老後2,000万円問題が話題となり、老後生活費の資産形成としてiDeCo(イデコ)や積立NISAが注目されています。

中でもiDeCoに関しては節税対策や非課税運用などの優遇税制が盛り込まれており、投資を考えるなら避けては通れないほど重要な制度となっています。

この記事ではiDeCoの仕組みをできるだけわかりやすく説明していきます。




iDeCo(個人型確定拠出年金)とは?

積立投資

iDeCoとは、個人で運用する「年金です。

iDeCoの仕組みを知る前にまずは、年金の大まかな仕組みを振り返ってみましょう。


年金とは若いうちに労働収入の一部を投資に回して、働けなくなる老後の生活資金に充てるという仕組みです。

老後は労働収入が入らなくなる可能性が高く、年金が老後生活の基盤となります。


年金の種類は3つ

日本で取り扱うことができる年金は全部で3種類。

  • 公的年金:国が運営する年金(国民年金と厚生年金)
  • 企業年金:企業が運営する年金
  • 個人年金:自分で運営する年金

3つの大きな違いは運営主体が「国」「企業」「個人」ということ。

これからの時代は老後資金を蓄えるための年金を誰が運用するべきなのかを真剣に考えなくてはいけません。


老後資金は自分で蓄える時代へ

国や企業が年金を運用すれば今までは相当の見返りを期待することができましたが、これからは日本経済が衰退していくのが目に見えている現状です。

国民年金の所得代替率(払った年金に対してもらえる年金の割合)がどんどん下がっていくことは避けられません。

退職金制度をやめた企業が企業年金に切り替えるケースが多く、企業年金も運用方法次第によっては大きなリターンを期待することはできなくなります。


「国民年金も企業年金も信用できない」と考える方が選ぶべきは個人年金のiDeCo(個人型確定拠出年金)です。


iDeCoの仕組みをわかりやすく解説

自己投資

iDeCoの概要

iDeCoの概要
項目 詳細
対象年齢 20〜60歳
最低投資金額 5,000円/月 〜
掛け金上限 加入区分によって異なる
投資先 定期預金、投資信託など
メリット 住民税と所得税が軽減できる
運用益が非課税となる
デメリット 60歳まで引き出せない
流動性が悪い

iDeCoはNISA(少額投資非課税制度)のように運用益が非課税となる優遇税制を受けることができます。

これらの制度は投資初心者にとっても心強い味方となります。


ただし、他の制度と大きく違う点は60歳まで資産を引き出すことができないという点です。

万が一、お金が必要となる事態が発生しても60歳未満であればiDeCoからお金を切り崩すことができないためかけすぎてしまうと生活を圧迫する要因ともなりかねません。


iDeCoの掛け金上限

iDeCoの掛け金上限は国民年金の加入区分によって大きく3つの種類に分類されます。

加入区分と掛け金上限一覧
加入区分 対象者 掛け金上限
第1号被保険者自営業者、フリーランス、学生6.8万円/月
第2号被保険者会社員や公務員等1.2〜2.3万円/月
第3号被保険者専業主婦(夫)2.3万円/月

ただし、以下の項目に該当する方は加入できないのでご注意ください。

  • 農業者年金の被保険者
  • 国民年金の保険料納付を免除(一部免除を含む)されている方:ただし、 障害基礎年金を受給されている方等は加入できます。
  • お勤めの企業で、企業型確定拠出年金に加入している方:ただし、企業型確定拠出年金規約で個人型同時加入を認めている場合は加入できます。

「第1号被保険者」と「第3号被保険者」に関しては掛け金上限が明確に定められています。

しかし、日本人のほとんどを占める「第2号被保険者」は状況に応じて掛け金が異なります。

iDeCo加入区分

iDeCo公式サイトの情報によれば、第2号被保険者は公務員であれば掛け金上限は1.2万円/月。

会社員は確定拠出年金(DC)と確定給付企業年金、厚生年金基金(DB)の加入状況に応じて掛け金上限は1.2~2.3万円/月と変動します。


iDeCoの投資先【元本確保型】

iDeCoの投資先は大きく分けると以下の2つに分類されます。

  • 元本確保型:定期預金、保険など
  • 元本変動型:投資信託

どちらを選択するかはiDeCoを始める目的で変わっていきます。


元本確保型というのは定期預金で「ローリスクローリターン」な投資方法です。

ネット証券最大手のSBI証券で元本確保型商品の利回りを見ると以下の通りです。

元本確保型商品の利回り(2019年9月時点)
商品名 想定利回り
あおぞらDC定期(1年)0.02%
スルガ確定拠出年金スーパー定期1年0.01%
スミセイの積立年金(利率保証型)0.005%
第一のつみたて年金保険(5年)0.03%

想定利回り0.03%というのは毎月2.3万円を30年間積立した場合に得られる利益がたった3.7万円という計算。

その代わり30年間積立してきた828万円の投資元本は減らないというメリットがります。


元本確保型商品の最大のメリットは投資した金額がマイナスにならないということです。


iDeCoの投資先【元本変動型】

元本変動型というのは積立NISAと同じ投資信託が投資先となります。

元本確保型と比べると、ハイリスク・ハイリターンな投資方法で、元本がマイナスとなることも十二分に考えられます。


ただし、十分な金融リテラシーをつけた上で商品選びができるのであれば、大きな利益を確保することも夢ではりません。

投資信託の商品選びを勉強されたい方は以下の記事を参考にしてみてください。


iDeCoのメリット

自由

所得税や住民税を軽減できる

iDeCoの掛け金はかけた分だけ税金を下げることになります。

例えば年収400万円(共働き、子供なし)の会社員のおおよその所得税は8.5万円、住民税は17.1万円となります。

iDeCoの節税効果
分類 iDeCo加入時 iDeCo未加入時
課税所得1,435,200円1,711,200円
所得税額71,760円85,560円
住民税額143,520円171,120円

しかし、iDeCoで毎月2.3万円の支払いがある場合は所得税が7.1万円、住民税は14.3万円と約4.1万円/年ほど税金が安くなる計算です。

1年間で4.1万円の節税ができるので、30年間続けると約124万円もの税金を節約することになります。


iDeCoの節税額をシュミレーション

iDeCoシュミレーション

かんたん税制優遇シュミレーションで年収400万円の30歳が60歳までの30年間毎月2.3万円ずつiDeCoに投資し続けた場合の節税額は約124万円となります。是非みなさんも現在の状況を元にシュミレーションしてみてください。きっと驚くべき数字が産出されるはずです。


運用益は非課税になる

iDeCoはNISAと同様に投資信託で得た運用益の約20%税金が免除されます。

一般的な株式投資では運用益が100万円発生した場合は約20万円分の税金を支払う義務がありますが、iDeCoでは100万円全て個人の利益となります。


iDeCoのデメリット

デメリット

60歳まで引き出せない

iDeCoの最大のデメリットは60歳まで解約、引き落としができないという点です。

万が一「治療費など大きなお金が必要になった」「リストラにあって給料が入ってこない状態になった」などといった状況に陥ってしまっても、iDeCoに蓄積された金融資産を切り崩すことはできません。

他の金融商品であれば流動性の高い投資方法がたくさんある中で、iDeCoの60歳まで引き出しできないという縛りはかなり大きいと考えられます。


積立NISAの方が利便性が高い

iDeCoの仕組みを理解すると、積立NISAとよく似た仕組みであることがわかります。

積立NISAと比べると、iDecoは投資上限が少ないかつ、引き出しできないというデメリットが浮き彫りになってしまいます。

投資資金に余裕があるならどちらも活用するべきですが、投資資金に余裕がないのであれば積立NISAだけを運用するのが良さそうです。