マルチ商法の現状

マルチ商法とは

新規加入者を誘引することによってピラミッド型の階層組織を形成し、上位階層が高額の不労所得的な報酬を得る連鎖販売取引がマルチ商法です。

マルチ商法は組織加入者数を増やす毎に支払われる報酬を餌にして新規勧誘を促しますが、実際に儲けることができるのは数%程度の上位階層のみ組織加入者のほとんどが養分となることが問題です。また近しい人間関係を利用して強引に勧誘する方法が相次いでおり、断りきれずに加入してしまう人も多いため問題視されています。


国民生活センターが発表

2019年7月25日、独立行政法人国民生活センターは物品の譲受を伴わない役務型のマルチ商法の相談件数が増えていることを発表しました。

マルチ商法相談件数

発表内容によればマルチ商法(役務型)の相談件数(29歳以下)が2014年は859件だったのに対して2018年には2,481件と約3倍にまで膨れ上がっている現状が伺えます。相談事例を確認すると、契約のきっかけは友人や知人からの誘いで実態がよくわからない契約を迫られるとのこと。詳しくはこちらのページで確認ください。


マルチ商法に勧誘されやすい人

知識のない学生や社会人

マルチ商法は自分が営業していない場合でも自分の下に位置する組織や人の利益の一部を受け取ります。代理店販売やアフィリエイトの仕組みを知らない学生や知識のない社会人にとって、マルチ商法が間違っている、もしくは正しい紹介インセンティブの仕組みを判断することは難しいはずです。「自分が紹介した人と紹介した人の売り上げの一部が報酬として貰える」と聞けば、違和感なく信用してしまうこともあります。よく考えればおかしな仕組みであることに気づきますが、純粋な人ほど魅力的な商売方法だと勘違いしてしまいます。


商品そのものに魅力を感じてしまう人

マルチ商法は主に以下のようなジャンルの商品が利用されます。

  • サプリ
  • 化粧品
  • 健康食品
  • 健康器具
  • 布団
  • 浄水器
  • 空気清浄機
  • 情報商材
  • セミナー

サプリや化粧品などは高価に個人差があるため、誇大広告を打ちやすい特徴があります。「飲むだけで痩せる水」「視力が回復するサプリ」「骨盤矯正器具」などちょっとありえないようなキャッチを使った営業で注目を引いて販売数を伸ばしやすい商品が選択されます。最近では仮想通貨などの情報商材を巧みに利用して詐欺を働くケースも多くあります。

ほんとんどが根拠のない商品ばかりですが、中にはその商品に魅力を感じてしまう人もいます。飲むだけで健康になったなどと信じている人は自分の成功体験を利用してマルチ商法に加担してしまうケースもあります。


マルチ商法にはまりやすい人

派遣社員やアルバイト

正確には派遣やアルバイトがマルチ商法にはまりやすいのではなく、マルチ商法をやっている人が派遣やあるバイドなどの短期雇用契約を結んでいるケースが多いということです。その理由は短期間で多くの会社員に接触できるからです。派遣社員は数年で職場が変わることも珍しくなく、早い人なら半年や数ヶ月間でかわる人もいます。職場が変わるたびに新しい同僚ができるため、お金に余裕がありそうな正社員や同僚を狙って営業をかけてくるケースが多く、企業側も派遣会社に対して被害を訴えるケースも少なくありません。


会社の役職者

管理職など組織の中である程度のポジションを獲得すると、部下ができてきます。日本の会社組織のほどんどは上司に逆らいづらく、上司からの勧誘を無下にできないことからマルチ商材などの販売を進められる部下が断りきれないケースもあり、国民生活センターの相談においても若い人からの割合が多くなっています。


マルチ商法に騙されない対処法

「リスクのない投資 = 詐欺」と思え

マルチ商法に限ったことではありませんが、儲け話を勧誘してくる人の営業文句は「絶対も儲かる」「リスクないし、損しない」「利回り30%」など投資知識のある人からすれば絶対にありえないような営業トークを加えてきます。もちろん営業トークの90%は本当で残り10%にありえない話を加えてくるので、騙される人は騙されます。要はこの営業トークに気づけるか、ということがマルチ商法に騙されない対処法です。

金融知識が豊富な友達や知人を頼ることも重要ですが、基本的には自分自身にそれなりの知識がないとマルチ商法に気づくことができません。株式投資も仮想通貨もFXも大きな利益を生む一方で、それに見合ったリスクを抱えなければいけません。リスクなしに儲けるのは現実的に不可能だということがわかれば、詐欺かどうかは簡単に見抜くことができます。


Noと言える余裕を持つ

会社の先輩や仲のいい同僚にマルチ商法を勧められ断りきれなかった人は「心の余裕」が足りません。NOと言えないのはNOと言ってしまうことによって関係が壊れるのが怖いからです。会社の上司なら冷遇や減給につながったらどうしようという不安に襲われるかもしれません。そういうときは今の会社を辞めても数年間暮らせる生活費を貯金しておいたり、副業で収入源を複数確保していくことが有効です。友達関係を壊したくないなら、一人に依存せずに複数の友人を作っておくことで心の余裕が生まれます。

自分の意に反して他人の考えに従わなければいけない状況におかれている人ほど、詐欺やマルチ商法にかかりやすくなるため、まずは状況を冷静に判断し、心に余裕がある人間を目指しましょう。