投資ルールを作る前に
投資ルールの作り方は、投資手法や目的によって大きく異なります。
短期的な利益を狙う投資であれば、チャート分析などのテクニカルが大事になってきますし、長期的な手法では企業決算やファンダメンタルなど、考えるべき物事に大きな違いがあります。
また、投資は未来の株価を予想して儲けることです。
そういう仕組みに対して、「絶対に大丈夫」とか「完璧なルール」は存在しません。
投資手法や目的を絞っていかないことには、ルールを無限に作りすぎてしまう懸念がでてくるため、投資目標や手法が決まっていない方は、まず目的と手段を決めていくことをお勧めします。
以下の記事が参考になると思うので、是非ご覧ください。
投資手法と目的が決まったら、本を買って勉強を進めてみるのが最も効率的だと思います。
バリュー株投資であれば「賢明なる投資家(ベンジャミン・グレアム)」などが有名です。
成長株投資であれば「オニールの成長株発掘法」「ミネルヴィニの成長株投資法」、インデックス投資であれば「ウォール街のランダムウォーカー」「敗者のゲーム」などが良書としてあります。
CAN-SLIM法
オニールの成長株発掘法では、CAN-SLIM(キャン・スリム)法という投資方法があります。
CAN-SLIM法は以下の条件を満たした銘柄のみに投資をするという方法です。
【CAN-SLIM法 まとめ】
- 当期純利益 YoY+20%以上
- 年間EPS YoY+25%以上
- 新事業が利益成長の原動力となる
- 需給が追い風であること
- 業界の先駆者であること
- 大株主に機関投資家がいること
- 相場全体の地合いが良いこと
企業の利益や売上は企業決算を見れば理解することはできますが、「業界の先駆者であるかどうか」「相場全体の状況」「需給が味方しているかどうか」「世の中的に新しいテクノロジーを持っているのか」など、後半の項目は競合や業界全体もしくは相場全体を見ていなけば判断ができません。
上記の条件を満たす銘柄は、数多くはありません。
ただし、投資機会が少なくなる分だけ短命な銘柄や失敗を招くような危険な銘柄に投資をするリスクも少なくなるのは事実だと思います。
投資ルールの作り方
本で企業決算の分析や市場サイクルを勉強すれば、投資の際に必要なルール(仮)がいくつも見えてくるはずです。
バリューや成長株投資のような個別株投資であれば、以下のようなステップでマイ投資ルールを作ります。
【投資ルールの作り方】
- Step1:本で勉強する
- Step2:仮ルールで銘柄を選定
- Step3:デモトレードで勝率を確認
- Step4:勝率が上がるようルールを修正
本に書いてあることは完璧ではありません。
本で書いてあるルールが現在の相場環境に対応してない場合もあるので、仮でお金をかけずにルールを運用してみる方が資産を減らすことなく、ルールを修正できるのでお勧めです。
勝率50%以上あれば、賭け金を増やさない限り資産が減らなくなるので、そこまで持っていければ理想です。
ただし、痛い思いをして実際に失敗した方が身に付く相場感覚もあるので、「いける」と思ったタイミングで自分の資産(余剰金)を使って投資を開始する方がいいでしょう。
ちなみに、インデックス投資の場合はルールが少ないので、デモトレード期間は飛ばして、早めに始める方が良いです。
株式投資の損切りルール
株式投資で含み損が増えてくると、最初に設定したルールを(悪い意味で)都合の良いように変えてしまう人がいます。
開始当初は売上成長が連続で右肩上がりの企業に投資をすると決めていたにも関わらず、決算で悪い成績が出ても株価がマイナスだったために株価が戻るまで継続して保有しておこうと考えたりすることがあるはずです。
人間の心理として、損切りは難しく、損失が膨れ上がってしまうと、さらに株を売ることが難しくなる塩漬け状態に陥ります。
なので、塩漬け状態を避けるためには、損切りルールも予め決めておくことが重要です。
損切りラインは投資手法にもよりますが、短期トレードであればテクニカル指標を使って「売りサイン」を見極めたり、一定額を下回った段階で売りに行くルールが効率的だと思います。
長期投資であれば、価格で決めずに決算や市場トレンドなどファンダメンタルズを考慮してポートフォリオをリバランスしたり、不利な銘柄を切っていく必要があります。
よくあるのが短期トレードをしている人が含み損を抱えた時だけ長期投資ルールに切り替えることです。
このパターンに陥ってしまうと、塩漬け資産は大きくなってしまうので、最初に決めた投資方法と目的だけは貫くようにしてください。
株式投資初心者のルール
「難しいことはよくわからない」「インデックス投資しかやるつもりはない」という方に関しては、基本的に以下のようなルールがあれば十分だと思います。
【株式投資初心者の基本ルール】
- 余剰金で投資する
- 貯金と投資比率を崩さない
- 一括投資をしない
- レバレッジもかけない
- 空売りから入らない
- SNSに流されない
- 自分の頭で考える
- 絶対とか自分を過信しない
- 底を予想しない
- 資産を分散する
- 常に勉強する
- 投資で勝負しない
最初は必ず少額から始めることが重要です。
いきなり大きなリターンを狙ってレバレッジをかけたり、全資産もしくは大きい金額を一括投資すると、高い確率で投資に失敗してしまいます。
毎月の収入から生活費と貯金を差し引いて、無理のない金額を毎月少しずつ同じ銘柄に投資し続けることができれば、ある程度の大きな資産は作れます。
投資4%ルール
インデックス投資の出口戦略として、4%ルールという資産を定額で切り崩す方法があります。
たとえば、65歳で手持ちの金融資産3,000万円を毎年120万円ずつ「定額」で切り崩していくと、約25年間で3,000万円使い切る計算になるはずです
ですが、米国株や債券資産3,000万円を120万円ずつ切り崩して使っていくと、30年後でも3000万円の資産は無くならないことがトリニティ大学の研究結果(Trinity study)で証明されています。
出典:thepoorswiss2020年にアップデートされたTrinity studyでは、ドットコムバブルやリーマンショック時のような株価大暴落の相場に遭遇したとしても、株式比率が25%以上(債券比率が75%以下)ある金融資産であれば、30年後に資産が残る確率は75%以上あることがわかっています。
ただし、この方法(Trinity study)には、以下の注意点があります。
【Trinity studyの注意点】
- 切り崩す金額は「定額」
毎年の資産残高4%ではない
- 投資先はSP500や高格付け社債
- 日本人は為替リスクを受ける
より詳しく知りたい方は関連リンクから調べてみてください。
インデックス投資をする方は、定年後資産を切り崩す時に4%ルールを使うと、効率的に資産を長持ちさせることができます。