コーエーテクモ襟川恵子会長
敏腕経営者かつ投資家として知られるコーエーテクモホールディングス(3635)の会長、襟川恵子氏。
「投資をする基準は『自分が入社したい、経営してみたい会社か』。特に創業者が率いる会社を好みます」。機関投資家としての顔もあるコーエーテクモの襟川恵子会長に聞きました。https://t.co/bqXUHUUEzP
— 日本経済新聞 電子版(日経電子版) (@nikkei) March 7, 2021
コーエーテクモは「信長の野望」「真・三國無双」などの人気ゲーム制作をするエンタテイメント事業、パチンコやスロット機の液晶ソフト開発を手がけるアミューズメント事業、その他不動産やVC事業で成り立つ会社です。
出典:コーエーテクモ2022年3月期の決算説明資料セグメント別での売上高および営業利益を見ると、ゲーム関連を扱うエンターテイメント事業の収益が最も大きいことがわかります。
事業 | 売上高 | 営業利益 |
エンタテインメント | 68,801 | 33,827 |
アミューズメント | 2,800 | 281 |
不動産 | 1,061 | 224 |
その他 | 477 | 193 |
消去・全社 | -382 | - |
連結 | 72,759 | 34,527 |
上記の通り、コーエーテクモは2021年4月から2022年3月までに345億円の利益を稼いでいる企業です。
しかしながら、コーエーテクモは本業の収益と同じぐらい利益を出す事業があります。
それが営業外収益として報告される「投資事業」です。
営業外収益の推移
2010年度から2022年度までの有価証券報告書より、営業利益と営業外収益の推移をグラフにまとめてみました(左端にある数字の単位は百万円です)。

株や債券などの売買で稼ぎ出される営業外収益は、本業の営業利益とともに右肩上がりで成長しています。
驚くべきは、その規模です。
2010年度時点では、本業の収益である営業利益が6億4,100万円に対して、営業外収益は35億円となり、本業よりも利益を上げています。
本業の利益と同じ規模で利益を持ってこれるのであれば、万が一事業が傾いたとしても安心です。
また2022年4月には社員の平均基本給を23%もUPさせ、新卒給料は29万円へ引き上げる決定を発表。
出典:コーエーテクモ2022年3月期の決算説明資料さらには配当も増配しており、本業+凄まじい営業外収益を出せる襟川会長の手腕様様と言えるはずです。
有価証券の保有額
もう1つ襟川会長のすごい点は、営業外収益の稼ぎ方です。

上記は期末の有価証券の保有額です。
見て分かる通り、どの年も保有額がバラバラ。
同じ投資先から配当を受けるなどの稼ぎ方ではなく、色んな銘柄を売買しながら、その時流にあった投資先で利益を出していると推測されます。
その片鱗もよく見受けられます。
コーエーテクモの襟川恵子会長、市場環境が良くなかったにも関わらず1-3月期も運用益を出しました。決算で問われると、「1月のとある日、1日で3%残して全部売った。直感で落ちると思った。おかげで暴落を避けられた。米国株が安定するのは秋以降。今は0クーポン債を買い込んでいる」と発言しました。
— Takashi Mochizuki (@6d6f636869) April 25, 2022
普通の投資家が直感を信じて売買をしても利益を上げれることはほぼありません。
そんな安定した投資方法ではないにも関わらず、営業外収益は右肩上がりになっている点が襟川会長を”天才投資家”と言わざる得ない所以だと思います。
普通の人が真似をしたら一瞬で資産が溶けてゼロになりそうです。