少額投資非課税制度である「積立NISA」の運用期間は最大20年間と決まっています。その期間が過ぎてしまえば、一般的な株式投資のように課税対象となることも事実です。

では、これから積立NISAを始める人や現在積立NISAで資産形成をしている方が20年後、どう対応すればいいのか。この問いに関して明確に答えられる人は多くはないはずです。

この記事では積立NISA20年後の出口戦略や運用の考え方について説明してきます。





積立NISAも20年後は課税対象

積立投資

積立NISAの非課税期間

積立NISAの20年後を考えるために、まずは積立NISAの制度ついて思い出していきましょう。


積立NISAは2018年からスタートした少額投資非課税制度。

非課税で投資できる期間は2018年1月1日から2037年12月31日までの20年間です。


1年間で投資できる金額は最大40万円となるため、20年間40万円ずつ投資し続けた場合には投資元本が最大800万円までとなります。その他の詳細は以下の表にまとめてみまた。

積立NISAの概要
項目 詳細
対象年齢20歳以上
非課税投資期間2018年1月1日から2037年12月31日まで
年間非課税投資枠40万円
累積投資非課税額800万円
投資対象条件を満たした投資信託のみ
投資方法継続的な買い付けのみ
金融機関の変更買付があれば、各年1回のみ

2018年1月1日に積立NISAを始めた人であれば投資期間は最大20年間となりますが、2019年10月から積立NISAを運用開始した方の最大投資期間は18年間と2ヶ月となります。

積立NISAは遅く始めるほど積立NISAの買付期間は短くなっていきます。


積立NISAは最大2056年まで保有可能

積立NISAは投資開始した年から最大20年間非課税で保有し続けることができます。(出典:金融庁HP

積立NISA運用期間

2018年に投資した40万円は20年後の2037年12月31日まで非課税で保有し続けることが可能です。

2019年に投資した40万円は20年後の2038年12月31日まで売却すれば、売却益は非課税になります。

それ以降も2020年の投資額は2039年まで、2021年の投資額は2040年までに売却すれば売却益は非課税で受け取ることができるという仕組みになります。


そして、当然20年間を超えて保有し続けた資産の売却益については課税対象となるため約20%の税金を税務署に支払わなければいけません。


積立NISAを始める目的

積立NISAの20年後の戦略を考えるためには、そもそも積立NISAを始める目的を明確にしておく必要があります。

すでに始めている方は何のために積立NISAを始めたのかを思い出すことによって、無駄な不安や無計画な売却を避けることができます。


積立NISAとは年利3%〜5%を狙いつつ、少額を長期間投資することによって大きな資産を作るという手法です。

そして、積立NISAの目的のほとんどは老後資金や子供や孫への遺産となるはずです。

積立NISAを使って5年先や10年先のお金を作ろうというのは目的と手段が合わないため、積立NISAをしても無駄に終わってしまう可能性が高くなります。


積立NISAの目的を今一度はっきりさせたいと考える方には以下の記事も参考にしてみて下さい。


積立NISA20年後、利益マイナスだったら

失敗

積立NISAを20年間運用した場合、どのくらいの利益額が見込めるのか。

万が一、20年間も継続して利益がマイナスなる可能性はどの程度あるのかを解説していきます。


積立NISA20年後の利益はいくら?

まずは積立NISAを20年間続けた場合の利益想定を算出していきます。


積立NISAの想定利回りとして参考になるのは世界GDP(国内総生産)の成長率です。

世界GDP成長率

内閣府HPを参考にすれば、世界経済は毎年3.7%〜3.9%の間で成長し続けています。世界経済に連動したまともな投資信託をしっかり選んでいる方はまずこの成長率を参考にすることが大切です。

ぼったくり投資信託やよく投資先がわからない商品を選んでしまっている、もしくは積立NISAの投資先を悩んでいるという方は以下の記事を参考にしてみてください。


では、想定利回りを3.8%に設定し、2018年1月から積立NISAをスタートさせた場合と、2020年1月から積立NISAをスタートさせた2つのケースの利益想定を算出してみました。

積立NISA20年後の利益想定
2018年1月
スタート
2020年1月
スタート
毎月投資額33,333円
投資期間20年18年
利回り想定/年3.8%
最終投資元本800万円720万円
最終利益額395万円311万円
最終資産額1,195万円1,031万円

2018年から毎月約3万円でスタートさせた場合と、2年遅れで積立NISAをスタートさせた場合ではおおよそ160万円程度の差が出る可能性がありますが、両者とも1,000万円以上の資産形成を狙うことが可能です。


過去の株価大暴落から学ぶ

将来の投資利回りを3.8%に想定して利益額を計算しましたが、その金額が必ず形成されるかどうかは誰にもわかりません。もしかすると、世界経済が新しいテクノロジーで急速に発展することでもっと大きな資産形成ができる可能性もあれば、その逆も然りです。

過去の株価を見れば、30年以上右肩上がりのアメリカ経済においては今後も堅実に右肩上がりで推移する可能性は高いはずです。ただし、そんなアメリカ経済においても過去に何度も株価の大暴落が起きていたことを忘れてはいけません。


最近の事例で言えば、2008年に起きたリーマンショック。株価は前年比60%以下となり、多くの資産家が地獄を見る結果となりました。

ただし、その後アメリカ経済は例外なく回復し続けて、過去最高記録を更新し続けています。


20年後、利益がマイナスだったら

20年間の長期投資となる積立NISAを始めようとするなら、必ず大暴落がくる覚悟を決めておかなければいけません。

そして、過去の事例を活かすのであれば、暴落時は絶対に資産を売却しないことが大切です。


そのタイミングが積立NISAを開始してから20年後であっても、理屈は一緒です。

課税されるタイミングが来たとしても、それと比較にならないほどの大暴落であれば、株価が回復するのを待つのが賢明です。


積立NISA20年後も売却しない戦略

戦略

積立NISA20年後に売却すると

積立NISAをこれから始める人も現在積立NISAを継続している方にも言えることですが、基本的な積立NISAの投資戦略はずっと売却しないことがおすすめです。

積立NISAは「多額の医療費が必要」とか、「急遽給料が入ってこなくなった」などの緊急事態が起きた時以外に売却するべきではありません。


その理由は単純です。

積立NISAは長期間持ち続けるほど、利益額が大きくなる可能性が高いからです。


必要時以外は解約せず、ずっと保有し続けることによって生涯使える金額が増える仕組みです。

必要以上に売却をしてしまうと、使える金額が減ってしまうだけです。

20年後だからといってむやみに売却しないことが大切です。


積立NISAが延長する可能性

老後2,000万円が不足するといったキーワードが話題となった2019年では、NISA(少額投資非課税制度)が恒久化する可能性が高くなっています。

全国銀行協会が金融庁に求めた要望内容は以下の通りです。(金融庁サイトより参照)

  • 「つみたて NISA」については、開始時期にかかわらず、20 年間の 長期・積立・分散投資のメリットを享受できるよう、制度期限(平成 49 年)を延長すること。
  • NISA 口座を保有する者が、海外転勤等により一時的に日本を離れている間 であっても、引き続き NISA 口座を利用できるようにすること。
  • 成年年齢が引き下げられたことを踏まえ、NISA 制度の利用開始年齢を引き 下げること。
  • NISA 口座で保有する上場株式等を他の年分の非課税管理勘定に移管する際 に提出するロールオーバー移管依頼書について、電磁的方法による提出の 簡素化を図ること。
  • 「一般 NISA」勘定と「つみたて NISA」勘定の期中における変更手続につ いて簡素化を図ること。

こういった動きにより、これから投資を始める方にとっても積立NISAの投資期間が延長される可能性が高くなります。

総じて言えることは、積立NISAは若いうちから早めに始めた方が得だということです。