人口増加と経済成長の関係

人口が増えている国は経済も成長しやすいと言われますが、本当にそうなのか、調べてみました。

世界の人口推移
※総務省統計局のデータを元に作成

世界の人口は1950年を起点とした場合、2022年では世界の人口が1950年の約3倍(+214%)に成長しており、2050年までには更に+70%も人口増加する見込みです。

一方、米国では2022年時点で1950年の約2倍(+116%)に成長し、日本は約1.5倍(+48%)という結果でした。


大きな違いとして、世界と米国(北アメリカ)では2050年まで人口増加が継続されますが、日本では2008年に人口のピークを迎え、そこから減少傾向に転じているという状況です。


日米の株価成長率を比較

1965年を起点として、米国(S&P500)と日本(TOPIX)それぞれの今日までの株価成長率を比較してみると、両者の違いが見えてきます。

日米の株価成長率


1960年代の日本は経済成長率が年平均10%超えを記録し、高度経済成長と呼ばれる時期。

GDPとともに株価が急激に上昇し、1990年のバブル崩壊までは異常なまでに株価が成長します。

しかし、その後は経済が低迷し、2007年にはリーマンショックが起き、2008年には人口増加がピークを迎え、2009年から徐々に人口が減少し始めました。

2011年には東日本大震災が起きるなど、人口減少が急速に進み、アベノミクスが起きるまで、株価はずっと低迷したままの日本。


一方、人口増加が進んでいる米国では、2000年のドットコムバブルが起きるまでは株価が急速に成長しますが、その後リーマンショックが収まるまでの13年間は株価が低迷しました。

しかし、2014年以降は株価が大きく成長し、2022年時点では日本との成長差は2.4倍となります。


人口と株価の相関

次は日本の株価(TOPIX)と人口増加率の推移を比較していきます。

日本の人口と株価


1965年からバブル崩壊までの25年間は人口も株価も大きく成長し、人口と株価には強い相関関係が見られます。

1990年以降では、2008年まで日本の人口が増加しているにの対して、株価は2012年までずっと低迷したままとなり、完全に逆相関関係が強くなっていきます。

また、2008年以降は人口減少が長く続くのに対して、2013年以降のアベノミクス相場では株価が徐々に成長しますので、人口と株価の相関関係はほとんどないのが事実です。


米国の人口と株価

次は米国の人口と株価成長率を比較していきます。

米国の人口と株価


米国の人口増加は常に右肩上がりで、毎年少しずつ確実に上昇していきます。

対して、株価は大きな流れを見れば右肩上がりで成長していますが、1年毎に細かく株価成長率を見ると、暴落時などは-50%近く下落することもあり、短期的な相関関係は薄いと言えます。

でも長期的な成長を考えれば、人口が増加してるという事実が、株価を長期的に成長させる一つの要因になっていると考えことができると思います。


まとめ

今回は日本と米国の人口と株価の関係を比較してきましたが、結論は以下の通りです。

【人口と株価のまとめ】
  • 人口と株価に強い相関関係はない
  • 人口増加は長期的な株価成長の要因

1990年〜2008年までの日本や2000年〜2013年までの米国を考えると、人口と株価の関係には相関はあるとは考えにくい状況でした。

ただし、短期的な相関関係は薄いと見られるものの、長期的な成長を考えれば、人口減少している国は比較的経済も長期的に低迷しやすいと思われます(ただし、全部の国がということではありません)。

その理由は人口が減少しているから株価が伸びないという単純なものではなく、国民の平均賃金が上がらない、労働生産性が低いままなど、何らかの理由で経済が伸び悩んだ結果として同時に人口が減少し続け、長期的には株価も低迷する可能性が高いという理解です。

繰り返しになりますが、長期的に人口減少している国は何かしら株価が下がる要因を抱えている可能性があるかもしれません。

ですが、「人口減少しているから株価が下がりやすくなる」は違うということが、私の結論です。