皆さん、こんにちは。Gazです。

今回は絶対に買ってはいけない投資先の1つであるロボアドバイザーについて話をしてみようと思います。絶対に買ってはいけないとはいえ、日本のロボアドバイザーを代表するウェルスナビは2021年4月時点で預かり資産が4,000億円を超えており、たいへん人気の商品となっております。なぜ人気なのか、ロボアドバイザーとはどんな投資商品なのかを十分に理解していただきたいので、これから詳しく説明をしていきます。

ロボアドバイザーの特徴1:複数のETFを組み合わせた投資商品

ロボアドバイザーとは、世界中にあるいくつかのETF(上場投資信託)もしくは投資信託を組み合わせた投資商品となります。

ロボアドバイザー

上記の画像を見て頂くとロボアドバイザーがいくつかのETFや投資信託を囲んでいるように複数のETFを組み合わせた投資商品がロボアドバイザーという投資商品です。ETFも複数の株式や債券を組み合わせた投資商品となるためロボアドバイザー株式を詰め合わせたETFをさらに組み合わせた投資商品ということです。

例えば、米国の大手企業株だけを集めたVOOというETFにはMicrosoftやApple、Amazonなどを筆頭に500社の株式が含まれています。上図では株式1、株式2、株式3と記載されていますが、一般的にETFに組み入れられる銘柄は多いものだと数百から数千銘柄組み入れられているものも珍しくありません。

多くの株式や債券、不動産などの資産を組み合わせたETFを数銘柄組み合わせて投資商品として販売しているのがロボアドバイザーということになります。


ロボアドバイザーの特徴2:リスク許容度に応じて組み合わせ比率を変える

先ほど申し上げた通りロボアドバイザーは複数のETFを組み合わせて形成される投資商品ですが、その組み合わせパターンや比率は投資家ごとの「リスク許容度」に応じて変更される仕組みとなっています。

リスク許容度とは将来資産がどのぐらいまで減少することに耐えられるかという度合いを意味します。投資とはハイリスクであればハイリターンも狙えますが、リスクを許容できない場合は大きなリターンは見込みづらい仕組みです。つまり、ロボアドバイザーに預けた資産を極力減らさずに少しずつで良いから確実に増やしていきたいという方はリスク許容度を低くしてロボアドバイザーに挑戦する必要がありますが、資産が半分以下になっても良いから大きなリターンが欲しいという方はリスク許容度を高く設定することによって、その方針にみあったETFの組み合わせがなされます。

リスク許容度別の組入比率

上記のグラフはリスク許容度毎にETFの分散比率を私がイメージしたものになります。リスク1~5までのグラフにある1番下の青い米国株の割合はリスク1で12%、リスク2で15%、リスク3になると25%とリスク許容度の数字が1から2,3,4,5と上がるにつれて米国株の組み入れ比率が上がっていきます。大してリスクの低い米国債の組み入れ比率はリスク許容度が上がるにつれて組み入れ比率が下がっているのが確認できるはずです。上記のグラフのようにリスク許容度に応じて、資産の組み入れ比率をリスク許容度に応じて変更したり、そもそも組み入れる銘柄を変更したりしているのがロボアドバイザーの仕組みとなります。


ロボアドバイザーが人気になる理由1:投資初心者に優しい設計

日本ではウェルスナビやTHEOが提供するロボアドバイザーが人気ですが、海外でもロボアドバイザー市場は拡大傾向にあります。私がロボアドバイザーを買ってはいけないと主張したとしても現実はロボアドバイザーを選ぶ人が多いんです。その理由は投資初心者の問題の多くを解決してくれるからです。

  • 証券口座を開設するのが面倒
  • どの銘柄を選べば良いかわからない
  • 投資の勉強をする時間がない
  • 投資予算が小さく資産を分散できない
  • 投資開始次期がわからない

ロボアドバイザーは上記にある悩みをすべて解決してくれます。証券口座を持っていなくてもサイトからマイナンバーカードで身分証明を完了させ、クレジットカードを登録すれば簡単に投資を開始することができます。5段階のリスク許容度を選択するだけで難しい銘柄選びを実行することもありません。投資初心者に優しい設計になっており、勉強せずにほったらかしで運用しているだけで問題なく運用ができてしまうので人気が出るんです。


ロボアドバイザーが人気になる理由2:実績が良いように見える

まずはウェルスナビとTHEOの実績がどの程度あるのか、その目で確かめてみてください。

THEO運用実績
参照元:お金のデザイン

上記はのTHEOの年間リターン(2016年3月から2021年3月まで)を表したグラフになります。グラフを見るおとTHEOの年間リターンは1.97%から8.30%を推移しています。投資経験の少ない方から見れば実績がマイナスになっていなければ御の字と思われるかもしれませんが、2016年から2021年までの株式相場を詳しく知っている投資家からすればTHEOのパフォーマンスは決して高くはありません。ましてや年間の平均リターンがマイナスであれば問題外です。

ちなみに私が大好きなアメリカの株式市場を代表する指標の1つS&P500の年間リターン(ドル建て)は2016年が9.54%、2017年は19.42%、2018年;-6.24%、2019年:28.88%、2020年:16.26%となっていました。これらの数字と比較するとTHEOのパフォーマンスは平均値よりも大きく下振れしていることがわかるはずです。

ウェルスナビ運用実績
参照元:WealthNavi

次はウェルスナビの実績を見ていきましょう。2016年1月から2021年3月までのトータルリターンは+23.7%〜+49.1%となっています。年間リターンに直すとおおよそ4.51%〜9.35%となります。資産がマイナスになっていないのは素晴らしいと思いますし、年間リターンがほったらかしで9%を超えるのはかなり良いパフォーマンスと言えるでしょう。しかしながら、先ほどS&P500のリターンを紹介したように市場平均値と比べてみるとパフォーマンスは見劣りしてしまうのも事実です。

ウェルスナビに組み入れられているETFの銘柄はVTIやVEAなど全7種類になるそうです。そこで同期間でのETFのパフォーマンスとリスク許容度別のウェルスナビのパフォーマンス(および手数料)を以下の表で比較してみました。

手数料とパフォーマンス比較

上の表にある一番右側の数字が2016年1月から2021年3月までの基準価格成長率となります。ウェルスナビの平均リターンは138%となりますが、それ以上のリターンを出しているのはリターンが高い順にVTI(米国株)、VWO(新興国株)、GLD(金)となっています。それぞれ組み入れ比率によってパフォーマンスが変わってきますが、VTI一択で投資をした方が過去のパフォーマンスは格段に良かったことがこの表から簡単に読み取ることができます。

これは結果論と思われるかもしれませんが、ウェルスナビのETF組み入れ比率を見て私が思うことはVTI以外の投資はするべきではないと思っています。それはウェルスナビに投資をすることで分散比率を高めるよりもVTIだけに投資をしてた方がリスクが低いと考えているからです。TwitterやYouTubeでも私はS&P500に連動する投資信託やVOOだけでも十分分散性が高い投資ができていることを主張します。分散比率を高めたいのであればVTなどの全世界株式を購入するべきですし、分散しすぎは機会損失を産んでしまうということもグラフからは読み取れるはずです。


ロボアドバイザーは「手数料の高さ」に気づきにくい

ロボアドバイザーは購入時や解約時に手数料を顧客から徴収しません。その代わりに預かり資産に対して年間1%の手数料を日割り計算で毎月顧客資産から自動で天引きされる仕組みです。仮に仮に100万円を1年間預けると毎月833円ずつ引かれ1年後の資産残高は100万円 → 99万円に下がります。(計算しやすいよう投資から得られるリターンは計算に入れていません。)実際に手数料を支払うわけでなくパフォーマンスとして年間-1%で計算されてしまうため、ロボアドバイザーを使う顧客は手数料の高さに気づきにくい設計になっています。

さらに年間1%の手数料というのは金融商品の手数料相場としては割高傾向にあります。先ほどウェルスナビのパフォーマンスと手数料を記載した表を見ていただきたいのですが、VTIの信託報酬(手数料)は0.03%となり、ウェルスナビの1%の手数料と比べると、33倍以上に設定されています。その他、VEAは0.05%、金が0.42%となっており、ウェルスナビの手数料はダントツで高いことがすぐにわかるはずです。

ロボアドバイザーを運営する企業の利益を考えればETFの手数料よりも高くなるのは当然です。そうでなければ、タダ働きでサービスを提供しなくてはいけないからです。ただし、顧客側から見れば、ロボアドバイザーで投資をするのも、ETFで投資をするのも手間は対して変わりません。にもかかわらずロボアドバイザーで大きな手数料を支払ってしまうのは。私はもったいないと思います。


ロボアドバイザーよりも優良な商品

私がロボアドバイザーの手数料が高いと思う理由はもう1つあります。それはロボアドバイザーよりも手数料が安く節税にもなる投資商品が他にあるからです。つみたてNISAやiDeCoという非課税制度を使って以下のような投資商品に投資をする方が手数料を抑えた分、パフォーマンスにダイレクトに影響します。

  • eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)→ 信託報酬:0.1144%
  • eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)→ 信託報酬:0.0968%

上記の商品はロボアドバイザーの手数料と比較すると10分1程度となり、つみたてNISAという非課税制度を使えば年間40万円の投資を20年間継続できるので合計800万円の投資に対して約20%の税金が免除されます。例えば、投資した800万円から1,000万円の利益が得られた場合は約200万円の課税義務が生じますが、つみたてNISAで投資をすれば200万円の税金を支払うことはありません。それも全て自分の利益となるのです。先ほど紹介した商品はパフォーマンスが良いだけでなく、その後の税金でも優遇される商品となるためロボアドバイザーよりも割安でお勧めです。


まとめ

以上私がロボアドバイザーを勧めない理由をお話ししてきましたが、内容をまとめると以下の通りとなります。

ロボアドバイザーとは
  • 複数のETFを組み合わせた投資商品
  • リスク許容度に応じて組入比率を変更可能
  • 投資初心者に優しい設計になっている
  • 実績が良いように見える
  • 「手数料の高さ」に気づきにくい
  • ロボアドバイザーより優良な商品がある

良い点、悪い点どちらもありますが、私から見ればデメリットの方が大きいと思います。投資先の選定は是非慎重にお願いいたします。


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