金融リテラシー調査2022年の結果
2022年7月、18歳〜79歳まで3万人を対象に「お金の知識」や「判断力」を把握する目的で実施された金融リテラシー調査の結果が発表されました。
ちなみに前回実施されたのは3年前の2019年です。
今回の結果を私なりに箇条書きでまとめると以下のようになります。
【金融リテラシー調査2022年の結果】
- 正答率は前回より下回る(70年代以外、全世代の知識が向上してない)
- 米国やフランスなどの海外と比較して日本は最もリテラシーが低い
- 正答率の分布は70~90点台が多い(中央値は60点)
- 金融リテラシーの高さは年齢、年収、金融資産、経済情報を見る頻度に比例
- 金融教育を受けた学生は受けていない学生に比べて正答率が+14.8%も高かったが、そもそも金融教育を受けた人は全体の7.9%で前回の8.5%より下回っている
- 株式投資をしている人ほどリテラシーが高い
- 金融トラブル経験者とリテラシーの相関はそれほどない
- 金融商品の購入割合は過去2回(2019年と2016年)に比べて上昇傾向
- 商品性を理解せず金融購入した人の割合は横ばい
金融リテラシーを上げる手段
日本ではNISAやiDeCoを導入する人が最近増えていましたが、今回の結果から見れば海外よりも金融リテラシーが低く、前回よりも能力の向上は見られませんでした。


しかし、金融リテラシーは年齢、年収、金融資産、経済情報を見る頻度、株式投資の経験に比例して向上することは前回結果から見ても明らかです。

だとすれば、金融知識を向上させたい人ほどNISAやiDeCoを使って株式投資を始めてみたり、経済情報を見る習慣をつけるというのが手っ取り早く「お金の使い方、判断力」を向上させる手段になります。
金融教育の効果
今回の調査で金融教育の効果が一定数あることがわかっています。

金融教育を受けたと認識している人の正答率は、そうでない人の正答率を大きく上回っています。
点数配分を見ても、高得点を出している人の方が金融教育を受けたと認識している人の割合が高くなっています。

年齢別で見ても明らかです。

これは金融教育が一定の効果がある可能性が高く、高校での授業開始や家庭の金融教育が広まることによって受けられる恩恵と言えます。
課題はその実施率が低いこと。
より多くの学校や家庭で実施される方法をこれから模索していく必要があります。
商品を理解せず購入する人
金融商品を購入する人の割合は上昇傾向にあります。

ただし、商品性を理解せずに購入してしまう人の割合は減っていません。
出典:金融広報中央委員会「知るぽると」最初は少額投資した後に保有しながら銘柄や投資信託の勉強をするのは有用ですが、投資は「調べること」で投資リスクが軽減される特徴もあるため、理解せず購入する人の割合は減っていくことの方が望ましいと思います。