「日本人の平均年収は世界と比べて低い」

「日本はデフレで物価も給料も上がりにくい」

ということが経済界ではよく言われていますが、なぜそうなるのか。

簡単に言いますと、それは日本の労働生産性が低いからです。

今回は日本がなぜ労働生産性が低いのかを解説していきます。


日本の労働生産性が低い理由

日本の労働生産性が低い理由の1つは、企業利益を優先させるために人件費削減に注力したからです。

給料UPを渋る会社、正社員よりも非正規雇用を採用する組織が増えたからだと言われています。

OECDの調査によれば、パートタイム雇用(週30時間未満の雇用者)の割合は2020年時点で25.8%で37カ国中3位となります。

パートタイム雇用2020年
参照元:OECD

しかもその割合は年々上昇傾向で進んできた経緯があり、今後も正社員雇用よりも非正規雇用を選択する(もしくは選択せざる得ない)日本人が増えていく可能性は高くなっています。

パートタイム雇用
参照元:OECD

非正規雇用が増えれば、日本人の平均賃金も上がりません。

以下のグラフを見れば、OECDの平均値が年々上昇しているのに対して、日本の平均賃金はヨコヨコで推移しており、変化が見られません。

平均賃金
参照元:OECD

ちなみに、日本の労働時間は平均よりも早く減っていっています。

労働時間
参照元:OECD

労働時間が減っても十分に稼げている人が多いのであれば、労働生産性が上がっていることになり好循環が生まれるのですが、日本はどちらかというと働きたくても働けない人が増えることによって労働時間が減らされているというのが現状だと思います。

企業が給料の高い人材を採用しない、非正規雇用などコスパ重視で人件費を削減してきたことにより低賃金化が進んでいるため、日本人の給料が上がりづらい状況が続いています。


未来に投資しない日本人

日本の労働生産性が低い理由の2つ目は、投資に積極的ではない日本人の考え方にあると言われています。

経産省の資料によれば、企業の従業員給与や設備投資の伸びよりも現預金の伸びの方が高いことがわかっています。

大企業の諸数値の推移
参照元:経産省

さらに日本と米国、欧州でROEを比較しても日本は低い位置にあります。

米国と欧州、日本のROE・ROA比較
参照元:経産省

【ROEの解説】
    ROE(自己資本利益率)とは、「投資した資本に対してどれだけ利益を上げられているか」という財務指標となります。
    計算式を見るとわかるように、ROEは会社の資産規模に対して利益が小さいと低い数値がでますし、純資産(自己資本)が少なくても純利益が大きい企業ほど数値が高くなります。
    ROE(%) = 当期純利益 ÷ 自己資本

日本企業が海外の企業に比べて投資に対して下手くそというのは、個人も同じです。


詳しは上記の記事にも記載しておりますが、日本人は海外に比べると貯金比率が高すぎます。

貯金や生命保険ばかりで株式や債券などの資産を保有する傾向にありません。

その結果として、日本人はどんどん貧乏になっています。

企業は給料を渋るし、個人は資産運用を渋るので日本人は貧乏国まっしぐらという状況です。


今後の対策を解説

こんな状況の中、自分の資産を増やしていくためには以下の行動が必要だと思います。

  • 給料が上がる会社で働く
  • 資産運用を始める

今までの状況を踏まえると、日本企業の多くは正社員採用や給料UPに積極的ではないという前提があります。

そんな中で、正社員かつ給料UPが見込める企業に就職するというハードルは決して低くありません。

総務省が発表する「産業別常用労働者賃金指数」を見ると、近年では鉱業、建設業、小売業の給料が上がりやすくなっています。

産業別常用労働者賃金指数


自分の能力や適性などを加味した上で給料UPしやすい組織を見つけることが1つの解決策になります。


資産運用を始める

もうひとつ、労働生産性を上げる方法は労働だけに頼らずにお金に働いてもらうというスキルを身につけることだと思います。

先ほど説明したように日本人は貯金比率が高く、投資を積極的に行わないため米国や欧州に比べると老後資金や将来の資産を増やしずらい状況にあります。

最近では「つみたてNISA」や「iDeCo」などの優遇税制が整備されていますので、そういう制度を利用してできるだけ税金や無駄な支出を避けながら資産運用していけば、やがては使えるお金は増えますし、誰かの支出は誰かの所得になるように日本経済が上向きになる要因にもなるはずです。