NFTとは

NFTとは、これから説明する「3つの機能を持ったデジタル技術」のことです。

ここではNFTをできる限り簡単に説明をしていきますので「NFT = Non Fungible Token、非代替性トークン」みたいな話は割愛します。

では、早速3つの機能を説明していきます。


NFTの機能1:買ったり、売ったりできるようになる

一般的にデジタルコンテンツは簡単にコピーしたり、データを編集することができるため、お金を払って売買されることが少ないという特徴を持っています。

たとえば、有名インフルエンサーのブログ記事、Instagram、YouTube、音楽などのデジタルコンテンツは簡単にコピーして自分のパソコンやスマホに保存することができます。

また他人が作った作品を自分の作品としてSNSで拡散したりすることもできます(著作権侵害)。

そんな時代において、デジタルコンテンツに大金を支払うことは稀です。


仮に綺麗な風景が1万円で販売されていとします。

以下の作品を1万円で買うことができるか考えてみてください。

絶景


おそらく、多くの人はお金は出さないはず。

この画像が気に入ったのならパソコンやスマホのスクリーンショットを使って、簡単にデータをコピーして、映像を楽しむはずです。

つまり、簡単にコピーや保存ができる今の時代にとって、デジタルコンテンツを買うことは希少なんです。


ですがデジタルコンテンツにNFTの技術を取り入れると、デジタルコンテンツの過去の取引履歴を世界中の誰でも見れるようになります。

時間がある方は海外のNFTプラットフォームとして有名なOpenSeaや日本のNFTマーケットプレイスであるAdam byGMO、Coincheck NFT(β版)などから作品の取引履歴を確認してみてください。

NFTの取引履歴で確認できることは、以下の通りです。

【NFTの取引履歴で確認できること】
  • 過去誰が買ったか
  • いくらで出品されたか
  • 売り手がいくら支払ったか
  • 何回売買されているか
  • いつ頃買ったか

しかもこれらの取引履歴は途中で書き換えることができません。

一度記録されたら、誰にもデータを改ざんすることができないんです。


先ほど紹介した風景画像の話に戻りますが、仮に過去100万円で売買されていたと証明され、そのデータも絶対に後から改ざんされないとするなら、多少はお金を出して買ってみても良いと思えてくるはず。

1万円で仕入れて半額の50万円で売れれば、利益は49万円となるからです。


現在のNFTはイーサリアム(Ethereum)というブロックチェーン技術を使うことほとんどです。

イーサリアムの規格が同じであれば、買った場所と違うプラットフォームでもNFTを売ることができます。

つまり、NFTを買った後は自分で作品を楽しむだけでなく、先ほど紹介した取引履歴を元にして、誰かに自分が所有しているNFTを売ることができるのがNFTの機能の1つです。


おそらく、NFTの機能の中で最も注目されている機能が「デジタルコンテンツを売ったり、買ったりできること」だと思います。

むしろ、今はこの機能しか注目されていないと私は思っています。


NFTの機能2:偽物対策

では次に、機能の2つ目を紹介します。

それは偽物と本物を簡単に見分けることができるという機能です。

全く同じデジタルコンテンツを作ろうとも、過去の取引履歴を編集することができないため、偽物を本物と思わせることはできないんです。

当然の話ですが、NFTでは所有者以外に所有権を譲渡することも不可能です。


さらに偽物がNFTで販売されたとしても、過去の取引データを改ざんすることがでいないため、偽物は偽物としての価値でしか証明できないということにもなります。

なのでNFTを使えば、本物と偽物を区別することが簡単にできます。


ただし皆様も薄々気づいているかもしれませんが、デジタルコンテンツをNFTができたからと言って、コピーされる商品がなくなり、すべてのデジタルコンテンツに価値がつくわけではありません。

偽物対策ができるようになったとしても今後もデジタルコンテンツに関してはコピー商品は出回りますし「NFTを所有している」ということに価値を見出せないデジタルコンテンツに関しては、コピー商品と同様に価値がゼロに近づいていきます。


NFTの機能の2つ目は、偽ブランドと区別できたり、著作権侵害などへの対策ができることでした。


NFTの機能3:設計次第で機能を追加できる

NFTの機能の3つ目はプログラムの設計次第で機能を追加できるということです。

NFTに使われるブロックチェーン技術の特徴として、取引データを追跡することができます。

この機能を使えば、自分の作品が自分の手元を離れて売買された際に、売買代金の一部を受けるとる印税のような仕組みが可能です。

実際、本の印税では新品が売れた時しか発生せず、中古で売買されても取引履歴が残らないので、後追いができません。

しかし、NFTの仕様を変更すれば、何度売買されても売買代金の一部を自動で徴収することができます。

これらの仕様はブラットフォームによって変更されますが、そんなこともできるのがNFTのメリットとなります。


ここまでで長かったかもしれませんが、NFTの3つの機能を理解して頂くことはできましたでしょうか。

私の説明が下手すぎたら、申し訳ございません。


「NFTって何?」と聞かれた時の回答

ここまでNFTの機能の話をまとめると、以下の通りです。

【NFTの機能まとめ】
  • デジタルコンテンツを売買できるようにする技術
  • 取引データは改竄できないので詐欺対策になる(ただし、コピー商品がなくなるわけではない)
  • 設計次第で印税のような仕組みも可能

友達や上司との会話で「NFTって何?」と聞かれたら、上記の3つの機能を答えたあげると良いと思います。


NFTの市場規模

現在、NFTが世界でどれぐらいの市場規模を生み出しているのか。

2021年時点でのNFT売上高(世界)は196億ドル(約2.5兆円)規模となっています。

NFT Global Sales
出典:CryptoSlum

上記は日次売上(水色線)とユニーク販売者数(黒線)ですが、2022年最も多く取引された日の売上高は$630M(約82億円)を超えました。

2018年以降の年間推移で見ると、売上、販売者数、平均取引高(= 売上÷販売者数)は上昇傾向となっています。


NFTの市場規模
売上高 販売者数 平均取引高
2018年$9,733,68988,389$110
2019年$3,308,86062,128$53
2020年$32,315,347177,342$182
2021年$19,678,444,53213,755,837$1,431
2022年$15,715,474,7328,887,970$1,768
※2022年は5月10日までのデータです。

ちなみに2022年は年間ではなく、5月10日までのデータですので、2022年も右肩上がりが期待できそうな状況となっています。


NFTバブルが終わる時期は?

繰り返しになりますが、NFTには3つの機能があるにも関わらず、1つ目の「売ったり買ったりすることができる」という機能しか注目されていません。

NFTに参加する人の99%はNFTを売買することによって「副収入を得たい」「金を儲けて幸せになりたい」というのが本音です。

NFTを使ってブランドの価値を守りたいとか、製作者やアーティストを守るような仕組みでNFTを運用している集団は多くはありませんし、皆ゴールドラッシュのように「NFTで億万長者になりたい!」「将来値上がりするNFTを手に入れたい」という欲があって、今のNFT市場が大いに盛り上がっています。

それが悪いことだとは言いません。

ただそのような現状があるため、NFTで稼げる人が少なくなれば、NFTブームは今よりも市場規模が小さくなると予想されます。


NFTはいつ稼げなくなる?

いつ稼げなくなるかは、正直わかりません。

ですがNFTが稼げなくなるとすれば、1作品あたりの取引単価が下がり過ぎた時だと思います。

購入者×購入金額の数字に対して作品の販売数が増えすぎれば、1作品あたりの単価が下がります。

作品の単価が下がればNFT販売者は稼げなくなり、次の稼げる市場へ人が移っていきます。


CryptoSlumのデータをみれば、2022年(5月10日まで)は2021年よりも平均取引単価が高い状態にありますが、これが減少してきたら危険信号だということです。

NFTの平均取引単価