つみたてNISA銘柄とウェルスナビの運用結果を比較

長谷川博己さんが出演するテレビCMでもお馴染みのウェルスナビ



2016年から正式にサービスがリリースされており、その歴史はつみたてNISAよりも長く、顧客からの預かり資産総額は7,000億円を突破するほど人気の投資商品となっています。

しかし、当ブログでもお伝えしている通り、ウェルスナビを筆頭としたロボアドバイザーおよびファンドラップという投資商品は手数料が1%程度と割高に設定されており、手数料が安い投資信託と比べると運用コストが長期で嵩んでしまい、パフォーマンスの足を引っ張ってしまいます。


つみたてNISA人気銘柄の信託報酬一覧
銘柄名 信託報酬
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)0.0968%
ひふみプラス1.078%
楽天全米株式インデックスファンド0.162%
SBI・V・S&P5000.0938%
ニッセイ外国株式インデックスファンド0.1023%
eMAXIS Slim 全世界株式(オルカン)0.1144%
楽天全世界株式インデックスファンド 0.212%
eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)0.154%

ウェルスナビの運用コスト比べると、つみたてNISA銘柄の信託報酬は10分1以下の商品もあります。

実際につみたてNISAの人気上位銘柄と2018年10月から2022年6月までのパフォーマンスを比較してみると、以下のように実績の乖離が見られます。

つみたてNISAとウェルスナビを比較


この期間において、最も運用効率が良かったのはeMAXIS Slin米国株式(S&P500)です。次いでeMAXIS Slin全世界株式(オールカントリー)、その次にウェルスナビ(リスク許容度5)の順となりました。

ウェルスナビにはリスク許容度の設定があり、激しい値動きを許容できる投資家はリスク許容度が5に近い商品を選択でき、激しい値動きが受け入れられない投資家にはリスク許容度1に近い商品を選択できるようになっています。

実際にパフォーマンスの推移を見ると、2020年3月に起きたコロナショックではリスク許容度の高い濃いグレーと黒の騰落率が大きくなっており、白に近い色の線となるリスク許容度の低い投資商品ほど下落率は小さく抑えられていることがわかります。

しかし、2018年10月から2022年6月までの約4年弱の期間において、eMAXIS Slin米国株式(S&P500)と比較した場合に+30%〜+42%程度もパフォーマンスが乖離してしまうのは勿体無い話です。


例えば100万円を運用するなら4年間で30万円から42万円も運用益が異なりますし、1,000万円であれば10倍となる300万円から420万円もの運用益が手に入れられたと考えられます。

あくまでも過去の相場での話ですが、今後同じように乖離していかない可能性もありません。

運用手数料だけでなく、資産分散比率を最適化する意味でも、ウェルスナビから人気の投資信託に乗り換える際には早急な判断が必要だと私は思っています。


パフォーマンスが悪くなる理由

ウェルスナビのパフォーマンスが悪くなる理由は信託報酬(運用コスト)の差だけではありません。

組み入れられている資産の比率も関係しています。

リスク許容度別のポートフォリオ
出典:ウェルスナビ

ウェルスナビは株式、債券、金や不動産で投資先が構成されています。株式比率はリスク許容度1で21.4%、リスク許容度5だと85%となっています。中でも最近成長著しい米国株の組み入れ比率は更に小くなります。

対して、eMAXIS Slin米国株式(S&P500)は米国株100%で組み入れられているため、2018年10月から2022年6月までのパフォーマンスに大きく軍配があがりました。

仮にこの期間において米国株が暴落するようなことがあれば、運用パフォーマスは逆転していたはずです。


ウェルスナビから乗り換えるデメリット

長期の資産運用を考えた際はウェルスナビよりもつみたてNISA銘柄の方が運用効率が良いと思うはずですし、現時点でウェルスナビを運用されている投資家はつみたてNISA銘柄への乗り換えを検討するのも無理はありません。

ですが、一点注意してほしい点は税金によって一時的に複利効果が減少することです。


仮にウェルスナビで運用益で100万円儲かった場合、ウェルスナビの資産を全て解約すると、利益から20%は税金で引き抜かれてしまうため、手元の利益は80万円に減ってしまいます。

本来資産を売却しなければ20万円は資産として運用され、翌年+10%の運用益があれば、20万円の10%となる2万円の利益が獲得できていたことになります。それが資産売却&課税によって直近の複利効果が薄れてしまうことは注意しておきましょう。

その複利効果を差し置いても長期で見ればウェルスナビよりつみたてNISAの資産推移の方が大きくアウトパフォームすると考えるのであれば、早急にウェルスナビからネット証券のつみたてNISA銘柄に乗り換えるべきです。