2021年の米国株式を振り返ると、S&P500の年初来リターンは+27.7%(2012年12月23日時点)と大きく成長し、今年も史上最高値を何度も更新し続けました。
まずは、つみたてNISAでS&P500に連動する投資信託やVOOなどの米国ETFを1年間持つ続けた皆様、おめでとうございます。
今年も昨年同様に大きく資産を増やすことが出来たはずです。

私は今年の米国株式市場を振り返るのに大事な点が3つあると思います。
その点を整理しながら、皆様と一緒に共有できればと思います。
1. コロナ感染者数
まず1つ目は新型コロナウイルスおよび変異株が株式市場に与える影響についてです。

今年はファイザー、モデルナなどのワクチン開発が成功したことにより、感染拡大を大きく封じ込めることができました。
中でも米国では世界的にワクチン接種が早く進められたことにより、他の国に比べてロックダウンや飲食店の営業停止などは抑えられたように思えます。
ですが、今年7月以降デルタ株が世界を流行し始めると、感染者数と死者数ともに増加し、最近ではオミクロン株によって感染はさらに拡大傾向になりつつあります。

2021年12月時点でのワクチンの2回目接種率は、日本が78.2%なのに対して、米国は61.7%しかいません。

屋内でのマスク義務の撤廃など、感染拡大を犠牲に経済を成長させた結果として人の命に関わる危険を増やすことになりました。
今後どのレベルまでコロナ感染拡大を許容していくのかが、経済を成長させる上でも重要になると思います。
またロックダウンや外出規制などが起きれば、株式市場の成長も期待できません。
今後は経口薬ワクチンやブースターショットがコロナ感染拡大よりも迅速に進めることができれば、集団免疫を獲得することができるかもしれません。
しかし、ファイザーの幹部によれば、コロナウイルスは2024年まで流行すると予測されています。
2022年も今年と同様に感染拡大のレベルをどこまで抑えらるかを注視しつつ、株式市場に挑んでいく必要があります。
2. イールドカーブ
2つ目はイールドカーブの状況です。
イールドカーブとは、債券の利回りと償還期間を結んた線(カーブ)のことです。
通常時は短期国債より長期国債の利回りが高くなっているので、イールドカーブは左から右肩上がりになるのが一般的です。
しかし、景気後退が迫ってくると短期国債利回りが長期国債を上回ることでイールドカーブは右肩下がりにカーブを描きます。
この状態を逆イールドと言い、景気後退(株価暴落)が始まるサインとなります。
コロナショック(2020年3月)が起きる前にも、逆イールドは発生しています。
参照:FRED上記は米国の10年国債利回りから2年債利回りを引いた値です。
0を下回ると先ほど説明した「逆イールドが発生した」ことを意味します。
ちょうど、コロナショックが起きる半年前となる2019年8月末に逆イールドが起きてるのがわかります。
そして今年は2021年は3月をピークにして、米国長期国債が短期国債の利回りに近づき始めています。
逆イールドが発生するまでだいぶ距離があるものの、何かの原因でフラット化(逆イールドへ向かう状態)が進んでいくと、株式市場の成長は見込めなくなってしまいます。
2020年はこのイールドカーブにも注意しつつ、資産配分を管理していく必要があります。
キッカケはFRBのテーパリングや利上げに関する発表になる可能性が高いので、FOMCのスケジュールは押さえておきましょう。
【2022 FOMC Meeting】
- 1月25日 - 26日
- 3月15日 - 16日
- 5月3日 - 4日
- 6月14日 - 15日
- 7月26日 - 27日
- 9月20日 - 21日
- 11月1日 - 2日
- 12月13日 - 14日
株式100%の方は現金比率を調整することで暴落に備えたり、債券やディフェンシブ銘柄で調整する人はイールドカーブがフラットになるほど株式の比率を減らすなどの工夫が必要になるはずです。
3. 高いインフレ率
最後の3つ目は長期化しそうな高いインフレ率です。
最近では原油や天然ガスなどのエネルギー価格だけが高騰しているわけでじゃなく、木材や肉、コーヒーなどあらゆるものの価格が高騰しています。
商品やサービスの価格が高騰しすぎると、商品は売れなくなり、景気は低迷します。
参照:FRED過去の高インフレ時期を見ると、金とドルの交換を停止したニクソンショックやイラク戦争が起きた1970年と1980年代です。
長い時で2年から5年程度も高いインフレ時期が継続し、株価にも大きく影響を与えます。
楽観視できる点といえば、インフレ率以外の経済指標では良い成績を残している点もあります。
米国の年間GDP成長率は4.9%(2021年9月)、直近のPMIは製造業が57.8(2021年12月)、非製造業が69.1(2021年11月)と好調です。
失業率も1年間で6.7%から4.2%まで改善し、労働賃金もコロナ直後と比べると高い水準となっています。

来年の投資戦略
ここまでご説明した3つのリスクを抱えている米国市場ですが、きっと2022年も右肩上がりで上がっていくんだろうと思ったりしています。
実際、S&P500のEPSも右肩上がりですしね。

私の考え方としては、株価は業績に連動すると思っています。
良い業績を出し続ける企業の株価は上がります。
だから、2022年以降に株価大暴落が起きても、株を持ち続けます。
過去の株価暴落期間を振り返れば、平均11.3ヶ月です。
ダウが直近の高値から20.3%下落したことで弱気相場入りしました。
— バフェット太郎 (@buffett_taro) March 12, 2020
ちなみに、過去40年を振り返ると「世界の株価」は8回弱気相場入りし、期間は最短2カ月、最長30カ月、平均11.3カ月で、下落率は最小20%、最大60%、平均31.8%でした。
先行きが心配な人はこの辺の数字を参考にすると良いと思います pic.twitter.com/uhr0ahxguN
たった1年(されど1年)を耐え切れば、その後は急上昇相場(ボーナスステージ)が待っているはずです。
だから、投資戦略としては自分が信じた銘柄の決算を見つつ、常にホールドし、ホールドするです。
単純で地味な戦略ですが、きっとこれが私の最適解だと思います。