「待て」が出来ない人ほど貯金を減らす

長期的な資産形成において、必要な素質があるとすれば、

それは資産が増えるのを「長い時間待つ事が出来るか」です。


それをチェックするのに、良いクイズがあるので是非皆さんも試してみてください。

【質問】お金を貰えるとしたら、AとBどちらを選びますか。
    A:今すぐもらう10万円
    B:1ヶ月後にもらう10.1万円

この質問では、千円をもらうために「1か月間」待つ事が出来るかという判断が必要です。

10万円という金額に対して、千円は100分の1程度しかありませんので「そのぐらいは誤差である」「たった千円もらうより早く10万円を手にれた方が価値が高い」と判断するのか、それとも「千円でも多く貰えるなら、1か月は待つべきだ」「今もらう10万円も1か月後にもらう10万円もどちらも同じ10万円である」と考えるのか。

この判断によって、人生は大きく変わるように思えます。


では、次にもう1つ質問をさせてください。

【質問2】お金を貰えるとしたら、AとBどちらを選びますか。
    A:12か月後にもらう10万円
    B:13か月後にもらう10.1万円

この質問でも先程と同様の判断が求められます。

ですが、最初の質問よりBを選ぶ人の割合は比較的多くなることが、ある研究によって証明されています。


双曲割引

その研究とは、双曲割引というものです。

人は今すぐ得られる価値ほど大きく感じてしまい、遠い将来得られるかちほど小さく考えてしまう生き物です。

この原理を「双曲割引(そうきょくわりびき)」と言います。


たとえば、こんな経験はありませんでしょうか。

半年後、今の体重よりも5キロ痩せたいと考えてダイエットを頑張っている人が「甘いお菓子」を食べてしまったり、運動をサボってしまう経験は誰しもあるはずです。

これは「ダイエットで5キロ痩せた体を手に入れる」という遠い将来に得られる価値よりも「今甘いものを食べて心を満足させたい」という近い将来に得られる価値の方を大きく考えてしまい、行動を優先しているからです。


双曲割引の傾向が強い人

他にも家を買うためや結婚資金を貯めるために大きな貯金が必要な人が、お金が貯まる前に別の買い物をしてしまったり、何度も浪費をしてしまい、結果として目的の貯金が出来ない状態にある人もいます。

これも先程と同じで、「貯金で大きなお金を貯める」という遠い将来の価値よりも「今欲しいものを買う」という近い将来の価値を大きく評価してしまうからなんです。


双曲割引の研究では、双曲割引の傾向が強い人(遠い将来より近い将来の価値を大きく考える人)ほど貯金額を減らす傾向が強く、65歳時の退職金額は双曲割引の傾向が低い人に比べて、約19,000ドル(約232万円)も低かったという結果も出ています。


後回しのデメリット

今の価値を優先し、将来の価値を小さく見積もる人ほど、ダイエットや貯金だけでなく、仕事や家事などのやるべきことも「後回し」にしてしまう傾向も強いと思います。

何でも後回しにすると、事はもっと面倒くさくなり、あまり良い傾向はならないはずです。

【後回しのデメリット】
  • 今よりも問題が大きくなるだけ
  • 罪悪感がストレスに変わる
  • 短期的には楽でも長期的には辛くなる
  • 「今」の瞬間に頑張る力が弱くなる

先に辛い事、面倒臭いことを処理してしまう癖が薄くなってしまうと、上記のようなデメリットが自分に降りかかってしまうと思うのです。

これからも長い人生ではありますが、「今頑張るべきこと」と「後回しにしても問題ないこと」のバランスを調整しながら考えれるようになると、投資も人生も長期的にうまくいくと私は考えます。