相関係数とは
相関係数とは、相関関係の有無を-1から+1までの値で表す数値です。
値が+の場合は正の相関といって、同じように値が上昇したり、下降したりします。
値が-の場合は負の相関といって、反対方向に上昇したり、下降したりする関係を表します。
また相関係数が0に近いほど相関関係は弱く、±1に近いほど相関が強いことを意味します。
相関係数と判断目安は以下の通りです。
相関係数 | 判断目安 |
0.8 〜 | 強い正の相関がある |
0.6 ~ 0.8 | 正の相関がある |
0.4 ~ 0.6 | 弱い正の相関がある |
-0.4 ~ 0.4 | 相関がない |
-0. 4 ~ -0.6 | 弱い負の相関がある |
-0.6 ~ -0.8 | 負の相関がある |
-0.8 ~ -1 | 強い負の相関がある |
米国株投資の相関係数一覧
今回は米国ETFの相関関係を図ってみようと思います。
直近3ヶ月の取引量が多い人気ETF50銘柄について、2018年2月から2021年12月までの相関係数を以下の表のように抽出しました。
全ては紹介しきれないので、S&P500に連動する人気ETFの代表格であるSPYに対しての相関係数の高い銘柄と低い銘柄を紹介します。
S&P500と相関があるETF
SPYと正の相関が強い19の銘柄が以下の通りです。
Name | Ticker | 相関係数 |
ProShares UltraPro S&P500 | UPRO | 1.00 |
Direxion Daily S&P500 Bull 3X ETF | SPXL | 1.00 |
ProShares UltraPro QQQ | TQQQ | 0.94 |
Consumer Discret Sel Sect SPDR ETF | XLY | 0.93 |
Invesco QQQ Trust | QQQ | 0.93 |
Industrial Select Sector SPDR ETF | XLI | 0.92 |
Technology Select Sector SPDR ETF | XLK | 0.91 |
Vanguard FTSE Developed Markets ETF | VEA | 0.90 |
iShares Core MSCI EAFE ETF | IEFA | 0.90 |
Financial Select Sector SPDR ETF | XLF | 0.89 |
iShares Russell 2000 ETF | IWM | 0.89 |
iShares MSCI EAFE ETF | EFA | 0.89 |
Direxion Daily Small Cap Bull 3X ETF | TNA | 0.88 |
Health Care Select Sector SPDR ETF | XLV | 0.83 |
iShares iBoxx $ High Yield Corp Bd ETF | HYG | 0.81 |
Direxion Daily Semicondct Bull 3X ETF | SOXL | 0.81 |
SPDR Blmbg Barclays High Yield Bd ETF | JNK | 0.81 |
iShares US Real Estate ETF | IYR | 0.81 |
SPY以外のS&P500に連動するレバレッジ型のETF(UPRO、SPXL)の相関が強いことは当たり前ですが、Nasdaq100に連動するQQQおよびTQQもかなり強い相関があります。
また、S&P500はRussell2000との相関関係も強く、最近でも似たような値動きをしています。
出典:Google FinanceETFで言えば、大型株のVOOよりも中小型株を含めたVTIを選択する人がいるかと思います。
しかし、米国の中小型株より大型株であるS&P500の方が直近でのパフォマンスは上です。
過去5年間においては、Russell2000が+48%成長に対して、S&P500は倍近い92%も成長しています。
今後のポートフォリオ戦略で考えた場合、中小型株を含めるかどうかの参考になるはずです。
S&P500と強い負の相関
Name | Ticker | 相関係数 |
ProShares Short S&P500 | SH | -0.98 |
Direxion Daily S&P 500 Bear 3X ETF | SPXS | -0.91 |
ProShares UltraPro Short S&P500 | SPXU | -0.91 |
ProShares Short QQQ | PSQ | -0.89 |
Direxion Daily Small Cap Bear 3X ETF | TZA | -0.87 |
ProShares UltraShort QQQ | QID | -0.85 |
iPath B S&P 500 VIX S/T Futs ETN | VXX | -0.84 |
ProShares Ultra VIX Short-Term Futures | UVXY | -0.84 |
ProShares UltraPro Short QQQ | SQQQ | -0.80 |
S&P500と負の相関が強いのは、VIX先物をベンチマークとしたUVXYやVXXです。
ボラリティリティが小さい相場では使われにくいですが、価格変動が激しい相場において、暴落リスクを軽減するため、あえて反対の動きとなる資産をポートフォリオに入れて、資産減少を防ぐためのものです。
逆相関が強いほど効果が高く、満期のある先物ほど利用されやすい傾向にあります。
個人投資家でこの手の商品を使う人は少ないと思いますが、一応知っておいて損はないはず。
S&P500と相関がないETF
次はS&P500と相関がないETFを見ていきましょう。
Name | Ticker | 相関係数 |
United States Natural Gas | UNG | 0.12 |
iShares Gold Trust | IAU | 0.13 |
iShares 20+ Year Treasury Bond ETF | TLT | -0.28 |
iShares 7-10 Year Treasury Bond ETF | UNG | -0.36 |
VanEck Gold Miners ETF | GDX | 0.38 |
iShares Silver Trust | SLV | 0.39 |
取引量の多いETFの中で最も相関係数が低いのは、天然ガスやゴールド、長期国債です。
中でも取引量が多いゴールド(GDX)やシルバー(SLX)は、コロナショックでは大きく資産を下げるものの、コロナ前の価格水準まで戻る速さはS&P500よりも短い時間でした。
出典:Google Finance分散された強いポートフォリオを構築するのであれば、長期的に右肩上がりで、コア資産と連動しない銘柄をいくつか持っておくことは有用です。
Bitcoinとの相関関係
Bitcoinは、TLT(米国債20年超ETF)やGSG(コモディティ指数)と同様にS&P500との相関が弱い資産の1つです。
以下は90日平均の標準偏差を表した相関係数。
出典:CoinDesk2021年6月頃から相関係数が0から0.3付近まで上昇していますが、0.3レベルでは「弱い正の相関がある」としか言えません。
ただし、他の資産違ってボラティリティ(価格の値動き)が比ではないため、動向には注意が必要です。
出典:CoinDesk最近では米国株の重要イベントにも反応して価格が下落するなど、将来的に相関関係が強まる可能性も否定はできません。