アクティブファンドとは

アクティブファンドとは、日経平均やS&P500などの株価指数(ベンチマーク)を上回ることを目指して運用される投資信託およびETFのことです。

注意頂きたい点は、株価指数を上回ることを「目指す」というところです。

株価指数を必ず上回るわけではありません。


アクティブファンドの手数料

アクティブファンドは株価指数を上回ることを目指すため、ファンドマネージャーを雇う人件費や銘柄売買を繰り返すためのコストがインデックスファンド(パッシブ運用)よりも手数料が割高になる傾向があります。



アクティブファンドにかかる手数料は主に「購入手数料」と「信託報酬」の2種類です。

<購入手数料の相場>
    パッシブ運用:0%
    アクティブ運用:3.3%(税込)

<信託報酬の相場>
    パッシブ運用:0.0938% ~ 0.66%
    アクティブ運用:0.88% ~ 1.65%

購入手数料が0%ですと1万円全額投資に回すことができますが、購入手数料3.3%の場合は1万円を支払ったとしても9,670円分しか投資ができません。330円は手数料として証券会社や販売元への手数料として取られてしまうので、投資効率が悪くなってしまいます。


償還期限に注意

インデックスファンドでは聞き馴染みがないかもしれませんが、アクティブファンドでは「償還期限」が設定されていることがあります。

償還期限とは、ファンドの運用期限のことです。

償還期限を迎えると、投資された信託財産が清算され、保有口数に応じた償還金が投資家へ返還されます。

長期投資を目的とする場合は、運用がストップすることで機会損失が生まれたり、売買コストがかかってしまうので、できる限り償還期限が長いアクティブファンドもしくは償還期限が設定されていない投資信託を選択する方が賢明です。


アクティブファンド純資産総額ランキング

日本で購入できるアクティブファンドの中から純資産総額が多い銘柄をランキング形式でリストアップしてみました。

アクティブファンド一覧


純資産総額が多い銘柄では、「AB・米国成長株投信Dコース(H無) 予想分配金」「グローバルESGハイクオリティ成長株式(H無) 『愛称:未来の世界(ESG)』」など、1兆円を超える銘柄もあります。

今回はこれらのアクティブファンドの中から、純資産が多く、高格付け、知名度がある銘柄を9銘柄の運用実績を比較していきたいと思います。


アクティブファンドおすすめ銘柄比較

今回私がピックアップした銘柄は以下の通りです。

アクティブファンド比較対象


上記銘柄に人気インデックスファンドの1つである「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」を加えて、パフォーマンスを比較していきます。


比較条件は2018年7月31日から2022年1月13日までの3年6ヶ月の間、毎月1万円ずつ積立投資をした場合の資産推移を見ていきます。

中には分配金を含む投資信託もあるため、分配金は再投資せずに現金として保有した場合を想定します。


ではまず、分配金を含めた2022年1月末時点の最終資産を見ていきましょう。


対象アクティブファンドの最終損益比較
銘柄名 最終資産 最終損益
グローバルAIファンド637,653円+207,653円
サイバーセキュリティ株式629,119円+199,119円
eMAXIS Slim 米国株式627,656円+197,656円
netWIN GSテクノロジー573,591円+143,591円
AB・米国成長株投信Dコース548,808円+118,808円
未来の世界525,034円+95,034円
ダイワ・US-REIT519,399円+89,399円
セゾン バンガード510,869円+80,869円
フィデリティ・USハイ・イールド466,386円+36,386円
ひふみプラス445,130円+15,130円

3年6ヶ月の間、毎月1万円ずつ合計43万円等した場合の最終損益で最も資産が増えたのは三井住友DSアセットマネジメントが運営する「グローバルAIファンド」でした。

3年半で+20万円の利益というのは高パフォーマンスだと思います。あの人気投資信託「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」をも見事に上回る金額です。

その他にも三菱UFJ国際が運営するサイバーセキュリティ株式が同社のeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)のパフォーマンスを上回る結果となりました。


対して、最も運用実績が悪かったのは「ひふみプラス」です。

最終損益はプラスで着地しているものの、直近のパフォーマンスには厳しいものがあります。

過去のパフォーマンスの期待値があるだけに、残念がる投資家は多いはず。


アクティブファンドの資産推移

途中経過の資産推移を表すと以下の通りになります(数が多いため、上位3銘柄と下位3銘柄に絞りました)。

アクティブファンドの資産推移比較


上記資産推移を見ると、2020年3月に起きたコロナショック後、各銘柄とも大きく資産を伸ばしていることがわかります。

中でも突出して大きく基準価格を伸ばしたのが、巣ごもり銘柄などを構成銘柄に含んでいたグローバルAIファンドとサイバーセキュリティ株式です。

しかし、2022年1月で下落相場に入ると、他の銘柄よりも大きく下げる形でeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)のパフォーマンスに近づきました。


アクティブファンドの分配金

今回ピックアップした10銘柄のうち、分配金実績があったのは以下の5銘柄です。

アクティブファンドの分配金実績(累積)


最も分配金を支払ったのは「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信」

毎月1万円を3年半投資すると、最終的には税引き後で毎月1万円弱の収入になっています。

ただし、その分だけ基準価格の成長が緩やかで分配金を含めた資産推移を見ると、上位3銘柄には劣るため、分配金としてもらうのか、資産推移を優先するのかは投資家の性格次第だと思います。

私だったら、分配金よりもeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)で資産を成長させる方が良いのかなと思いますね。


アクティブファンドが勝てない理由

今回ピックアップしたアクティブファンドのうち、インデックスファンドであるeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)よりもパフォーマンスが上だったのは2銘柄のみでした。

最近のトピックスで言えば、世界のアクティブファンドとして有名な「ARKK」

直近5年間のパフォーマンスでは、株式指数であるS&P500を上回りますが、1年前のピーク時から比べると株価は50%以上も下落しています。

ARKK株価
出典:Google Finance

有名な著書「敗者のゲーム」にも書かれている通り、インデックスファンドは多くの機関投資家やアクティブファンドを打ちまかします。


高すぎる手数料

アクティブファンドがインデックスファンドに勝てない理由の1つは、購入手数料と信託報酬を含めた手数料です。

先ほど比較したアクティブファンド9銘柄全ての購入手数料は3..3%(税込)でした。

投資信託を購入した時点で3%の利益が失われるわけですから、年利3%の投資信託であれば1年間の運用実績が購入時に消えることになります。

加えて、信託報酬がインデックスファンドと比べると、10倍程度も差があります。

信託報酬が高いアクティブファンドほど、基準価格の成長を妨げてしまいます。


長期的なトレンドに弱い

もう1つ、アクティブファンドがインデックスファンドに勝てない理由は、アクティブファンドが長期的なトレンドに弱いということです。

アクティブファンドはインデックウスファンドに比べると、テーマ性が強い分「得意な相場」と「不得意な相場」でのパフォーマンスがはっきり分かれることが多いと思います。

ARK社に然り、グローバルAIファンドに然り、とサイバーセキュリティ株式に然りですが、短期的かつ爆発的に成長した銘柄が多かったように思えます。

コロナショック後の相場で言えば、当時巣ごもり銘柄の代表格であるZoomやOkuta、Rokuなどの株価を見れば、急激に成長できた理由と、株価が落ちてきた理由などが見えてきますし、もっと投資の理解が深まるはず。


当たり前のことかもしれませんが、急上昇がずっーーーと続く銘柄はありません。

上がりすぎた株価はどこかで調整され、適正な価格に近づいていきます。


対して、インデックスファンドはどんな相場でも上がりにくく、下がりにくい特性があると思っています。

急上昇することはないですが、下がりすぎることもないため、結果として暴落相場でアクティブファンドとインデックスファンドの実績が逆転する現象が起こります。

アクティブファンドは特定の短期的な相場に強く、インデックスファンドは長期的な運用に強いという特性があります。


この考察を踏まえれば、長期的な運用にアクティブファンドを使ってはいけません。

長期投資ならインデックスファンドを使い、短期的な相場で勝負するのであればアクティブファンドを使う。

そういう目的と手法を合致させることが重要だと思います。