ブルトラップとは

ブルトラップとは、相場が大きく上昇(移動平均線などのラインをブレイクアウト)した後で下落基調に切り替わる現象を言います。

株価が大きく上昇したと思って買い注文を入れてしまうと、その後の下落相場で損失となり、文字通り罠(トラップ)となってしまいます。


2022年のS&P500

2022年のS&P500はブルトラップが沢山発生していたので、一緒に見ていきましょう。

S&P500(2022年前半)
出典:tradingview

上記の緑色の矢印で25日移動平均線のラインを下から上に上回った時期になります。

ですが、その後何度も切り返されて大きな下落相場を作っているのが2022年の前半となりました。

細かいところを見れば、もっと多くのブルトラップが隠されています。


なぜブルトラップが起きる?

株価が動く要因は無限にありますが、無理やり理解するのであれば、以下のような要因によってブルトラップが起きると考えられます。

【ブルトラップが起きる原因】 
    1. 大口投資家が大量に売るから
    2. 上昇の期待値が高くなっているから

1つは買い注文が入った後、それよりも大きな売り注文もしくは空売り(ショートポジション)が入るからです。

当たり前ですが、個人がどれだけ買っても機関投資家やクジラと言われる大口投資家がそれ以上の圧力を相場にかければ、株価は大きな資金を投入できる人が有利なように進んでいきます。

ブルトラップの中では「投資初心者狩り」のようなことも行われており、個人投資家が大口投資家の都合の良いように”養分”となるわけです。


2つ目はブルトラップが起きるまでの下落基調が長く、相場が反転するのが期待されやすいために大きな株価上昇を生みやすいからということもあると思います。

長い下落基調では「そろそろ株価が底を打ってほしい」という投資家の潜在的意識が強くなりやすいと思います。

そういう意識の中で株価が大きく反発すれば、相場の反転を期待している投資家は資金を入れやすくなり、必要以上に買い注文が殺到します。

必要以上に買われすぎた株価はどこかで調整されるため、それがブルトラップとなって株価に反映されやすくなります。


以下は2020年の原油チャートですが、底を打ったのは4月27日。

原油チャート
出典:tradingview

ですが、4月1日〜4月3日頃にも株価が反発しているのが確認できるはずです。

ブルトラップも実際の相場反転時も同じようなチャートの動きをします。

なので投資家は後になってみないと、それが「ブルトラップだった」というのはわかりません。

ブルトラップが作られるリアルタイムの現場では、半信半疑のまま相場に向かっており、その中で相場反転の期待値が実際よりも高くなってしまう状態が起こりやすいと思います。


ブルトラップへの対策

繰り返しになりますが、ブルトラップは後になってみないとわかりません。

ブルトラップを最初から回避するのは不可能です。

ブルトラップに捕まってしまったら、対策は2つ。

【ブルトラップの対策】
    1. 長期で保有する
    2. 予め決めた価格で損ぎりする

ブルトラップにひかかってしまった直後は下落基調により損失が大きくなっていきますが、それは短期的な相場で良くみられる光景です。

5年、10年単位で右肩上がりの歴史があり、今後も同じような株価上昇が期待できるのであれば、ブルトラップで起きた高値掴みは時間をかけるほど含み益が増えていくはずです。

一時の感情に流されることなく、長期で保有できる銘柄であればブルトラップに遭遇しても慌てないことが大切です。


2つ目の対策としては、短期トレードの場合です。

大きな上昇相場が訪れると思って購入した銘柄が含み損になったのであれば、即損切りをして含み損を拡大させないことが大切です。

失敗を失敗のまま放置するのは、投資家として愚の骨頂。

すぐに自分の失敗を認めて、再度作戦を練り直すことが重要です。