90万円程度の差が生まれています。

【2022年7月末時点での結果】
    < emaxis slim 米国株式(s&p500) >
    運用益:+51.84%
    投資額:1,833,333円
    利益額:1,003,292円
    運用額:2,836,625円

    < ひふみ投信 >
    運用益:+4.68%
    投資額:1,833,333円
    利益額:85,804円
    運用額:1,919,137円

ここまでの結果から考えれば、銘柄選びでの効果は運用益に対して2%〜50%程度の違いがあったことがわかります。


運用期間は重要?

次は運用期間を検証していきます。

検証はS&P500へ100万円の一括投資です。

投資開始時期を10年前(2011年末)、5年前(2016年末)、3年前(2018年末)に分けた際、2022年7月末時点での資産推移を比較します。

100万円一括投資


100万円は投資しなければ当然100万円のままですが、2011年末時点でS&P500へ100万円を一括投資していれば、2022年7月末時点での資産額は5.1倍となる5,138,942円(税金や手数料は加味していません)になりました。

2016年末であれば、2.1倍となる2,117,559円。

2018年時点であれば、1,863,239円という結果です。

先ほど銘柄選びの際はS&P500のパフォーマンスが+51.84%でしたが、一括投資となると+86%とパフォーマンスが30%以上改善していることも同時に確認することができます(ただし、税金は加味せず)。

運用期間を10年延ばすことと銘柄選びの難易度が同じではないことは確かですが、今回の場合は運用期間を10年から3年延ばすだけで資産が1.8倍から5.1倍になることを確認しました。

もちろん、再現性はあるかは別の話です。


投資金額は重要?

では最後は投資金額です。

これは私の考えですが、投資は余剰金で運用されるべきものですので、投資の入金力というのは以下の要素が関係してくると思います。

【投資資金の計算式】
    投資資金 = 収入 - 生活費 - 防衛費 - 生活以外の支出

    生活費:毎月生活にかかるお金、養育費や保険、住宅ローンなども含む
    防衛費:万が一の備え(生活費半年~1年分程度)
    生活費以外の支出:結婚式や出産、旅行など人生のイベント費

つまり、投資の入金力を上げるためには「本業や副業で稼ぐ力」と「生活維持コストを下げる節約力」が重要になります。


内閣府のデータによれば、日本人の貯蓄率は-1.3%〜12%付近で推移していました。

日本の貯蓄率


仮に手取り400万円であれば、少ない時で貯金がゼロ。多い時では月4万円の貯金が見込めることになります。貯金の50%を投資資金に回せるとすれば、0〜2万円が日本人の平均的な入金力になりそうです。

中には副業や転職などにより収入を大きく成長させる方(もしくは浪費癖を大きく改善する方)もいると思いますが、月々2万円の投資をされている方が数年間で入金力を2倍、3倍に増やすということはあまり現実的ではないかもしれません。

感覚値としては上手に増やせたとしても1.5倍から2倍程度の推移ではないでしょうか。


まとめ

つみたてNISAの運用益を大きくするために3つの手法の効果をそれぞれ測ってきました。

まとめると、以下の通りです。

【まとめ】
    銘柄選び:約4年半のトータルリターンに50%程度の乖離があった
    運用期間:10年前であれば資産を5倍、5年前であれば2倍に増やすチャンスがあった
    入金額:平均的な入金力は月々数万円。増やせたとして1.5倍から2倍程と推測

最終的には全ての項目に注力することで全体の資産増を狙うのが最適解ですが、あえて3つの手法の中から1つを選ぶとすれば、「投資期間を伸ばすこと」が最も資産を増やすのに効率的ではないかと考えています。

5年間という期間で考えた場合、銘柄選びで得られる資産増の効果は良くて+50%程度ですし、入金力を向上させるにしても5年間で2倍以上に増やす難易度は決して容易くはないと思います。

これに対して、今回は5年間の投資期間があった場合資産を2.1倍に伸ばすことが出来ていました。もちろん、その時の相場によるものなので再現性が100%ではありませんが、それでも自分の投資期間を5年間伸ばす難易度を考えれば、他の手法に比べて最も効率的に資産を増やせていると思います。

資産運用に早く気づいて投資期間を5年伸ばすのか、もしくは売却時期を遅らせて投資期間を5年伸ばすのかは投資家次第ですが、これを意識しない手はないと思います。