アービトラージは簡単に利益が出る取引手法として注目されています。しかし、アービトラージはリスクもあり十分に理解しないまま進めてしまうと、危険です。

本記事ではアービトラージの意味やリスクはもちろんのこと、禁止される理由、やり方についても解説していきます。仮想通貨でアービトラージをやろうと考えている方は、是非始める前に参考にしてみてください。

もくじ(コンテンツ)








アービトラージの意味とは

アービトラージ

アービトラージとは、上図のように価格が安い取引所で商品を購入し、割高な取引所で売ることで利益をとる取引手法を意味します。

日本語では「裁定(さいてい)取引」と言われていますが、同一商品でも取引所が違えば微妙な価格差が発生するため、取引所の競合が多い為替や仮想通貨などの市場ほどよく利用される取引となります。


仮想通貨のアービトラージとは

ビットコイン価格差

上記はビットコインの流通量が多い取引所の1BTCあたりの価格が表示されています。(CoinMarketCapより参照


同じビットコインという商品でも取引所毎に提供価格が違っていて価格差が生じているのがわかります。上から2番目の「CoinBene」のビットコイン価格と上から9番目の「Simex」のビットコイン価格の差は2,716円。

仮に価格の安いSimexで1BTCを仕入れた後、即CoinBeneで1BTCを売却すれば1BTCにつき、2,716円の収益が得られることとなります。


アービトラージのメリット

アービトラージのメリットとデメリットを一覧でまとめてみました。


アービトラージのメリットとデメリット
メリット デメリット
1.高確率で利益が発生1.取引回数が多くなる
2.テクニカル分析不要2.リスクゼロではない
3.大人なら誰でもできる3.税金計算が面倒

アービトラージは現在の価格を見て取引をするためテクニカル分析が不要で、取引所の口座さえあればほぼ確実に利益を得ることができます。

ただし1回の取引で得られる利益はごくわずかなので、相当な取引回数を繰り返さなければ大金を得ることはできません。

常に価格変動のリスクもあり、仮想通貨投資で得た利益から税金を計算する手間なども考慮する必要があります。


アービトラージが禁止される理由

それぞれの取引所や証券企業によって、アービトラージを禁止する場合があります。


アービトラージが禁止される理由
  • 取引所の利益につながらない
  • 取引所が負債を抱えてしまうリスクがある

アービトラージはゼロサム思考で捉えることができます。ゼロサム思考とは「私の利益は他人の損(もしくは、私の損は他人の利益)」という考え方です。

アービトラージをすることによって投資家はほぼ確実に儲けることができますが、その分取引所が損失を被ることになります。損失を被りたくない取引所はアービトラージを禁止するガイドラインを作成し、該当する行為が発生した場合は一方的に口座を解約させる行為を実行します。


アービトラージは市場を安定化させる

取引所によっては迷惑行為となるアービトラージですが、悪いことばかりではありません。アービトラージが活発になることによって以下のの効果があわられます。

  • 価格の安い取引所には買い注文が集まり、価格が上がる
  • 価格の高い取引所には売り注文が集まり、価格が下がる

それぞれの取引所の価格が調整されていくことで市場に流通する商品の価格差が小さくなり、価格が安定してくるという現象が起こります。

仮想通貨はボラティリティが問題視されていますが、アービトラージによって価格変動リスクを抑える対策が発生します。取引所単位で見れば迷惑行為となるアービトラージも市場全体で見れば価格を安定させる行為です。


アービトラージのやり方

アービトラージは送金コストがリスクになる

先ほど仮想通貨取引所CoinBeneとSimexのビットコイン価格差が2,716円ありましたが、2,716円がそのまま利益にならないのがアービトラージです。

アービトラージの利益計算式
    利益 = 取引所の価格差 - 送金コスト

アービトラージでは取引所から別の取引所へ必ず送金する必要があります。

そして、送金コストは2種類あるので注意してください。

  • 取引所の送金手数料
  • トランザクションを実行するための送金手数料

取引所が徴収する取引手数料は無料の場合でもビットコインやイーサリアムを送金する際は必ずトランザクションを実行するための送金手数料がかります。

取引手数料は取引所のホームページを確認すれば必ず記載があるので、事前に確認しておきましょう。ほとんどの取引所は取引金額に応じて手数料が決まる仕組みです。


手数料をケチるとアービトラージは成功しない

アービトラージではトランザクションを実行するための送金手数料をケチると、ベストなタイミングで入金を確認することができない状況に陥ります。

トランザクションを実行するための送金手数料は高く設定すれば早期に取引処理が実行されますが、手数料を低く設定しすぎると数日間取引処理が実行されない状態となります。数時間でも激しい価格変動が起きるビットコインでは、その数時間の差がアービトラージの成否を決める事になります。

送金手数料を調整するために、事前に取引処理の混雑状況を確認しておくべきです。取引処理の混雑状況はblockchain.comでビットコインの未確認取引量を確認すればわかります。

Blockchain.com

今回確認した際は1,646件でしたので、取引所が設定する送金料を高く設定しなくても数時間で送金が完了するレベルです。


アービトラージは取引量が多い所を選ぶ

アービトラージは1円でも有利な価格レートで取引する必要があります。有利な価格レートで取引するには取引量が多い取引所を選択しなければいけません。

日本なら以下の仮想通貨取引所が取引量が多くて有名です。(2019年4月時点)

  • Liquid(リキッド)
  • bitFlyer(ビットフライヤー)
  • bitbank(ビットバンク)

また、取引手数料が安いと言う基準でも取引所を選択すつ必要があります。

迷ったら「【2019年最新版】日本のおすすめ仮想通貨取引所ランキング」の記事を参考にしてみてください。


アービトラージのリスク

アービトラージは「必ず儲かる」「勝率100%の投資方法」と紹介されることもありますが、そんなはずはありません!

アービトラージも投資なので、ちゃんとリスクがあります


アービトラージは下落トレンドに弱い

アービトラージは「先に買ってあとで売る」投資方法です。

そのため、相場が上昇トレンドの時は儲けやすく、下落トレンドの時は損失する可能性が高くなります。

FXの「ショート注文」や「空売り」のように先に売ってから、買い直すことができれば下落相場でも利益を発生させることができますが、アービトラージにはその特性はないので相場が下落している時に儲けることは不可能と把握しておくべきです。


アービトラージは価格変動で一瞬で死ねる

ビットコイン急落

ビットコインチャートや過去の仮想通貨の値動きを見た事があれば、ビットコインの値動きが激しいことは明らかです。

アービトラージで仮想通貨を仕入れから売るまでの間に価格が急落すると損失が確定します。ジ・エンドです。

相場が改善するまで待つ方法もありますが、相場や投資は自分の思うようにはいかないため待ちの状態に入るとさらに状況が悪くなることが少なくありません。

即損切りをする選択も常に持っておきましょう。


アービトラージを簡単にする自動ツール

アービトラージを行う場合、複数の取引所の価格差をチェックするのに、とても長い時間を費やしてしまう可能性があります。

その手間や時間を削減し効率的に価格チェックできるツールや、自動で売買するアプリケーションを提供している企業があります。


仮想通貨・ビットコインの価格比較「Cryptopippi」

Cryptopippiは日本だけでなく世界の仮想通貨取引所の価格もサポートしており、どの取引所のペアがどれだけ価格差があるのか一覧で確認することが可能です。

Cryptopippi

Cryptopippiは19の取引所と43種類の通貨に対応し、最も価格差が大きい取引所を瞬時に見つけることができます。

App StoreGoogle Playでダウンロードすることができます。


海外の価格比較サイト「COINIGY」

COINIGY

チャートサイトTrading View同様に独自のAPIを提供する仮想通貨ツール「COINIGY

メールアドレスを入力するだけで会員登録が完了し、以下のような価格比較ツールを利用することができます。

もちろん有料プログラムも用意されており、利用範囲が広くなるほど課金しなければいけない仕組みです。