エネルギー関連株が好調

ロシアのウクライナ侵攻によって原油価格が高騰している今、石油や天然ガスを扱う企業の業績と株価が好調です。

2022年5月11日終値時点でのセクター別パフォーマンスを見ると、エネルギーセクターだけが年初来から株価を27%も上げており、GAFAMなど大手テック企業が組み入れられている情報技術や一般消費財などのセクターは悲惨な状況です。

2022年5月11日セクターパフォーマンス


利上げ局面に弱い株価

年初来から米国株は今日まで大きく下げています。


S&P500は-17%、Nasdaqが-27%とかなり悲惨な状況です。

株価が下がる理由は、FRB(連邦準備制度理事会)による政策金利の積極的な引き上げとバランスシート縮小計画によるものです。

簡単に言えば「コロナショック時に金利は極限まで安くし、お金も大量にばら撒いて米国経済を助けたので、2022年3月からは金利もガンガン上げるし、6月からは市場に出回っているお金も一気に回収していくよ」とFRB議長であるバウエル氏が言っています。

それを聞いた機関投資家が「だったら今のうちに現金比率高めとかなきゃ株価が下がって死ぬ」と思って、株式を売っているというのが大きな流れです。


この動きは今に始まったことではなく、歴史的に政策金利を引き上げた後の局面では株価が下がっています。

S&P500とFFレート
出典:macromicro

赤い縦棒が政策金利(FFレート)となります。

金利を上げ過ぎると、毎回S&P500の株価が下がっていることがわかるはず。

金利の引き上げは株価にとって悪材料だからです。

今回は政策金利の引き上げを一気に引き上げようとしているので、いつもより早く投資家が警戒し、株価に悪影響を及ぼしています。


オイルショック時のエネルギー株は好調?

インフレになっても株価を上げ続けているエネルギー株は過去の相場でも強かったのか。

1973年に起きたオイルショックでは、米国の株価が10年間伸び悩みました。

以下は当時の株価(青線)とCPI(赤の縦棒)です。

米国CPIと株価
出典:【関連記事】スタグフレーションとは?

その間、エネルギー株の株価推移を見ていきたいと思います。

以下のグラフは赤と緑のローソク足チャートがS&P500で、水色チャートがエクソン・モービル、紫色チャートがシェブロンです。

オイルショック時の株価1
出典:Yahoo!Finance

1973年から1978年前半まではS&P500に連動して株価が動いてるように見えますが、1980年以降のエネルギー株の株価が大きく跳ね上がっています。

1980年はちょうど第二次オイルショックとなり、原油価格が跳ね上がったために株価は一時的に大きく上昇した結果です。

オイルショック時の株価2
出典:Yahoo!Finance

ピーク時の成長率はエクソン・モービルが+133%、シェブロンが284%と急成長しました。

しかし、その後すぐにS&P500との差は解消され、2000年以降はGAFAなどのテック株によってエネルギー株の時価総額シェアは小さくなっていきます。

それらのことを考えると、一時的な株価成長に対して長期的に投資するかというと、微妙な判断になりそうです。


2022年ウォーレン・バフェットはエネルギー株へ投資している

2022年2Qに入って、ウォーレンバフェットが石油大手のオクシデンタル・ペトロリアム($OXY)の株を購入したことが話題となりましたが、天才投資家は2022年以降の高インフレ相場において、石油関連企業が大きく成長すると予想してそうです(あくまで個人的な推測ですが)。


もしかすると長期的にもS&P500を上回る成果を上げるのかもしれません(そうじゃない可能性の方が高い気はしますが)。

投資は自己責任でお願いします。