年金75歳から受取可能

原則65歳から受給できる公的年金ですが、2022年4月から制度が変更され、70歳までの繰り下げ受給が75歳まで延長できるようになります。

年金は受給開始年齢を1ヶ月単位で遅らせるほど、毎回の受給金額を増やすことができる仕組みです。

増える割合は以下の通り。

繰下げ増額率早見表
出典:日本年金機構HP

仮に65歳から毎月10万円ずつ年金をもらえる方が、10年間我慢して、75歳から年金受給を開始した場合は毎月10万円の年金額が18.4万円になるという計算です。


繰り下げ受給するべきか

年金の受給開始年齢を遅らせるか否か。

それは、資産額や仕事内容、健康面など、状況によって様々です。


仮に、最低限の老後生活費が十分に稼げている状態で年金受給がなくても暮らせる環境だった場合ですが、それでも私なら早期に受給する方を選択すると思います。

その理由について、説明をしていきます。


年金を繰り下げない理由1

年金受給開始年齢を繰り下げない理由の1つは「体が健康なうちにお金を使いたいから」です。

現在の年金受給額の平均は14.5万円/月程度ですが、これを65歳、70歳、75歳から受給開始した場合の年金総額を計算すると、以下のグラフになります。

受給開始年齢別の年金額(累計)


65歳から年金を受給開始した場合、80歳までは65歳から開始した方が70歳から開始するよりも多く受け取ることができます。75歳から年金受給を開始すると、65歳で開始した人の総額を上回るのは、なんと86歳です。

85歳までは65歳からもらっている方が多くもらえて、86歳以降は毎年146万円程度多く年金がもらえるようになりますが、それと65歳から年金をもらうことを比較すると、私は早期にもらって、お金を使っていく方が幸せな人生に近づける気がしています。

繰り返しますが、人によって価値観は違うので、あくまで参考程度に聞いて頂けると幸いです。


年金を繰り下げない理由2

日本の年金は2ヶ月に1回、偶数月の15日に振り込まれます。

ですが、2ヶ月ごとに満額お金を使い切れるかというと、そうではありません。

家のリフォームや旅行など大きなお金が必要な時もあれば、全く使わない時期もあるはずです。

そういうことを考えると、もらった年金を現金で眠らせておくのでなく、資産運用する形で少しずつ増やしながら、老後生活に充てていく考えがあっても良いと思います。


年金を運用する

仮に65歳、70歳、75歳からもらえる年金を全て資産運用に回して、年率4%で運用できた場合の資産推移をグラフにすると、以下のようになります。

年金を運用した場合の資産推移(年率4%))


65歳から年金受給した場合と70歳から年金受給開始した場合を比較すると、資産運用しなかった場合は81歳で総資産を追い抜かれましたが、資産運用をすると総資産を追い抜かれるタイミングが88歳まで遅くなりります。

年金を早期にもらって資産運用をすれば、できるだけ若いうちにたくさんのお金を使えるということです。


ここで重要なことは「資産運用の平均運用利回りが上がるほど、65歳から年金受給開始した場合の総資産を後から上回るのが難しくなる」という点です。

年率5%であれば、70歳から年金受給開始した方が65歳から年金受給開始した方の資産を上回るのは91歳になります。

年率6%であれば98歳、年率7%であれば117歳までは総資産を上回ることができません。

年金を運用した場合の資産推移(年率7%)


つまり、資産運用の成績がいい人ほど、年金は早くもらった方が有利です。


資産運用にはリスクがある

ただし、ここで忘れてほしくないのが、資産運用にはリスクがあるということです。

資産運用において、毎年4%ずつ資産が右肩上がりで増えていくことなど、基本的にはあり得ません。

10年、20年など長い期間で資産運用できた場合にのみ、結果として年間利回りを慣らすと、平均◯%だったと振り返るのが基本です。

以前、実際の値動きと平均利回りで計算したシミュレーションとの違いをグラフにした記事があります。


こちらをお読み頂ければ、実際の資産運用が平均利回り通りにいかないことが、ご理解頂けるはず。

私は資産運用が比較的好きなタイプですので、自分が年金受給開始年齢を迎えたら、できる限り早期にもらって資産運用を加えながら、お金を使っていく人生を選びたいと思います。

あくまで一つの意見ですが、参考にして頂けると幸いです。