成功は才能か努力か

数兆円や数十兆円以上の資産を持つ世界の億万長者を見て、「その人たちは親の資産や遺伝、容姿など先天的な才能の恵まれていた」「友人関係や優秀な恩師など育った環境に恵まれた」「そもそもの知能指数が高かった」などと考えることが多いと思います。

世界の億万長者となるイーロン・マスクやジェフ・ベゾスは育った家庭環境に恵まれていて、自分より優れた才能を持った人に嫉妬したりせず、競合に潰されたりしたことがないと言い切れるだろうか。

メッシや羽生結弦など世界が認める一流プレイヤーの成功は全て才能によるもので、地獄のような苦しみや絶望感とは無縁の存在だと説明できるのか私には自信がありません。


必ず挫折する

世界の時価総額ランキング上位にいるGoogleは最初の投資を350回も断られています。しかも、Googleより先に開発された検索エンジンサービスは10以上ありました。

Amazonも創業当時インターネット自体の理解もされにくく資金調達に苦労し、2000年に起きたITバブルでは株価が-94.4%下落するという歴史的な大暴落を経験しています。


大成功を収めた人たちは必ずと言って良いほど逆風や度重なる失敗を乗り越えたことで彼らの成功があるわけです。

仮に彼らの成功が「先天的な才能」で説明できるとするならば、なぜ事業を何度も失敗させなければいけなかったのか。

彼らより先に同じ優秀なアイディアを考えついた人はなぜ成功しなかったのか、なぜマーク・ザッカーバーグや孫正義など限られた一部の人だけが成功し、他の資産家の御子息は成功しないのかが説明できません。


高額納税者の特徴

2005年に出版された「日本のお金持ち研究」によると、アンケートに回答した高額納税者の多くは、他人が思いもつかない発明や発見をしたのではなく、30年間同じことを継続しただけという人が多かったそうです。



当時の時代背景を無視して語ることはできませんが、それでも「先天的な才能」が大きな成功要因となることは現代でも極めて少ないように思えます。

本書のアンケートでも「知能指数が高い」「要領が良い人」という要素は経済的成功を収めるための要素としては最も低いものでした。


経済的成功を収めるためのワースト3
順位 要因
1位一流大学へ行く
2位器用さ・要領の良さ
3位知能指数が高い・優秀な頭脳を持つ

では何が成功要因となるのか。

それは意外にも以下の要素を満たしている人だったそうです。


経済的成功を収めるためのベスト3
順位 要因
1位肉体的・精神的に健康である
2位自分の職業を愛してる
3位正直な人柄

結局、大成功を収めるためには本人の努力、しつこさ、忍耐強さ以外にないのかもしれません。

才能は磨かなければ輝きませんし、成功者を量産出来ないのは本人の意志の問題だからとも言えます。


ワーカーの成功とは別

今回の成功者は起業家や巨額の報酬を受け取る会社役員など視点が多く、会社に雇用される一般的な従業員の成功には当てはまり難いことを注意しておかなければいけないと思います。

様々な研究によって明らかにされていることですが、親の収入が高いほど子供の学力が高いなどの相関は何度も確認されていることですし、学歴の差によって生涯年収が大きくことなることも周知の事実です。


今回は資産数十億円を保有するような成功者や世の中にイノベーションを起こす人というのは、先天的な才能や環境の影響よりも後天的な努力や自ら培った基礎体力、精神力によって形成されることの方が大きいかもしれないという話でした。