企業勤めの方は年末調整の時期になると生命保険などの資料を掘り起こして、所定の書類に記入しなければいけません。

この年末調整は本当に面倒ですし、極力避けたいものです。


少額投資非課税制度と名のつくNISAでは、この手の作業が発生するのか。

発生するとすればどんな準備が必要なのかを事前に知っておきたいと考える方も少なくありません。


この記事では年末調整を中心にNISAの税金対策について解説していきます。

これからNISAを始める方や現在始めている方にとっても有益な情報となるはずです。ぜひご一読下さい。




NISAで年末調整は必要?

まず、年末調整でNISAの内容を申告する必要があるかという点についてですが、

結論から言って、NISAは年末調整で手続きすることはありません。


え?必要ないの?なんで??

と思っている方向けに、その理由を詳しく説明していきます。


年末調整とは

年末調整

NISAがなぜ年末調整で手続きする必要がないかは、年末調整の仕組みを知ると理解できます。


年末調整とは、正しい所得税(労働収入に課される税金)を収めるための手続きです。日本では、以下のような条件に該当する人は年末調整を行うことによって本来支払うべき税金が免除される税制控除という制度があります。

  • 年収38万円以下の配偶者 or 扶養者がいる人
  • 生命保険に加入している人
  • 高額医療を受けた人 など。

これらの条件に該当する人はその内容を年末調整で申告することによって、払いすぎた税金が還付される仕組みです。

NISAの話に戻りますがNISAは少額投資非課税制度とは言われるものの、税制控除を受けることができる制度ではありません。NISAを始めたからといって会社から支払われる給料(労働収入)から計算される所得税が減ったり、免税されるということはありえないのです。

主婦や学生も年末調整は不要

NISAで年末調整が不要という結論は、会社員に限ったことではありません。

普段から年末調整をしていない主婦や学生においても当然、NISAを始めたからと言って年末調整をする必要などありません。

また、会社に勤めていないフリーランスや個人事業主(自営業)の方もNISAで年末調整をすることなどありません。


なぜNISAで年末調整が必要と考えるか

年末調整と確定申告の勘違い

NISAで年末調整が必要だ思い込んでしまうのは、「確定申告」と混同しているケースが多いようです。

確定申告とは副業している方や個人事業主(フリーランス)が年間収支を申告するものであり、その申告額に応じて税金を収める仕組みとなっています。個人事業主の場合は税制控除も受けられたりするので、その辺の仕組みがあることから年末調整と確定申告を混同(勘違い?) してしまうことがあります。

NISAで確定申告は必要?

NISAで確定申告が必要かということですが、これも年末調整と一緒で必要ありません。

NISAは非課税制度といって、いくら売却益が高くなろうとも課税されることはありません。

つまり、課税対象ではないことからNISAで確定申告をする必要はないということになります。


NISAで確定申告が必要になるパターン

限度額を超えた投資

NISAで確定申告をする必要はないと先ほど説明しましたが、NISAの扱い方を間違えれば実は確定申告が必要な事態となってしまうんです。

どんな場合に確定申告が必要になるかというと、それはNISAの限度額を超えて投資をした場合です。

NISAには年間で使える限度額が設定されています。

NISA限度額一覧
項目 一般NISA 積立NISA ジュニアNISA
非課税期間5年間20年間5年間
年間非課税投資枠120万円40万円80万円
累積非課税投資額600万円800万円400万円

一般NISAであれば120万円、積立NISAであれば40万円以上の投資金額を運用した場合、NISAの適応から外れてしまいます。NISA適応外となった投資金額から発生する利益には課税されるので、確定申告が必要となります。

言い換えれば、NISAの上限枠をしっかり守った上で運用する分には確定申告をする必要はないが、上限を超えて投資金額を積み増した際には確定申告が必要になるということです。投資金額は投資家によって簡単に調整できるので、よっぽどのことがない限り基本的には確定申告は発生しません。

NISAで確定申告を避ける対策

NISA以外で投資をしない

株式投資で利益を得た場合は譲渡所得や配当所得という「所得」が発生します。その所得に関して所得税が発生するのが日本の税制です。

しかし、NISAで投資をする分には税金が免除されるため、投資はNISAだけという人は確定申告と無縁になれるということです。

とにかく、面倒な手続きをしたくないという方はNISAの上限金額を超えないこと、NISA以外の証券口座を作らないことに注力しておくと楽に立ち回ることができます。


特別口座(源泉徴収あり)を利用する

確定申告を避けるにはもう一つ方法があります。

その方法はNISA口座を作る際は「特別口座(源泉徴収あり)」を選択するだけです。


特別口座(源泉徴収あり)とは、万が一確定申告が必要な場合に陥った際は証券会社が勝手に確定申告を代行してくれるサービスです。NISAの枠を超えて投資をした場合やNISA以外で資産を運用した場合の確定申告をあなたに変わって証券会社が代行してくれる便利なサービスです。

口座の種類
項目 一般口座 特別口座
(源泉あり)
特別口座
(源泉なし)
特徴税金計算も確定申告も自分で行う証券会社が納税を代行確定申告だけは自分で行う
メリット豊富な商品を取引可能確定申告不要、全てお任せ20万円以下なら税金ゼロ
デメリット手間が多く、面倒税金を多く払うこともある20万円以上の儲けは要申告

特別口座(源泉徴収あり)は便利なサービスですが、会社員の方にはデメリットがあります。

それは年間収益が1円でも発生した場合には必ず確定申告をしてしまうことです。会社員の場合、資産運用による年間収益が20万円以下の場合、確定申告をしなくてもいい(免除される)のが一般的です。確定申告をしなければ、細かい税金を払わなくて済むからです。


特別口座(源泉徴収あり)は年間収益が20万円以下でも確定申告をしてしまうので、NISA口座とは別に特別口座単体の年間収益が1円から20万円以内の場合はちょっとだけ損をするということになります。

多少損をしても面倒な確定申告をしたくないという方は特別口座(源泉徴収あり)を選択することをおすすめします。


株式数比例配分方式を利用する

かなり稀なケースですが、NISA口座で配当金を受け取る場合は「株式数比例配分方式」を選択しましょう。

「株式数比例配分方式」というのは、口座開設した証券企業を通して配当金を受け取る方法です。証券会社を通さずに配当金を受け取ってしまう場合、NISA口座の対象から外れるため課税対象となるというのがルールです。

配当金の受け取り方法については、迷わず「株式数比例配分方式」を選択するのが無難です。


株式数比例配分方式以外の配当金の受け取り方法は以下の3つです。

配当金の受け取り方法
受け取り方式 詳細
株式数比例配分方式証券口座で配当金を受け取る方法
配当金領収証方式郵便局またはゆうちょ銀行に「配当金領収証」を持参し、配当金を受け取る方法
登録配当金受領口座方式指定した銀行口座で配当金を受け取る方法