日本人が投資に馴染めない理由
日本人は欧米に比べると、投資比率が少なく、現預金や保険の金融資産割合が大きいことは有名です。
個人資産の内訳を欧米と比較すると、日本は貯金の割合が異常に大きいです。
— Gaz(ガズ)@ブログ更新中 (@gazooblog) April 4, 2022
【貯金割合が大き過ぎる理由】
1. 投資知識がない
2. 大人が勉強しない
3. 教育へ投資しない
4. メディアの影響(洗脳)が強い
5. 常にデフレ気味で経済が不安
6. マジで貧乏(余剰金がない)
7. お金持ちの多くは高齢者 pic.twitter.com/PniFiiWey3
周りを見ても投資をしたことがない大人が大半を占めるほど、日本人にとって投資は一般的に受け入れ難いものだと思います。
では、なぜ日本では受け入れられないのか。
その理由は「値動き」が右肩上がりではないということです。
値動きを許容できない
投資であれば、株式、債権、不動産、仮想通貨など、基本的には毎日価格が変動します。
値動きは右肩上がりで上がる株価もれば、ずっと同じ価格帯を行ったり来たりする銘柄もありますし、右肩上がりから反転して右肩下がりになってしまう銘柄もあり、どの値動きも将来は予測できません。
「右肩上がりが当たり前」の日本人にとって、右肩下がりになる可能性もある投資は受け入れ難いものです。
「右肩上がり」が日本の通例
私たち日本人は「右肩上がり」が当たり前と思うような慣習が周りにいくつもあります。
たとえば、学校教育や部活などにおいては、必ず年齢に応じて与えられる機会や権利も増えていきます。
小学校から大学までの教育においては、知能指数や学習状況に応じて、学年が変わることはありません。
留年や浪人という仕組みはあるものの、学年が止まるだけで1つ下の学級に下がることはあり得ません。
部活でも組織に入れば、基本的には先に入った人が「先輩」として、目上の存在となり、強い縦社会が完成しています。
日本の実社会においても、年功序列や終身雇用など、同じ会社に長く勤めている人を評価する制度が用意されており、昇降格の基準が勤続年数となるなど、給料や与えられる称号、権利などは「右肩上がりで増えていく」のが日本の通例です。
つまり、年齢を重ねるほど、与えられる学年や人としての権利が増えていくことが当たり前というイメージが強く、一度獲得した称号を剥奪されるという機会は滅多にないのが日本です。
そのような文化に慣れている日本人にとって、資産が右肩上がり増えない可能性がある投資というのは、受け入れ難いということだと思います。
元本保証が大好き
もう1つ右肩上がりを受け入れやすい日本人の特徴を表すものが「元本保証型の金融商品」が大好きということです。
投資などの金融商品は受け入れられないものの、元本が保証されている金融商品は昔から多く持つ傾向があります。
主には銀行預金と保険がその条件に該当されます。
銀行預金の金利は0.001%しかありませんが、銀行が倒産したとしても1,000万円までの預金は100%顧客に還元される金融商品です。
保険も元本保証型であれば利子は本当に少ないですが、確実に資産を増やせる金融商品ということもあり、投資が盛んな欧米に比べても、同程度の保有割合となっています。
このような金融商品は受け入れられやすく、値動きのある投資商品は受け入れられないのは、結局のところ増える可能性が高かったとしても下がる可能性があるものは日本人として受け入れ難いという事実に他なりません。
投資を好きになるコツ
右肩上がりが大好きな日本人は投資には向いてないでしょうか。
実はそうではないと思っています。
株価の右肩上がりを予想するのは至難の業ですが、企業業績の右肩上がりを見つけるのは、株価よりも予想しやすいからです。
株価は企業業績に連動すると言われており、企業の利益が上がるほど、株価は業績に応じて上がっていくものです。
ただし、そういう銘柄を見つけるには、財務諸表を理解する必要があります。
財務諸表とは、主に以下の3つを指します。
【財務諸表の種類】
- 損益計算書
- 貸借対照表
- キャッシュフロー計算書
簡単に言えば、損益計算書は企業の売上や営業利益を見るものです。
貸借対照表は企業が持っている資産と負債がどれぐらいあるか、キャッシュフローは借入や返済、投資など資金繰りがうまくいっているかを判断するための書類です。
その中で最も大切な数字が「売上高」です。
厳密には業種や銘柄によって見るべきポイントは変わりますが、売上高の推移はどの銘柄においても重要はことは間違ありません。
これが右肩上がりになっているかどうか、成長率は落ちてないかを見るのが大切です。
たとえば、世界一の時価総額を誇るAppleの売上高の推移を見てみましょう。
出典:MacrotrendsiPhoneやMacbookなどのコンピュータデバイスを販売する企業ですが、売上高はずっと右肩上がりを記録し続けています。
途中成長度合いが下がってしまったりもしますが、他の財務部分や競合を見たとしても、売上高の右肩上がりはまだまだ続きそうです(個人的な見解ですので、参考程度でお願いします)。
損切りも大切
業績予想は株価よりも読みやすいと思いますが、それでも100%当てることはできません。
四半期ごとの決算発表をチェックし、思い通りの数字が出なかった場合には損切りしつつ、他にもっと右肩上がりで成長する見込みの高い企業に乗りかえていくのが、グロース株投資(もしくは成長株投資)の王道です。
Appleのように超長期で右肩上がり成長している企業がたった一回の決算をミスったらといって、売るべきというわけではありませんが、それでも売上が右肩上がりで成長し続けるのかをシビアに見極めて、ダメなら損切りを選択するプランも用意しておくべきです。
もっと簡単に言い換えるなら、企業が右肩上がりで成長する時だけ投資すれば良いと思います。
株価は滅多なことがない限り、長期的に右肩上がりにはなりませんが、企業の売上は株価よりも右肩上がりになる傾向が強いと思います。
右肩上がりが大好きな日本人は、財務諸表の知識を蓄えつつ、売上や利益、配当などが右肩上がりで成長する企業を見つけることが投資が身近に感じられるコツだと考えます。